本記事は、世古口 俊介氏の著書『富裕層が実践する資産運用のすべて』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

富裕層が実践する資産運用のすべて
(画像=SHOKO/stock.adobe.com)

富裕層が暗号資産を保有する理由

富裕層の資産運用でも暗号資産に投資することはかなり増えてきました。私の肌感ですが、全体の半分くらいの富裕層が資産の一部を暗号資産として保有しているように感じます。

富裕層が、暗号資産を保有する最大の理由は「究極のリスク分散」です。何のリスクに対する分散かというと「先進諸国が発行する法定通貨の崩壊」です。
一般的に富裕層の資産は円や米ドル、ユーロなど先進諸国の信用が裏付けになっているいわゆる「法定通貨」建ての資産が中心になっています。つまり、日本やアメリカなど先進諸国の経済が崩壊したり、財政が破綻したりすると富裕層は甚大な損失を被ることが予想されます。

そのような絶望的な状況のときに、注目され価格上昇が予想されるのが暗号資産です。暗号資産は金と同じように独自の価値を持っていると考えられているからです。暗号資産は現在の世界を席巻している国の信用で発行されている「法定通貨に対するアンチテーゼ」なのです。
誰しもアメリカや日本が破綻するとは本気で思っていませんが、可能性はゼロではないと考えています。多額の資産を保有する富裕層なら万が一に備えて、暗号資産も保有するのは自然な投資行動でしょう。

暗号資産と金の比較

暗号資産をさらに詳しく理解するために、同じようにリスク分散として多くの富裕層が保有する金と比較して特徴を確認していきたいと思います。
暗号資産も金も富裕層の主な投資目的は、前述の通り法定通貨の崩壊に対するリスクヘッジですが、歴史の深さはまったく異なります。

金は何千年も前から人類の取引に使用され、何百年も前から富裕層の資産を守るために投資されてきました。一方で、暗号資産は急成長しているものの歴史としては、十数年程度です。
歴史の長い資産か、最新の技術で生まれた資産かどちらが今後、繁栄するかわかりませんが、間違いなくいえるのはどちらかだけではなく、どちらの資産も保有してリスク分散したほうがいいということです。

信用の裏付けは、暗号資産はブロックチェーン技術や暗号技術など最新のテクノロジー技術なのに対して、金は実際に存在する実物の金塊になります。
時価総額は暗号資産全体で約490兆円(2025年5月15日時点)なので日本の株式市場全体の約半分、Apple社の時価総額と同程度の価値となっています。
一方、金の時価総額は2024年12月末時点の推定の地上在庫から約1,500兆円と予想されているので、現時点では暗号資産の約3倍の時価総額があると考えられます。

価格推移は直近1年だと暗号資産のほうがやや上昇率が高く、直近5年だと暗号資産は金を遥かに超え約14倍に上昇しているので、時価総額の差もかなり縮まってきています。

富裕層が実践する資産運用のすべて
(画像=富裕層が実践する資産運用のすべて)

どの暗号資産に投資するのがいいか?

では、具体的にどの暗号資産に投資すればいいのでしょうか。暗号資産もかなりの種類が存在していますので、いざ投資するとなると迷う人も多いでしょう。

暗号資産も株式と同じように「時価総額に比例して投資する」のがわかりやすくていいと思います。もっとも時価総額が大きい暗号資産は「ビットコイン」です。暗号資産の時価総額全体に占める割合は61%ですので、株式の世界だとアメリカ株式のような存在です。

またTOP5の暗号資産までで、時価総額全体の8割を占め、その他の暗号資産の割合は2割となっています。

この時価総額の構成を考慮すると、暗号資産に投資する場合はビットコインを中心に時価総額TOP5までに投資すれば暗号資産全体の値動きにほぼほぼついていくことができると考えられます。
私の周りだとビットコイン7割、残りのTOP5暗号資産に3割投資するという富裕層が多いと感じます。

富裕層が実践する資産運用のすべて
(画像=富裕層が実践する資産運用のすべて)
富裕層が実践する資産運用のすべて
世古口 俊介(せこぐち・しゅんすけ)
株式会社ウェルス・パートナー代表取締役
資産数億円以上の富裕層を対象に資産運用コンサルティングを行う。金融資産と実物資産を含めた資産配分全体の最適化や資産管理会社、相続対策など税務戦略の提案を複合的に行うのが特徴。
書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者19万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」等を通して日本の富裕層に資産運用の情報を発信。

〈著書〉
『富裕層のための米ドル債券投資戦略』(総合法令出版)
『しっかり1億円貯める月1万円投資術』(あさ出版)
『貯金ができない私でも、1億円貯まる方法を教えてください』(あさ出版)
『元プライベートバンカーが教える相続のキホン』(MONEYzine Digital First)

〈経歴〉
2005年4月〜2008年3月:日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)
2008年4月〜2009年7月:三菱東京UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレー証券)
2009年8月〜2016年5月:クレディ・スイス(現・UBSグループ)
2016年10月〜現在:株式会社ウェルス・パートナー代表取締役

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