6/14(木)、サッカーW杯がロシアで開幕しました。7/15(日)までの日程で32ヵ国の代表が熱戦を繰り広げることになります。株式市場では、スポンサー企業や家電メーカー、スポーツ用品等、関連企業へ注目が集まりそうです。
ただ、日本代表の事前の評価が低いこともあり、早々と注目度が下がる可能性は否定できません。そこで、今回の「日本株投資戦略」では、一般的な「サッカーW杯関連銘柄」に加え、「意外なサッカーW杯関連銘柄」を探ってみました。
サッカーW杯開幕!関連銘柄は?
6/14(木)、サッカーW杯がロシアで開幕しました。7/15(日)までの日程で32ヵ国の代表が熱戦を繰り広げることになります。FIFA(国際サッカー連盟)が6/7(木)に発表した最新のランキングでは、第1位ドイツ、第2位ブラジル、第3位ベルギー以下となっており、これらの国が優勝候補となっているようです。
日本は1998年のフランス大会以来6回連続の出場となっています。6/19(火)にコロンビア、6/25(月)にセネガル、6/28(木)にポーランドと対戦する予定です。ちなみに、最新のFIFAランキングで日本は第61位であり、参加32ヵ国の中では第30位と低迷しています。このため、優勝や上位に食い込むような活躍については、あまり期待されていないのが現実です。
とはいえ、世界トップクラスの選手がぶつかり合う4年に1度の対戦は世界中の人々の関心を集めると思われます。株式市場でも改めて注目される可能性がありそうです。
表1は各種報道等をもとに、株式市場で「サッカーW杯関連銘柄」として紹介されている銘柄を、やや網羅的に集めてご紹介したものです。ご参考までに、過去1ヵ月間の騰落率も掲載しております。
日本チームをサポートするスポンサー企業としてはキリンHD <2503> があげられます。2015年4月から8年間「サッカー日本代表オフィシャルパートナー」として、スポンサー企業の中では最上位企業となっています。足元の株式市場で話題になったのは、食事デリバリーを行っている企業で、夢の街創造委員会(2484> などは大きく上昇しています。
その他、テレビ、レコーダーなどクロモノ家電を生産・販売するパナソニック <6752> 、シャープ <6753> 、ソニー <6758> や、それらの製品を取り扱うビックカメラ <3048> 、ヤマダ電機 <9831> などの家電量販店、アシックス <7936> 、ミズノ <8022> などのスポーツ用品関連企業は、サッカーW杯のみならず五輪も含め、スポーツ・ビッグイベントの「定番」的企業と言えそうです。
ちなみに「サッカーW杯関連企業」と聞いて「もう注目するのはタイミング的に遅いのではないか」と考える投資家も多いと思います。日本代表の事前の評価が低いこともあり、その敗戦によって早々と注目度が下がる可能性は否定できません。
ただ、表1にもあるように、関連企業のここまでの株価パフォーマンスは、上記の夢の街創造委員会など一部の例外を除き、決して高いとは言えないのが現実です、したがって、事前の低評価を乗り越え、日本チームが活躍した場合など、改めて注目される可能性も残っていると考えられます。
表1:ロシアW杯関連銘柄(例)
コード / 銘柄名 / 株価(6/14) / 株価騰落率(1ヵ月) / コメント
<1435> / TATERU / 2,141 / 11.9% / アパートの企画・施工管理。本田選手をCMに起用
<2229> / カルビー / 3,875 / -1.4% / 日本代表ポテトチップスを販売
<2433> / 博報堂DY HD / 1,781 / 9.0% / 大手広告代理店
<2484> / 夢の街創造委員会 / 2,830 / 46.4% / 食事デリバリー。家で観戦
<2503> / キリンHD / 3,060 / 4.0% / サッカー日本代表オフィシャルパートナー
<2670> / エービーシー・マート / 6,390 / -12.1% / シューズ店
<2876> / ジェーシー・コムサ / 374 / -1.1% / 食事デリバリー
<3028> / アルペン / 2,459 / 4.1% / スポーツ用品(サッカー用品も)
<3030> / ハブ / 1,259 / 9.2% / スポーツバー
<3048> / ビックカメラ / 1,741 / -0.2% / 大手家電量販店
<4324> / 電通 / 5,270 / 1.2% / 大手広告代理店
<4668> / 明光ネットワークジャパン / 1,299 / 4.2% / 大手サッカー教室を展開
<4676> / フジ・メディアHD / 1,876 / -4.5% / ワールドカップ放送局
<4705> / クリップコーポレーション / 936 / -1.0% / サッカー教室「ユアサ サッカークラブ」
<6752> / パナソニック / 1,560 / -4.5% / クロモノ家電
