5月7~11日の東京株式市場は、米朝首脳会談の日程決定などを背景に上値を試す展開となった。為替市場で一時1ドル=110円を回復するなど円安基調となったこともプラス材料となった。11日の日経平均株価の終値は前週末比285円70銭高の2万2758円48銭。週単位では7週連続の上昇となっている。

現時点では3月期決算絡みで好業績銘柄が買われる動きも見られるが、それらの発表が一巡する5月下旬以降も上昇基調を維持できるか注目されるところだ。

ジャスダック市場「有利子負債」上位10銘柄

ユニバーサルエンターテインメント,株価
マニラ湾に面した「オカダマニラ」(画像=ユニバーサルエンターテインメント公式サイトより)

それでは、今回はジャスダック市場の「有利子負債ランキング」を見ていこう。

(1)ユニバーサルエンターテインメント <6425> (連)2523億0800万円 2017/12
(2)澤田ホールディングス <8699> (連)727億3900万円 2018/03
(3)GMOフィナンシャルホールディングス <7177> (連)603億5000万円 2017/12
(4)コスモスイニシア <8844> (連)580億4700万円 2018/03
(5)和田興産 <8931> (単)508億8400万円 2018/02
(6)シノケングループ <8909> (連)485億2100万円 2017/12
(7)メイコー <6787> (連)485億0600万円 2017/03
(8)ウエストホールディングス <1407> (連)384億5600万円 2017/08
(9)シダックス <4837> (連)342億7000万円 2017/03
(10)イオン九州 <2653> (単)333億3600万円 2018/02
※銘柄、証券コード、有利子負債、決算年月の順。(連)は連結、(単)は単体。データはヤフーファイナンスより。

前回解説した通り、有利子負債とは銀行からの借入金や社債など「利息を付けて返済しなければならない負債」のことである。東証マザーズやジャスダック等には、成長ステージを目指すベンチャー企業が数多く上場しており、先行投資で「攻めの経営」を推進する過程で有利子負債が増大するケースも珍しくない。

とはいえ、有利子負債が多いからといって必ずしも成長が期待できるわけではない。有利子負債には「企業の健全性」を測る指標としての側面もあるので、ベンチャー企業など「攻めの経営」を推進する企業に投資する際には、その企業の「有利子負債が拡大した背景」を理解し、その有利子負債が将来の成長ステージにつながるか吟味することも大切である。

ユニバーサルエンターテインメント、「オカダマニラ」開発に注力

今回は上記ランキングから、ユニバーサルエンターテインメント、コスモスイニシア、メイコーを取りあげる。

ユニバーサルエンターテインメントは東京都江東区に本社を置く、パチンコ機やパチスロ機、ゲームソフト等の製造メーカーである。

昨年、同社の創業者の岡田和生氏が解任され、その後も訴訟提起などのニュースに株式市場でも度々話題となっている。ちなみに、フォーブス誌の『日本長者番付2017』によると、岡田氏は18位で保有資産は推定で22億ドル(約2400億円)と見られている。

一方で、同社はフィリピン・マニラ市のカジノリゾートプロジェクト「オカダマニラ」にも注力している。オカダマニラは空港からクルマで10分、「世界三大夕日」の一つに数えられるマニラ湾に面した44万平方メートルのカジノ・リゾートだ(写真参照)。株式市場では「カジノ関連株」として人気化する場面も見られたが、開発のための設備投資で有利子負債も増大している。

有価証券報告書によると、フィリピン関係の投資は2017年3月期に685億0400万円、2017年12月期は1218億1200万円となっている。こうした積極投資を背景に同社の有利子負債は2016年3月期の848億6200万円から、2017年12月期には2523億0800万円に増大し、今回のランキングでTOPとなった。

コスモスイニシア、5期連続の「増収増益」予想を好感

コスモスイニシアは東京都港区に本社を置く不動産デベロッパー。首都圏を中心にマンションや戸建を展開している。

2018年3月期は前期に比べ、新築マンションや戸建など販売用の棚卸資産を拡大した。その結果、有利子負債も増加傾向にあり、今回のランキングで4位となった。

ちなみに同社は2019年3月期について5期連続の増収増益を予想、同時に営業利益が7.8%増の52億5000万円になるとの見通しを示している。リゾート運営事業の売却で海外事業が縮小する一方、投資用・賃貸不動産の売買運営、土地の有効活用、設計建築コンサルティングなどの「ソリューション事業」の拡大が続く見通しである。株式市場ではこの予想を好感し、先週10日には株価が928円と約12%上昇した。

メイコー、海外を中心に設備投資を推進

メイコーは電子機器に搭載するプリント基板の設計、製造を行うメーカー。自動車搭載用とスマートフォン用を主力とする。

同社は海外を中心に設備投資を推進し、今年4月には車載用とスマートフォン用の基板を生産するベトナム第3工場に着工している。有利子負債は485億0600万円で、今回のランキングで7位となった。ちなみに、メイコー株は「スマートフォン関連株」として2016年秋に動意づき、2017年11月に2700円台まで上昇したが、現在は一服状態にある。(ZUU online 編集部)