本記事は、世古口 俊介氏の著書『富裕層が実践する資産運用のすべて』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

富裕層が実践する資産運用のすべて
(画像=Deemerwha/studio_stock.adobe.com)

富裕層の税務戦略

富裕層の税務戦略の目的を簡単に表現すると「相続と収入の税金を減らす」ことです。その目的を達成するために必要なのが「国内不動産」と「資産管理会社」です。
本章では、主にこの国内不動産と資産管理会社を使った相続や収入に対する税金対策の基本や実例をお伝えします。

なぜ富裕層は税金対策をするのか

まず、なぜそもそも富裕層は相続や収入に対する税金対策をしたいと思っているのかを考えましょう。
日本は、個人の収入に対する税金が最高で55%、相続の税金が最高で55%なので最高税率を前提にすると最初個人に入ってくる収入が最終的に子供の資産になるときには約2割に減っているということです。
資産と収入が多い富裕層にとっては恐ろしい現実です。
金持ちは三代続かない」という言葉は苦労知らずの三代目が散財することが原因だと思われていますが、本当はこの日本の税金の重さが理由ではないかと考えてしまうくらいです。
富裕層は相続や収入にかかる税金を減らすことで「一族の資産を守りたい」のです。

国内不動産

ではまずは国内不動産から説明します。国内不動産は主に「相続対策」に使われます。富裕層が相続対策に国内不動産を持つ理由は前章でも説明した通り、「国内不動産は相続税評価が物件金額よりも著しく低い」からです。
物件金額5億円の国内不動産を持っているとして、相続税評価が1.5億円になると相続財産が3.5億円分減ったことになります。

これほど大きな相続対策の効果を投資するだけですぐに得られる資産は国内不動産以外には存在しません。
相続税を「大幅」かつ「早く」減らしたいという富裕層は国内不動産に投資するしかないと考えてもいいでしょう。

相続税負担額シミュレーション

ここからはさらに詳しく国内不動産を保有した場合の相続税負担額の簡単なシミュレーションをしたいと思います。
まずは資産配分シートで当初の状態を見ていきましょう。
68歳の男性で家族は奥様とお子様2名、資産配分はわかりやすく金融資産だけで10億円持っていることにしたいと思います。
この当初の資産配分のままで一次相続、二次相続が起こったと仮定すると合計の相続税負担額は約3.3億円になります。

3.3億円は保有する純資産10億円に対して33%で、資産の1/3を相続で失うということなのでかなり大きな相続税負担といえるでしょう。

では、当初の状態から資産を再配分します。余剰の円預金と年齢の割に株式が多かったので預金(円)2億円、先進国株式1億円を減らし、先進国債券も5,000万円分減らしました。
これにより3.5億円分の投資が可能になりましたので頭金にして、さらに5.5億円を銀行から借入し9億円の国内不動産に投資します。
国内不動産9億円は都内の一棟RCマンションで相続税評価が70%減少する物件と仮定します。

この再配分後の資産配分の状態で一次相続、二次相続が起こったと仮定すると合計の相続税負担額は約6,415万円になります。
当初と国内不動産に投資した再配分後を比較すると約2億6,500万円も相続税負担額が減少していることがわかります。
保有純資産10億円に対する相続税負担額の割合だと当初33%で再配分後が6.4%なので約26%も負担が減ったことになります。

この簡単なシミュレーションを見るだけで、なぜ富裕層の大半が国内不動産で相続対策するかが理解できると思います。

富裕層が実践する資産運用のすべて
(画像=富裕層が実践する資産運用のすべて)
富裕層が実践する資産運用のすべて
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富裕層が実践する資産運用のすべて
世古口 俊介(せこぐち・しゅんすけ)
株式会社ウェルス・パートナー代表取締役
資産数億円以上の富裕層を対象に資産運用コンサルティングを行う。金融資産と実物資産を含めた資産配分全体の最適化や資産管理会社、相続対策など税務戦略の提案を複合的に行うのが特徴。
書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者19万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」等を通して日本の富裕層に資産運用の情報を発信。

〈著書〉
『富裕層のための米ドル債券投資戦略』(総合法令出版)
『しっかり1億円貯める月1万円投資術』(あさ出版)
『貯金ができない私でも、1億円貯まる方法を教えてください』(あさ出版)
『元プライベートバンカーが教える相続のキホン』(MONEYzine Digital First)

〈経歴〉
2005年4月〜2008年3月:日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)
2008年4月〜2009年7月:三菱東京UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレー証券)
2009年8月〜2016年5月:クレディ・スイス(現・UBSグループ)
2016年10月〜現在:株式会社ウェルス・パートナー代表取締役

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