住宅ローンの固定金利型ローンの金利がジワジワと上がり始めている。2018年7月末の日銀金融政策決定会合で、長期金利の上限を0.20%程度まで容認する方針が打ち出されており、今後さらに上がるとの予測もある。住宅ローンをこれから組もうとする人や、借り換えをしたい人はどうすべきなのか。変動金利で契約している人は、固定に借り換えたほうがいいのか――。
住宅ローン金利が上がり始めている
2018年10月のフラット35の金利は1.41%で、今年最低だった8月の1.34%に比べると0.07%上昇している。それぐらいなら大した影響はないと思う人が多いだろうが、そんなことはない。住宅ローンの借入額は多額でかつ長い年月をかけて返済するため、わずかな金利の上昇でも総返済額は大きく増加する。
たとえば借入額5,000万円、35年元利均等・ボーナス返済なしでみると、今年最低だった7月の金利1.34%なら毎月返済額は14万9,203円だが、1.41%に上がると15万897円になる。月額で1,694円、年間では2万328円、35年間の合計では71万1,480円の増加になってしまう。
固定金利型ローンの金利はこれから数か月間で0.05%程度上がる?
フラット35のような固定金利型ローンの金利は長期金利の動向に連動している。長期金利が上がれば住宅ローン金利が上がり、長期金利が下がれば住宅ローン金利も下がることになる。
上述したように日銀は長期金利の上限を0.20%程度まで容認する方針であり、2018年10月中旬現在の長期金利は0.150%前後なので、まだ若干の上昇余地がある。ここから数ヵ月の間に0.05%程度上がっても不思議ではない。
仮に現在のフラット35の金利1.41%が1.45%まで上がると、借入額5,000万円、35年元利金等・ボーナス返済なしでみると、毎月返済額は15万1,870円になり、1.41%に比べて973円、1.34%に比べると2,667円の増額。35年間の総返済額は112万140円の増額だ。
したがって、金利が低いうちに固定金利型を選択して返済負担を確定するのが得策だろう。
住宅ローンの金利は融資申込み日ではなく、建物が完成して引き渡しを受け、融資が実行された日の金利が適用される。新築マンションだと融資申込みから引き渡し後の融資実行日までの間に1年以上かかることも珍しくない。その点を考慮すると、これから家を購入する人や住み替えをする人は、ますます早く実行するのが安心ということになる。
短期金利に連動した変動金利型ローンの適用金利に急激な変化はない?
住宅ローンには、固定金利型のほかに変動金利型がある。こちらは2018年10月のメガバンクの最優遇金利で0.625%。フラット35などの固定金利型に比べるとかなり金利水準が低いため、変動金利を利用している人のほうが多い。ただし、金利が上がれば適用金利も上がって返済額が増えるので、金利が上がりそうな局面になれば早めに固定金利型に借り換えて、金利をできるだけ低い水準で確定するのが安心だ。
この変動金利型は政策金利である短期金利に連動しているが、短期金利はこのところ長い間据え置かれていて、現在の景気動向を考えると急激な変化は考えにくい。毎年4月と10月に見直されるものの、適用金利が上がっても返済額は5年間は変わらないので、ある程度の安心感がある。
しかし、返済額は同じでも適用金利が上がると返済額に占める利息の割合が大きくなって、元金の減りが遅くなる。最悪の場合には約定通りに返済しているのに、実質的に残高が増える「未払い利息」が発生することもある。
それは金利が2%以上上昇して3%台になった場合に限られるが、そうでなくも短期金利が上がって適用金利が見直されそうなときには、固定金利型に借り換えて金利を確定するのが安心だろう。
文・山下和之(住宅ジャーナリスト)/MONEY TIMES
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