5月28日~6月1日の東京株式市場は軟調に推移した。イタリアの政情不安をきっかけに世界的にリスクオフムードが強まる中、東京株式市場も利益確定の売りが先行した。6月1日の日経平均株価は前週末比279円44銭安の2万2171円35銭となり、週単位では2週連続の下落となった。

東証マザーズ「5月の上昇率」ランキング

それでは、今回は東証マザーズ市場の「5月の上昇率」ランキングをみていこう。

(1)ALBERT <3906> 5540円 +162.31%
(2)アルファポリス <9467> 4710円 +85.00%
(3)AppBank <6177> 857円 +84.30%
(4)メドピア <6095> 2125円 +56.48%
(5)ファイバーゲート <9450> 3440円 +55.66%
(6)ビープラッツ <4381> 8700円 +53.17%
(7)コンヴァノ <6574> 2109円 +51.07%
(8)JMC <5704> 1799円 +49.17%
(9)ウェルビー <6556> 1630円 +46.71%
(10)AMBITION <3300> 1760円 +43.79%

※銘柄、証券コード、5月31日終値、5月の上昇率の順。

上記ランキングを業種別でみると情報・通信業とサービス業が各4銘柄、非鉄金属と不動産が各1銘柄となっている。また、上位7社が50%以上の上昇率を記録しているが、その中でも第1位のALBERTが+162.31%と突出した伸びを示す結果となった。

ALBERT、トヨタとの資本業務提携で人気化

今回は上記ランキングからALBERT、アルファポリス、JMCを取りあげる。

ALBERTは東京都新宿区に本社を置くデータ分析会社。「分析力をコアとするデータソリューションカンパニー」としてAI(人工知能)やディープラーニング等を活用したコンサルティングから分析、課題解決のソリューションまでを一貫して提供している。

5月15日、ALBERTはトヨタ自動車(トヨタ) <7203> と資本業務提携することで合意したと発表した。両社は次世代のモビリティ社会の実現を目指し、自動運転領域における画像データの入手選別や集計分析、アルゴリズムやAIの開発等で提携する。また、ALBERTは新株を発行しトヨタに割り当てることも発表。トヨタはALBERT株の約6%を保有する大株主となる。ALBERTは今回の新株発行で約3億9500万円を調達し、自動運転領域の開発や専門性の高い人材の新規採用費用に充てる。

トヨタとの資本業務提携を背景に、ALBERT株の5月の上昇率は+162.31%に達し、今回のランキングでTOPとなった。

アルファポリス、出版事業の好調で純利益が5倍超に

アルファポリスは東京都渋谷区に本社を置く出版社。誰でもインターネット上で作品を読み、書くことができる総合エンターテインメントサイト『アルファポリス(電網浮遊都市)』を運営している。

5月11日、アルファポリスは2018年3月期決算を発表した。出版事業の好調を背景に純利益は前期比5倍超の5億1300万円となった。同社は2019年3月期も増収増益となり、純利益が過去最高の8億円になる見通しも明らかにしている。株式市場では今回の好業績を受けて買いが集まり、今回のランキングで2位となった。

なお、アルファポリスはもう1つの主力のゲーム事業を、キューマックスとの共同出資会社であるアルファゲームスに譲渡し、出版事業強化の姿勢を明確にしている。同一タイトルをライトノベルや文庫、マンガで水平展開する手法により、さらなる収益拡大を目指している。

JMC、業績予想の上方修正に期待広がる

JMCは3Dプリンター出力、砂型鋳造、CT(産業用CTスキャンの販売)の3事業を手掛ける企業。3Dプリンターや砂型鋳造では試作品や部品を製造する。自動車業界及び医療業界等のクライアントが多い。

5月14日、JMCは2018年1~3月期決算を発表した。それによると売上高が前年同期比84.1%増の6億6400万円、純損益が4400万円の黒字(前年同期は500万円の赤字)となった。EV(電気自動車)化案件などで、鋳造事業の新たな需要を掘り起こしたほか、生産管理の強化により費用を適正化し、コストを抑制した。

JMCは2018年6月中間と通期の業績について従来見通しを据え置いている。しかし、株式市場では今後の上方修正への期待が高く、人気を集める結果となった。(ZUU online 編集部)