<6753> / シャープ / 2,881 / -10.5% / クロモノ家電
<6758> / ソニー / 5,387 / 1.9% / クロモノ家電
<7514> / ヒマラヤ / 1,174 / -0.4% / スポーツ用品(サッカー用品も)
<7936> / アシックス / 1,759 / -5.0% / スポーツ用品(サッカー用品も)
<8022> / ミズノ / 4,165 / 2.0% / スポーツ用品(サッカー用品も)
<8028> / ユニー・ファミリーマート / 11,840 / 4.7% / サッカー日本代表サポーティングカンパニー
<8114> / デサント / 2,102 / -0.3% / スポーツ用品(サッカー用品も)
<8253> / クレディセゾン / 1,807 / -7.9% / サッカー日本代表サポーティングカンパニー
<8281> / ゼビオHD / 1,857 / -7.3% / スポーツ用品(サッカー用品も)
<8411> / みずほFG / 193 / -3.2% / サッカー日本代表サポーティングカンパニー
<8725> / MS&ADインシュア / 3,571 / -5.0% / サッカー日本代表サポーティングカンパニー
<9201 / 日本航空 / 4,335 / 7.5% / サッカー日本代表サポーティングカンパニー
<9270> / SOU / 6,350 / 23.1% / 買取店「なんぼや」を展開。嵜本(さきもと)社長はガンバ大阪出身
<9401> / TBS / 2,519 / 2.6% / ワールドカップ放送局
<9404> / 日本テレビ / 1,876 / -2.5% / ワールドカップ放送局
<9409> / テレビ朝日 HD / 2,414 / -0.6% / ワールドカップ放送局
<9412> / スカパーJSAT / 519 / 0.8% / 過去にW杯を放送(2018年はNHKと民放で放送する)
<9766> / コナミHD / 5,400 / -1.3% / サッカーゲーム
<9831> / ヤマダ電機 / 555 / -3.1% / 大手家電量販店
【参考】日経平均株価 / 22,738.61 / -0.6%
※各種報道等をもとにSBI証券が作成。
サッカーW杯の「意外な関連銘柄」を探る
今回のサッカーW杯では、試合の微妙な局面を映像で確認し、主審に伝えて判定を手助けするビデオ・アシスタント・レフェリー制度(VAR)が本格的に導入されることになりました。このシステムを担うのは英国のホークアイ・イノベーションズですが、実はこの会社はソニー <6758> の傘下企業です。
なお、英国ではBBCが33試合をソニーのプレイステーションVRを含むVRヘッドセット向けに放送するという取り組みも行っているようです。サッカーW杯のようなビッグイベントはVR(仮想現実)を使ったサービスの普及が加速するキッカケになるかもしれません。
このように考えるとソニーはサッカーW杯に関連した銘柄としては意外と中核的存在と言えるかもしれません。
なお、近年は海外で活躍する日本人選手も少なくないようです。サッカーW杯で一流のプレーをみて、自分の子供をサッカー選手にしたいという親も少なくないと思います。
逆に、日本代表が早期に敗退した場合、若い年齢層の選手を育成することが課題になる可能性があります。
そうした中で注目されるのがサッカー教室を展開している企業です。明光ネットワークジャパン <4668> はプロコーチが教えるサッカー教室を展開。また、クリップコーポレーション <4705> は「ユアサ サッカークラブ」という名前でサッカー教室を展開しています。
アパートの企画・施工管理を営むTATERU <1435> では、日本代表の中核的メンバーである本田圭佑を起用したCMを制作しています。同選手の起用によって、TATERUの知名度アップにつながっているようです。仮に、日本代表が期待以上の活躍を見せれば、当社のブランド価値も強く影響を受ける可能性がありそうです。
また、買取店「なんぼや」を展開しているSOU <9270> ですが、嵜本(さきもと)社長は「ガンバ大阪」の選手だったという異色の経歴を持っています。サッカーW杯と直接関係はないですが、日本代表の活躍が続き、日本サッカーに話題が集まれば、改めて注目される可能性があります。
なお、英国風のPUBを展開するハブ <3030> ですが、サッカーW杯についてはパブリック・ビューイングを行う予定のようです。サッカーW杯は直接的にビジネスチャンスになっているようです。
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之 SBI証券 投資調査部
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