6月25~29日の東京株式市場は軟調に推移した。米中貿易戦争が世界的な広がりを見せる中、株式市場では引き続きリスク回避による売りが先行した。29日の日経平均株価は前週末比212円32銭安の2万2304円51銭で取引を終了、週間ベースでは2週連続の値下がりとなった。
ジャスダック「6月の上昇率」ランキング
それでは、今回はジャスダック市場の「6月の上昇率」ランキングを見ていこう。
(1)高見沢サイバネティックス <6424> 1517円 +59.18%
(2)システムズ・デザイン <3766> 1444円 +58.51%
(3)ソーバル <2186> 1901円 +48.63%
(4)アミタホールディングス <2195> 4400円 +46.18%
(5)五洋インテックス <7519> 526円 +42.16%
(6)NFKホールディングス <6494> 253円 +37.50%
(7)ASIAN STAR <8946> 194円 +34.72%
(8)ビジョナリーホールディングス <9263> 172円 +28.36%
(9)ジェイホールディングス <2721> 1060円 +28.02%
(10)歯愛メディカル <3540> 8390円 +25.60%
※銘柄、証券コード、6月29日終値、上昇率の順。
6月は実に7銘柄が30%以上の上昇率を記録している。業種別では卸売業が3銘柄で最多となったほか、サービス業と機械が各2銘柄、情報・通信業、不動産業、小売業が各1銘柄だった。
高見沢サイバネティックス、キャッシュレス決済関連で人気化
今回は上記ランキングから高見沢サイバネティックス、歯愛(しいあい)メディカル、五洋インテックスを取りあげる。
高見沢サイバネティックスは「駅の自動券売機」を製造販売する機械メーカー。硬貨処理装置などのメカトロ機器やセキュリティーゲート、地震計測機器なども手掛けている。
高見沢サイバネティックスは「キャッシュレス決済関連株」として人気を集めた。6月23日、日本経済新聞は「政府は2019年10月に予定する消費税率10%への引き上げ時に、中小の小売店や飲食店に対してキャッシュレス決済の導入を支援する。必要な端末を配布するほか、買い物代金の一部をポイントで還元するための補助を検討する」(電子版)と報じた。高見沢サイバネティックスは決済分野で実績があり、このニュースをきっかけに投資家の買いを集めたようだ。
また26日に同社は新型計測震度計の販売開始も明らかにしている。「現在の緊急地震速報システムと比べ、より早く、かつ正確な震度予測、警報の発令、被害推定が可能になる方法」についての研究成果を学会で発表。高密度な観測網の整備につながる「スマート地震計」の販売も開始している。
高見沢サイバネティックス株の6月の上昇率は59.18%を記録し、今回のランキングでTOPとなった。
歯愛メディカル、歯科医院検索サイトを開設
歯愛メディカルは医療関係者向けに通信販売等を行う会社。歯科業界での歯ブラシ販売本数、歯科通販売上高でトップシェアを占める。
6月8日、同社は歯科医院の検索サイト『さがそう歯医者さん』を開設した。スマートフォン等で現在地の近くの歯科医院を地図で探すことができるほか、診療曜日や時間により「検索した時点」で開いている歯科医院を絞り込め、歯科医院の評判に関する口コミも読むことができる。また、歯科医院向けとして予約システムと『さがそう歯医者さん』の連携も予定している。
歯愛メディカルは、上記サイト開設を手掛かりに人気化した。月間上昇率は25.60%となり、今回のランキングで10位となった。
五洋インテックス、今期の黒字期待で買われるが…
五洋インテックスはカーテン等を扱うインテリア専門商社。創業は1979年で愛知県小牧市に本社を置く。
6月4日、五洋インテックス発表の2018年3月期連結決算は減収、営業赤字、最終赤字という厳しい結果となった。2017年5月にカーテンのメインブランド「インハウス」見本帳を5年ぶりに改定したが、その販売促進費用の増加等が重しとなったようだ。ただ、2019年3月期の業績については増収を予想。営業損益も5000万円の黒字転換を見込んでいる。2019年10月の「消費税増税」を控えて住宅需要が高まり、カーテン販売にも好影響をもたらすとみている。
なお、五洋インテックスは太陽光パネルやタブレット端末を販売する新規事業で売上計上に不正が発覚し、6月20日に再発防止策や役員の報酬自主返納を決めた。過年度の決算を訂正しており、6月29日には証券取引等監視委員会が課徴金600万円の納付命令を発出するよう金融庁長官に勧告したことも明らかにしている。今後の続報が気になるところだ。(ZUU online 編集部)