先々週にティラーソン国務長官、先週末にマクマスター大統領補佐官も解任された。また、トランプ大統領の主任弁護士ダウド氏は辞任したこともあり、前週末の海外時間での上値は限定的となりました。日米中貿易戦争に対する懸念の高まりは依然としてマーケットの中心材料になっており、ドル円は105円台では上値が意識されました。
今後の見通し
日米の政治リスクが急速に高まり、市場が不安定化しています。前週は米国主導での政治リスクが強まりましたが、今週は日本で政局の混乱を招いている森友学園への国有地売却を巡る文書書き換え問題がクローズアップされます。特に、明日27日の元財務省理財局長・佐川氏の証人喚問が注目されており、更なるリスク回避の動きのきっかけとなる可能性があります。
米国では、トランプ米大統領が大統領補佐官に強硬派のジョン・ボルトン氏を起用すると発表したことから、対イラン制裁が再び導入されるとの観測が強まっており、日本だけでなく米国でもリスク回避要因を孕んでいます。本日の東京時間では、売られ過ぎたドル円の買い戻しが強まっていますが、本格的なリスク選好の動きになるまではまだまだ消化しないといけない問題が多くあるように思われます。
105.30円を上抜けるまではショート保持
106.40円のドル売り円買いのポジションを保有中です。損切りラインを105.30円引き下げて、損失を回避しながらレンジ下抜けを期待します。この105.30円を上抜けるようであれば、目先の基調は一旦上昇傾向にあると思われます。
昨日の海外市場動向
海外市場では、米耐久財受注が予想を大幅に上回った事を受けて、ドルが一時買われましたが、米中貿易戦争激化に対する懸念が強く、米国株が取引時間終盤に下げ幅を拡大したため、再びドル売りが強まり、ドル円は104円台後半、ユーロドルは1.23ドル台半ばで取引を終えました。ドル円は105円台を回復するも、リスク回避要因が意識され、上値は限定的となりました。
NY時間の前半では、トランプ大統領が包括的歳出法案への拒否権発動を検討と発言し、政府機関閉鎖の懸念からドルが売られるような動きとなりましたが、後半になって大統領が姿勢を転換して法案に署名とのヘッドラインが流れ、一時ドル買いが強まる場面が見られました。ただ、上述しているようにリスク回避の問題が多数控えていることから、上値は限定的となりました。
本日の東京時間では、これからのリスクイベントに備え、売られ過ぎたドルの買い戻しの動きが優勢となっています。
今日の予定
本日は、バイトマン・ドイツ連銀総裁、ダドリー・米NY連銀総裁、メスター・米クリーブランド連銀総裁、クォールズ・米FRB規制担当副議長が相次いで講演を行います。また、今週末がキリスト教のイースターの祝日となる為、欧州市場や、日本中国以外のアジア市場は休場となる他、米国債市場は木曜日に短縮取引となり、米株式・債券市場が金曜日休場となりますので、ご注意下さい。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp