今の株価が安いのかを知るためには株価だけを見ているだけだけではわからないものだ。それこそ株価が一時的に暴落したときに、「お!(これまでと比べて)安い」と思って買ってしまうこともある。しかし、それは値ごろ感で買うという一種の感覚的な行為をしていることになる。
それに対して、しっかりと企業の利益に着目して割安の判定をする「PER」という有名な指標が存在する。PERは一定の数値を下回った対象企業を買いの目線で見るための一つの道標と言える。ここでは株主優待銘柄で、かつPER指標が10倍を下回る企業を10社選定していきたい。
株を仕込みどころが一目でわかるPERとは
PERを一言でいうと、現在の株式の価値が将来の利益に対して割安かどうかを判断するための指標のことで、下記方式で計算される。
PER=株価÷一株あたりの利益(通期予想)
数値単位は倍であり、一般的には15倍程度が適正でそれを下回るほど割安、逆に上回るほど割高だと評されている。業種や市場によって多少の傾向の違いはあれば、いまだにPERの低さは株を仕込むための一基準となるのだ。
ちなみに日本株市場の代表的な指数である日経平均株価のPERは12.61倍(2018年3月9日終値)となっている。
少なくとも平均指数のPERを大きく下回っている点でPER10倍以下という数値は注目に値するべきだという一定の評価がなされても良いだろう。
PER10倍以下の株主優待株10選
銘柄参考の上では下記条件に留意していただきたい。
- 下記銘柄の情報は2018年3月9日終値時点のもの
- 優待内容は保有株数や年数に応じて変化もしくは増加する場合あり
1.アプライド <3020>
【PER】6.50倍
【権利確定月】3月
【株価】1742円
【必要投資金額】100株で17万4200円
【優待内容】100株でインターネット通販で利用可能なポイント1000P
2. サンセイランディック <3277>
【PER】9.12倍
【権利確定月】6月
【株価】1262円
【必要投資金額】100株で12万6200円
【優待内容】100株でパンの缶詰オリジナルセット2缶
3. 丸尾カルシウム <4102>
【PER】9.95倍
【権利確定月】3月
【株価】1730円(2018年3月8日終値、出来高が少ないので注意)
【必要投資金額】100株で17万300円
【優待内容】100株で1000円相当のクオカード
4. ファーストブラザーズ <3454>
【PER】7.11倍
【権利確定月】11月
【株価】1428円
【必要投資金額】100株で14万2800円
【優待内容】100株で1000円相当のクオカード
5. 飯田グループホールディングス <3291>
【PER】7.14倍
【権利確定月】3月
【株価】1960円
【必要投資金額】100株で19万6000円
【優待内容】100株で江ノ島アイランドスパ(温泉・プールエリア)の施設利用券を4枚分
6. サムティ <3244>
【PER】7.30倍
【権利確定月】11月
【株価】1883円
【必要投資金額】100株で18万8300円
【優待内容】100株で宿泊割引券3000円分各1枚(センターホテル東京・センターホテル大阪)
7. オンリー <3376>
【PER】7.51倍
【権利確定月】8月
【株価】925円
【必要投資金額】100株で9万2500円
【優待内容】100株で20%割引券を2枚
8. 日本水産 <1332>
【PER】8.49倍
【権利確定月】3月
【株価】545円
【必要投資金額】500株で27万2500円
【優待内容】500株以上で3000円相当の自社製品(缶詰など)
割安さに潜む落とし穴には注意したい
日本市場を時々襲うパニック的な暴落時には、相場全体につられて多くの株式が値下がりをする。それはもともと割安だった株式がさらに割安になるかもしれない好機であり、上昇相場がもどると大きくな利益につながる可能性を秘めている。
一方で、注意したいのは相場全体があげているタイミングで、個別に業績悪化のニュースが伝わり大幅に下落をしてしまうような株式だ。
確かに株価の下落により理論上はPER数値が下がるかもしれないが、株価は将来を先取りする性質を取るものだ。たとえPERが割安水準であっても株価が元の位置まで上がり始めるまでは相当な時間がかかるかもしれないことを覚えておいて欲しい。
谷山歩(たにやま あゆみ)
早稲田大学法学部を卒業後、証券会社にてディーリング業務に従事。Yahoo!ファイナンスにてコラムニストとしても活動。日経BP社の「日本の億万投資家名鑑」などでも掲載されるなど個人投資家としても活動中。個人ブログ「インカムライフ.com」。著書に「超優待投資・草食編」がある