国際コンサルティング企業マーサーが「生活の質が高い都市ランキング」 の最新版を発表し、ウィーン、チューリッヒ、ミュンヘンがトップ3に選ばれた。日本の都市は東京と神戸がトップ50、横浜、大阪、名古屋がトップ100入りした。
1〜16位までは2017年と変動なし。ドイツ、オーストラリア、カナダの都市が多数ランクインする中、アジア太平洋地域からは唯一シンガポールがトップ30に。
ランキングはマーサーが、世界450都市以上の総合的 な生活の質を評価したもの。「消費財」「経済環境」「住宅」「医療・衛生面での配慮」「自然環境」「政治・社会環境」「公共サービス・交通」「リクリエーション」「学校・教育」「社会・文化環境」の10のカテゴリーから、39の項目の指標に基づいて順位付けされた。
生活の質が高い31都市
30位 サンフランシスコ(米国)
30位 キャンベラ(オーストラリア)
29位 アデレード(オーストラリア)
28位 シュトゥットガルト(ドイツ)
27位 ブリュッセル(ベルギー)
25位 オスロ(ノルウェー)
25位 シンガポール(シンガポール)
23位 ニュルンベルク(ドイツ)
23位 ストックホルム(スウェーデン)
21位 モントリオール(カナダ)
21位 パース(オーストラリア)
19位 ハンブルク(ドイツ)
19位 オタワ(カナダ)
18位 ルクセンブルグ(ルクセンブルグ)
16位 トロント(カナダ)
16位 メルボルン(オーストラリア)
15位 ウェリントン(ニュージーランド)
14位 ベルン(ドイツ)
13位 ベルリン(ドイツ)
12位 アムステルダム(オランダ)
10位 シドニー(オーストラリア)
10位 バーゼル(スイス)
9位 コペンハーゲン(デンマーク)
8位 ジュネーヴ(スイス)
7位 フランクフルト(ドイツ)
6位 デュッセルドルフ(ドイツ)
5位 バンクーバー(カナダ)
3位 ミュンヘン(ドイツ)
3位 オークランド(ニュージーランド)
2位 チューリッヒ(スイス)
1位 ウィーン(オーストリア)
5都市がトップ100入りした日本 東京、横浜はランクダウン
日本の都市はトップ30入りを果たせず、50位内入りは東京と神戸に。横浜(55位)、大阪(59位)、名古屋(64位)と合計5都市がトップ100に選ばれた。2017年から大阪は1つ順位を上げ、神戸は変動なしだが、東京は3つ、横浜は1つ順位を落としている。
アジア圏トップは今回もシンガポール。ほかに香港(71位)、ソウル(79位)、台北(84位)、マレーシアのクアラルンプール(85位)、釜山(93位)がトップ100となった。
オセアニア大陸のオーストラリアとニュージーランドは、生活水準ランキング上位の常連国である。ここでもオーストラリアはシドニーを筆頭に5都市、ニュージーランドは2都市と少ないがオークランドがトップ3に入った。
ウィーンが9年連続首位 トップ30の18都市は欧州
上位は顔ぶれ、順位ともに変わらず、ウィーンが9年連続で1位を維持。チューリッヒ、ミュンヘン、フランクフルト、ジュネーブ、コペンハーゲンなど欧州勢がトップ10のうち8都市、トップ30のうち18都市を占めている。そのうち8都市がドイツだ。
政治の不安定さが目立つ欧州だが、西欧州の生活水準は依然として高いものと思われる。しかし欧州を代表するロンドン(41位)やパリ(39位)、マドリード(49位)といった大都市は、順位が若干落ちる。
欧州勢に交じって健闘したのは北米のカナダだ。バンクーバー、トロント、オタワ、モントリオールの4都市がトップ30入り。雄大なロッキー山脈の風景を楽しめるカルガリー(33位)なども、来年あたり順位を上げるのではないだろうか。
米国からはサンフランシスコ(30位)、ボストン(35位)やホノルル(36位)、シアトル(44位)、シカゴ(45位)、フィラデルフィア(50位)が選ばれた。
「日本一衛生的な都市」は神戸
快適な生活を送る上で欠かせない要素のひとつとして、各都市の衛生レベル も評価されている。1位を獲得したのはホノルルで、2位は同率でオタワと、ヘルシンキ、4位にミネアポリス、5位にオークランド、6位にウェリントン、7位にアデレードが続く。ヘルシンキ、オスロ、コペンハーゲン、チューリッヒと並び、日本からは神戸が同率8位となった。
「生活の質が低い10都市」にはバグダード(イラク)、バンギ(中央アフリカ)、サナア(イエメン)、ポルトープランス(ハイチ)、ハルツーム(スーダン)、ンジャメナ(チャド)、ダマスカス(シリア)、ブラザヴィル(コンゴ)、キンシャサ(コンゴ)、コナクリ(ギニア)が選ばれた。
過去20年で最も生活水準が上がったのはアジアの都市は上海
過去20年間で最も生活水準に向上が見られた都市はボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエヴォ(159位)で、評価は21.5%もアップした。
アジア圏では上海(103位)で15.3%増、ニューデリー(162位)13.8%増、広州市(133位)11.4%増、ハノイ(155位)10.3%増、南京市(140位)8.3%増、北京(119位)8%増、ムンバイ(154位)7.3%増、ソウル(79位)6.8%増、シンガポール(25位)4.7%増、香港(71位)4.4%。この比較から特にシンガポールの著しい成長ぶりが分かる。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)