本記事は、世古口 俊介氏の著書『富裕層が実践する資産運用のすべて』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
金融資産と実物資産どちらも絶対に持つ?
ここまでの資産配分を見ると、すべての資産配分で金融資産と不動産などの実物資産どちらにも投資をしています。
私の20年の経験から、富裕層の資産運用においては金融資産と実物資産をどちらも持つのが王道です。金融資産と実物資産はお互いにないメリットとデメリットを持っているため、合わせ持つことによる資産配分の補完性が高いからです。
では、絶対に金融資産、実物資産どちらも持たないといけないのかというとそのようなことはありません。王道とはいえただの傾向、本人の希望がもっとも尊重されるべきだからです。
たとえば、今後いつ新しい事業で、多額の資金が必要になるかわからないのであれば、不動産より流動性が高い金融資産だけに投資したほうがいいと思います。
一方で、借入を増やして投資効率を上げることをもっとも重視するのであれば、不動産だけに投資したほうが目的に合っているでしょう。
傾向としては金融資産、実物資産どちらにも相応の投資をする富裕層が圧倒的に多いですが、それは本人の考え方次第なので場合によっては金融資産だけ、実物資産だけという資産配分も正しい可能性があると考えてください。
金融資産と実物資産に偏っているダメなパターン
金融資産、実物資産に配分が偏っている明らかにダメなパターンもあります。前述のようにしっかりした考え方がある上で偏っているならいいのですが、深い考えがなく気づいたら偏っているパターンです。
何かのきっかけで資産を持ち富裕層になると多くの金融業者や不動産会社が近づいてきます。金融業者からはあらゆる金融資産を、不動産会社からはさまざまな不動産の提案を受けているうちに、気づいたら資産配分が金融資産ばかりになってしまったり、実物資産だけになってしまったりする富裕層は非常に多いのです。
明確な意志や目的のない資産の偏りは百害あって一利なしです。
いろいろお付き合いもあるでしょうが、しっかり資産配分を決めた上で金融資産、実物資産どちらかだけに偏らないように注意しましょう。
資産配分を決めたら次は金融資産・実物資産・税務を考える
ここまでが「総論」である資産配分戦略です。総論の資産配分をしっかり決めてから「各論」の具体的な金融資産、実物資産、税務戦略を考えていきます。
総論が大事なのは言うまでもありませんが、各論も非常に大事です。仮に最適な資産配分が考えられていても、金融資産や実物資産にどのような投資対象や選択肢があって、何に投資をするのがいいかなど、具体的な戦略がなければ資産運用は絶対に成功しないからです。
また、どれだけ資産運用がうまくいっても日本は収入と相続に最高で55%の税金がかかる国なので、税務戦略がないと子どもや孫に多くの資産を残すことはできません。
そのように金融資産、実物資産、税務戦略をそれぞれ考えてからまた一度、資産配分に立ち戻ります。「この株式を組み込むことを考えると、債券の割合をもっと減らしていいんじゃないか」「この不動産の投資効果を考えると、借入をもっと増やしていいんじゃないか」と個別具体的な金融資産、実物資産の検討をすることで資産配分の新しいアイデアが生まれるからです。
資産配分案を考えてから具体的な金融資産、実物資産、税務戦略を検討する。この検討の繰り返しによって最適な資産配分ができ上がるのです。
資産数億円以上の富裕層を対象に資産運用コンサルティングを行う。金融資産と実物資産を含めた資産配分全体の最適化や資産管理会社、相続対策など税務戦略の提案を複合的に行うのが特徴。
書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者19万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」等を通して日本の富裕層に資産運用の情報を発信。
〈著書〉
『富裕層のための米ドル債券投資戦略』(総合法令出版)
『しっかり1億円貯める月1万円投資術』(あさ出版)
『貯金ができない私でも、1億円貯まる方法を教えてください』(あさ出版)
『元プライベートバンカーが教える相続のキホン』(MONEYzine Digital First)
〈経歴〉
2005年4月〜2008年3月:日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)
2008年4月〜2009年7月:三菱東京UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレー証券)
2009年8月〜2016年5月:クレディ・スイス(現・UBSグループ)
2016年10月〜現在:株式会社ウェルス・パートナー代表取締役
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