インターネットは伝統を変える影響力を持つのでしょうか。長らく結婚に対して保守的だったインドにおいて婚活サイトや「Tinder」をはじめとするマッチングアプリが流行し始めています。

お見合い結婚が一般的なインド

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(写真=Gita Kulinitch Studio/Shutterstock.com)

インドではお見合いで結婚相手を決めることが一般的です。お見合い相手は両親や親戚など、親類の知り合いからの紹介で決定されます。

ただ、このお見合いには難点があります。インドではカースト、宗教などが同じであることが結婚相手の条件として重要視されます。親類の知り合いのネットワークという狭いコミュニティ内で、それら条件にかなう男女のマッチングは容易ではありません。

そのためインドには男女のマッチングを図るお見合い業者が数多く存在します。さらには日曜日の新聞に「花婿募集!」といった結婚相手を見つけるための新聞広告を出すことも日常的な風景です。

インターネットが変えるインド人の結婚プロセス

インターネットの普及がこのお見合い結婚のプロセスを変化させつつあります。婚活サイトを活用するインド人が急増しているのです。

大手婚活サイトの「Bharat Matrimony」はインド人向けの婚活サイトです。Facebookのアカウントで簡単に登録して結婚相手を探すことができます。しかし、日本の婚活サイトとは異なる点があります。

「Bharat Matrimony」では年収や身長などの項目のみならず民族、カースト、宗教などのインド特有の項目が存在するのです。サイトトップにベンガル、ヒンドゥー、パンジャーブ、ウルドゥーといった言語や民族ごとに相手探しができるカテゴリーを設けています。

インドはスマートフォン利用者の人口数が中国に次ぐ第二位です。インターネット利用人口も多く、インターネットが結婚に影響を与えることは至極当然ともいえるでしょう。

依然引き継がれるお見合い重視の結婚観

前述したようにインド人の結婚に至るプロセスは確かに変化しつつあります。とはいえ、お見合い重視の結婚観というのは依然として引き継がれているようです。

インドの結婚業界のリサーチ企業「タージ・ウェディング・バロメーター調査」では75%のインド人(18~35歳)がお見合い婚を好んでいるとのデータが出ています。

実際、前述した婚活サイト「Bharat Matrimony」も単なる婚活サイトではなく、お見合い結婚を支援するためツールとしても使用されています。「Bharat Matrimony」では当人だけでなく、お見合いをセッティングする当人の親が使用することを想定した仕様となっているのです。例えば、プロフィールの登録において「誰用のプロフィールなのか」という項目で「自分」、「息子」、「娘」、「親戚」などが選択できます。まさにお見合いをセッティングするための仕様になっているのです。

婚活サイトでありながらもお見合いを支援する仕様となっている点は、インド人が今でもお見合い重視の結婚観を維持していることを反映しているのではないでしょうか。

カジュアルな恋愛を志向する層も増加

インド人の若者の多くはSNSの普及とともに成長してきたいわば「デジタルネイティブ」です。インターネット上で匿名の他者とつながることに対する抵抗はあまりありません。

2016年、出会い系アプリ「Tinder」がインドに拠点を設けました。インド市場開拓に注力する狙いです。Tinderのダウンロード数が2015年に400%もの伸びを見せており、Tinderはインドを有望な市場とみなしているのです。

Tinderの特徴はよりカジュアルにマッチングを図ることができる点です。バーで男性から声をかけられるのが嫌だという女性もTinderであればスワイプするだけで好みの男性とマッチングできます。Tinderのインドへの進出はカジュアルに自由恋愛を志向するインド人が増えていることの証左といえます。

今後、これまで保守的だったインド人の結婚観や恋愛観もインターネットの影響により徐々に変容していくのではないでしょうか。さまざまな人の価値観が、インターネットを通じたアプリやサービスの普及で変化する時代が近づいてきているようです。(提供:J.Score Style


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