-今後の為替予約がポイントに-
ニトリホールディングスが27日に発表した2018年2月期の決算は売上高が前期比11.5%増の5721億円、営業利益が同8.9%増の934億円となり31期連続の増収増益を達成しました。売上高は、既存店売上高がホームファッション比率の上昇による客単価の低下(1.8%減)を客数の伸び(4.8%増)でカバーし2.9%増と想定の1.9%増を超えて推移したこともあって計画を260億円近く上回って着地しています。
一方で営業利益は990億円の計画に56億円余り届きませんでした。しかし、これは今期の為替予約の条件が悪化すると予想されたため、前々期よりも有利な為替予約ができた前期に意図的に先行して費用を使ったためです。前々期に15店舗だった店舗改装は前期に41店舗と大きく増え、その費用は計画の40億円を大幅に上回る82億円まで膨らみました。仮にこのように店舗改装を大幅に増やさなければ営業利益は計画に近い水準に着地できたといえます。
今期は売上高で前期比7.3%増の6140億円、営業利益で同6.0%増の990億円を計画しています。経常利益は5.4%増の1000億円を見込み、営業利益と経常利益は前期に達成できなかった数字に再び挑戦することになります。業績予想の前提は既存店売上高が前期比2.5%増、ドル円が前期比7円程度円安の111円です。為替は108円前半で6月までの分を予約済みのため、それ以降の為替予約がどのような水準となるかが今後のポイントとなりそうです。
金山敏之(かなやま・としゆき)
マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト
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