今年の夏は猛暑に加え、台風による被害も相次ぎ、異常気象に日本経済全体が振り回された。「猛暑」と「台風」はどちらも結果として外出を控え、自宅で過ごす傾向に結び付く。夏後半から秋にかけても多くの台風発生が予想されるだけに、「在宅娯楽」の銘柄にはビジネスチャンスとなる可能性が高く、株価にも好反応が見込まれる。今回はゲームやVR(バーチャルリアリティー=仮想現実)、手芸関連の銘柄に注目してみた。

株式新聞,在宅娯楽
(画像=PIXTA)

今夏の猛暑ではエアコンや飲料などが特需に沸いた一方、あまりの高気温に外出を控える人が続出し、屋外レジャー施設や外食店の売上が一時的に減少した。さらには、毎週のように到来する台風に関しては、交通網の混乱を防ぐため退社後真っすぐ帰宅する会社員が増え、繁華街の客足にも影響しているもようだ。

こうした結果、多くの家庭で自宅で過ごす時間が増えており、在宅娯楽に注目が集まっている。

自宅で楽しめる娯楽の代表格といえばゲーム。任天堂(7974)の「ニンテンドースイッチ」はソフト、ハードとも売上が好調であり、同社の今3月期第1四半期(1Q)の連結営業利益は市場予想を大きく上回る305億円(前年同期比88%増)に拡大した。

スイッチ関連の売上増が伸びた玩具卸のハピネット(7552)は、今3月期1Qの連結営業利益が前年同期比7割増(7.7億円)に膨らみ株価も急伸。コーエーテクモホールディングス(3635)やカプコン(9697)、日本一ソフトウェア(=日本一S、3851・JQ)にも追い風が強まる。

新たな市場も立ち上がりつつある。その一つが、仮想の3次元映像を体感できるVR。専用のコンテンツも増えてきており、この夏の在宅娯楽を席巻するかもしれない。

ソフトバンクグループ(9984)の福岡ソフトバンクホークスがプロ野球のVR映像配信実験を開始しているが、同配信の専用アプリを提供しているのはチューナーなどで知られるピクセラ(6731・(2))だ。VRはほかのスポーツの中継にも広がることが確実視されるほか、企業の販促活動などにも導入されつつある。

ピクセラのほか、イマジカ・ロボット ホールディングス(6879)やJIG―SAW(3914・M)、Jストリーム(4308・M)なども商機が膨らむ。

そして、大穴として狙いたい在宅娯楽が手芸だ。クラフト人気はじわじわと戻りつつある。以前のビーズブームに乗った藤久(9966)は収益が低迷し、今6月期(非連結)は営業赤字(5.5億円、前期は7.7億円の赤字)の予想。ただし、構造改革に乗り出していることもあり、ブーム再来で業況が好転する可能性もある。

一方、個人のハンドメードグッズ売買サイト「minne(ミンネ)」を展開するGMOペパボ(3633・JQ)は、知名度の上昇とともに業績が拡大。今12月期上期の営業利益(非連結)は2.9億円(前年同期の3.2倍)と好調だ。下期にミンネのプロモーションを強化するため通期計画(営業利益は前期の2.3倍の3.3億円)は据え置いているものの、進ちょく率の高さは魅力だ。株価は右肩上がりのトレンドから一段高が期待される。(8月16日株式新聞掲載記事)

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