目次

  1. 在職老齢年金の落とし穴
  2. 労働時間を増やしても手取りに大差なし
  3. 収入が多いと年金受給額を減額
  4. のんびり働き、年金確保するのも1つの生き方

在職老齢年金の落とし穴

(画像=PIXTA)

世は人生100年時代。政府は人口減少で深刻さを増す人手不足解消策も視野に入れ、高齢者の就業促進に力を入れている。定年後も健康なうちは働きたいと、仕事を続けている人も多いだろう。ところが、年金の仕組みをよく理解していないと、働けば働くほど損をすることがあるということをご存知だろうか。2000年の法改正で創設された在職老齢年金では、収入が多いと年金を減額されてしまうからだ。

現在の制度は定年後、のんびりと働くことを前提に制度設計されている。しかし、一方で元気な高齢者は、政府から第一線で働き続けることを求められている。政府の思惑に応え、一線で働き続けようと意欲のある高齢者は「働き損」をするしかないのだろうか。

労働時間を増やしても手取りに大差なし

徳島県の中小企業に勤めるAさんとBさん。ともに誕生日が来れば62歳になる。同じ会社で40年以上働き続け、最後は別々の関連会社に出向して役員を務めていたが、4月から元の会社で再雇用されている。

Aさんは引き続き、バリバリ働きたいと思い、フルタイムの勤務を選んだ。結婚が遅かったため、東京で独身生活を送る娘が2人いる。故郷で老健施設に入所する母親の介護費用も月に10万円を下らない。長男として母親の面倒をみる責任を感じているうえ、娘の嫁入りなど物入りが続くと考え、若いころにいた職場で週5日働いている。

Bさんは現在、独身。離別した奥さんとの間に息子がいるが、既に独立して結婚している。80代後半の母親は今も元気に故郷で農業をしている。次男という気安さもあり、週3日だけ勤務し、休日は同僚や友人と趣味のゴルフを楽しんでいる。

2人は同期で、最後の役職、関連会社での賃金もほぼ同じクラス。Aさんによると、再雇用後の賃金は週5日勤務のAさんが月30万円足らず、週3日勤務のBさんは20万円ほど。ざっと10万円程度の差があるのに、年金を含めた手取りになると、ともに27~28万円でそれほど大差がないという。

2人の年金月額は約10万円。収入の多いAさんは在職老齢年金の制度により、年金を6万円以上カットされているのに対し、Bさんは1万円ほどの減額で済んでいる。さらに、Bさんは再雇用で定年後の賃金が大きく下がった際、雇用保険から支給される高年齢雇用継続給付を受けている。

Aさんは「これでは全くの働き損になる。政府は高齢者の活用などといっているが、本音は年金を出さないための仕組みでないか」と怒りが収まらない様子だ。

収入が多いと年金受給額を減額