証券会社を有名・大手のネットや対面の会社から選ぶ人も多いだろう。しかし中堅・小規模の証券会社にもさまざまな魅力がある。IPO投資を考えると複数の会社に口座を持っておいて損はない。今回は「水戸証券」について見ていこう。
水戸証券とは——東証1部上場、資本金は122億円
水戸証券 <8622> は、関東を中心に営業活動を行っている中堅の証券会社だ。藍澤證券、いちよし証券、岩井コスモ証券、極東証券、東洋証券、丸三証券と並び、中堅7社として数えられている。その歴史は古く、1921年に開業された「小岸商会」が元となっている。その後、1944年に丸水証券を統合した際に「水戸証券」と商号を改めた。協同証券の買収、秦野証券の合併などさまざまな証券会社との合併吸収を行い、現在の水戸証券となっている。
資本金は122億7298万5600円、現在の店舗数は26店舗、東京証券取引所第一部にも上場している(証券コードは8622)。本店は東京都に置いているが、支店は茨城県が最も多く9店舗、次いで埼玉に5店舗、千葉に4店舗となっており、関東を中心に地域密着型の営業活動を行っている証券会社だ。水戸証券が挙げる自社の強みでも「お客さまとの距離感の近さ」を上げており、関東一円を中心とした営業エリアで、地域密着型の細やかなサービスを提供することを売りにしている。
水戸証券の特徴は安定した財務状況
証券会社選びでは、手数料の安さや金融商品の利回りの良さなどに目がいきがちだ。その反面、証券会社の経営については忘れられやすい。証券会社は金融機関であり、お金のプロであるから倒産はしないと思いがちだが、証券会社も民間の会社である。経営状態が悪化すれば、倒産はまぬがれない。近年の日本でそうした事態が起こっていないだけで、1997年には日本の四大証券の一つだった山一證券が自主廃業した事実もある。
証券会社が倒産しても、金融資産が失われるわけではない。証券会社が顧客から預かる有価証券や金銭は、証券会社の資産とは区別して管理するよう義務付けられており、倒産した場合は顧客へと戻る仕組みになっている。
投資信託においては、証券会社は販売の窓口であり、運用資産は実際に株や債券などを売買する信託銀行によって管理されている。万が一、資産が円滑に変換されていない場合は、日本投資者保護基金から一人1000万円までは補償を受けることができる。しかし、証券会社が破たんした場合、資産の返還までに時間と手間がかかることも事実。ある程度安定した経営状態の証券会社を選ぶことは、リスク軽減にも役立つ。
水戸証券の経営状態は2018年3月末時点で、自己資本規制比率は658.8%、自己資本403億円にたいして有利子負債は短期のみで27億円、固定資産は174億円となっており、安全性が高い経営体制を整えている。
水戸証券の取り扱い金融商品
水戸証券では、顧客のニーズに合わせた商品を用意している。具体的には、水戸ファンドラップ、投資信託、外国債券、国内株式、外国株式(米国株)、国内債券、REIT、ETF、新規公開株式、個人年金保険といった商品を取り扱っている。中でも特徴的なのが水戸ファンドラップだ。手間がかからずプロに投資を任せられるため、時間がない個人投資家向きの金融商品だ。
資産運用をプロに任せる「水戸ファンドラップ」で手間なく投資
資産運用は行いたいけれど、投資の知識がない。資産運用にかける時間がない、といった方に最適なサービスが、水戸証券が提供している「水戸ファンドラップ」だ。水戸ファンドラップでは、9種類の投資信託を組み合わせ、長期的視点に立った効率的な国際分散投資をプロが行ってくれる。こちらのサービスでは、資産配分・売買執行・口座管理のすべてを水戸証券が行う投資一任契約を結ぶため、資産運用はすべてプロに任せることができる。忙しくて運用を行う時間が取れなくても手間をかけずに運用ができるというメリットがある。
運用コースの選択は、その人の投資に対する考え方を聞いたうえで、投資スタイルに合ったものを提案する。ファンド選定や配分比率は、モーニングスター・アセット・マネジメントのアドバイスをもとに決定しているため安心感が高い。
運用状況は売買の都度、取引報告書が郵送されるのに加えて、3カ月ごとの運用報告書で知ることができる。インターネット上ではいつでも運用状況の確認が可能だ。投資の手間をとにかく省きたいと考えている個人投資家にはメリットが大きいのではないだろうか。
水戸証券の取引方法は2種類
水戸証券では、取引方法を2種類から選べる。営業店に口座を持ち、営業店・カスタマーセンター・インターネットの3つを利用できる「水戸マルチチャネルサービス」とインターネットのみで取引を行う「水戸ネット」だ。
「水戸ネット」は全国どこでもインターネットで取引できる。営業店を通じての取引よりも手数料が割安で、コストを抑えた投資ができる。水戸証券のサイトから操作を行うことで取引が可能だ。PC、スマホ、タブレットで利用が可能だ。
インターネット操作に不安がある人に向けて、取引のデモ画面での体験として、「初回ログインの流れ」「買い注文の流れ」「売り注文の流れ」の3種類が用意されているので安心できる。
3種類の取引方法が使い分けできる水戸マルチチャネルサービス
顧客密着型の営業スタイルを特徴としている水戸証券では、営業店でのきめ細やかなサービスを売りにしている。営業店では投資に関するセミナーや講演会も開催しており、店舗でのサポートを必要としている個人投資家にとっては魅力的だ。ただし、店舗での取引は手数料が割高になるため、コストがかさむというデメリットがある。それをカバーできるのが水戸マルチチャネルサービスだ。
営業店で担当者と相談しながら取引するのは投資初心者にとって安心だが、手数料は高い。水戸マルチチャネルサービスなら、営業店での取引だけでなく、カスタマーセンターへの電話注文、インターネットでの注文も行える。不安が残る投資に関しては営業店で担当者と相談しながら行い、自分だけで投資できるものに関してはインターネットで注文するなど使い分けができる。インターネット環境が整っていない場合や、ネット注文が苦手なら電話でカスタマーセンターのオペレーターに対応してもらう電話取引もできる。電話での取引は、株式委託手数料が営業店での注文より20%、インターネット取引なら株式委託手数料が営業店での注文の40%割引される。
マルチネットを利用するには、まずは水戸証券の各営業所で、総合証券口座を開設し、マルチネット口座の設定を申し込めばよい。まずは営業員へ問い合わせてみよう。
ただし、水戸証券の支店は関東圏に限られている。関東以外に住んでいる場合、営業店での注文ができないためメリットが少なくなる。水戸証券の支店が近くにあり、営業員へ相談しながら投資を行いたい投資初心者であれば、検討してみる価値のあるサービスといえる。