お金のことを考えると、節約する、貯める、ふやすということをついつい私たちは考えがちになります。しかし、国の社会保障や助成金に目を向けると、国もフォローしてくれていることに気がつきます。しかし、どのようにしてキャッチアップするのがよいのでしょうか。家計再生コンサルタントの横山光昭さんにお話をお聞きします。

家計防衛の観点からみた社会保障や助成金、どうやってキャッチャアップするの?

3-1

――まずは、家計防衛という観点から、社会保障や助成金をどのように活用していくべきかといったテーマでお話をいただければと思います。意外と知らないことが多いかと思いまして……。

横山さん:そうですね。ご自身にとって該当するものがあったら、ぜひ活用していただければと思います。具体例でお話をすると、何週間も入院して、医療費が高額になったとします。そんなときに使えるのが高額療養費制度です。毎月1日から月末までにかかった医療費のうち、自己負担限度額を超過した金額が払い戻される制度です。70歳未満の方がであれば事前に医療費が高額になると分かっている場合には、「限度額適用認定証」を提示すると支払いが自己負担限度額となり便利です。

ただ、一方で、いわれなければわからないかもしれません。そうなると、例えば数十万円、数百万円医療費がかかるといわれた場合、途方に暮れてしまいます。あらかじめ知っておくほうがよいということになりますよね。

教えて欲しい!社会保障や助成金の情報のキャッチアップ方法

――日本人が金融の教育をあまり受けていないのと同じように、社会保障のお話はとても大切でBASICなのに、みんなよく知らないと思います。勉強するしかないのでしょうけれども、あまりも範囲が広いため、どこから入ってどうやればいいのかよくわからないような気がしています。

横山さん:情報収集の仕方はいろいろあると思います。今は情報が氾濫していますが、例えば雑誌やWEBの記事から入るのがよいかもしれません。先程、医療のお話をしましたが、結婚や出産、子育てなのでもいろいろな制度があります。自分の人生の節目を迎えるタイミングで、関連する情報を調べてみるスタンスでもよいと思います。子育てに関する制度などは、実は学校から配布される書類に書いてあることもあります。私も子どもの学校から貰う書類を読んで、制度のことをより深く知ったりしています。

いろいろな情報が出回っていますが、自分にとって大事だと思われる情報には目配りしたいですよね。特に30代の人たちは結婚、出産、子育て、マイホームの検討など、ライフイベントが重なる時期でもあると思います。もちろん、預貯金や投資による資産形成で賄える部分は賄った方がよいと思いますが、こういった社会保障や助成金、補助金なども家計の一助となると前向きに考えてもよいのではないかと思います。

また、将来に対して不安になっている方も多いと思います。どうしても、老後、何歳になったらいくらもらえるのだろうかというお話ばっかりを知りたがりますが、自己防衛のためにも、そういった老後のお金を得る手段がほかにもあるという情報を知っておくのがよいでしょう。

知っている人生と知らない人生では大きく変わる。お金のことも同じこと。

3-2

――ありがとうございます。横山さんのお話をお聞きして、やっぱり我々も、自分たちのお金との向き合い方をしっかり考えていかなければと、そう思いましたね。自分たちの立場や必要に応じて対応していくべきであって、そのために知らなくてはいけないことはたくさんあります。自分ひとりで調べきれない、理解しきれない場合、横山さんのようなファイナンシャルプランナーに相談したほうがよいという話ですね。

横山さん:まぁ、そうですね(笑)。こうやっていろいろなお話をしていますが、知っている人生と知らない人生では大きく違うと思います。これは、さまざまなことが当てはまると思いますが、お金のことも同様です。特に、お金のことは理解しにくいと思われがちですが、私がお伝えしているのは当たり前のことばかりなんです。ただ、この当たり前のことに気づき、知ることができるかどうかの積み重ねで、その先の人生が大きく変わってくるんじゃないかなと思います。

例えば、毎月3万円を貯めるとしたら、1年貯めれば36万円になりますから。そういった金額をきちんと捻出していけるか否かで、未来は大きく変わってきます。“やる”、“やらない”の決意と少しの差が、先々の大きな差になるのではないかと思います。しかも、やるべきことは、そんなに難しいことではありません。

投資に関してもつみたてNISAやiDeCoなど、いろいろ方法がありますが、ポイントだけでも勉強すれば、すぐに始めることができますしね。そういった、ちょっとしたことを、やるかやらないかで、大きく人生は変わっていきます。本当に人生は長くなっています65歳なんて、まだまだお若いですよ。家計簿をみていても、“交際費”みたいな支出が、ものすごく多いですもの(笑)。まだまだ元気なんですよね。

昔の65歳とは全然違います。医療も進歩していますから、人生100年時代はもう訪れているといえるんじゃないでしょうか。余生を楽しむためには元気でいたいし、ゆとりのある毎日を過ごせるお金もあったほうがいいと思うのではないでしょうか。だからこそ、お金のことはよく考えていってほしいですし、自分で考えて、何らかの対策を講じていったほうが良いと思います。

横山 光昭さん(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント。株式会社マイエフピー代表取締役。
家計の借金・ローンを中心に、盲点を探りながら抜本的解決、確実な再生をめざす。個別の相談・指導では独自の貯蓄プログラムを生かし、リバウンドのない再生と飛躍を実現し、これまで8000 人以上の赤字家計を再生した。業界でも異端児的活動で、各種メディアへの執筆・講演も多数。雑誌、新聞、テレビ、ラジオでも活躍。Web では日本経済新聞社などで連載を公開中。全国の読者や依頼者から共感や応援の声が集まる、庶民派ファイナンシャルプランナー。
独自の貯蓄法などを紹介したシリーズ累計61万部の『年収200 万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)をはじめ、『約7000 世帯の家計診断でわかった!
ずっと手取り20 万円台でも毎月貯金していける一家の家計の「支出の割合」』(ダイヤモンド社)、『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』
(共著/新潮社)など著書も多数。

(提供:お金のキャンパス

【関連記事 お金のキャンパス】
はじめてのロボアド!みずほ証券の「あしたのそなえ」をやってみた1
税金は難しくない?! 初心者でもわかる確定申告 (前編)
やってみよう株式投資 初任給から始める資産形成
お金は「円」だけで大丈夫? 初任給から始める資産形成
やってみよう株式投資 初任給から始める資産形成