最近では、色んなところで「将来に必要な老後資金はいくらか」という問題が話題になっています。実際のところ、皆は老後資金をどのくらい貯めているのでしょうか。貯蓄だけで足りるのかどうかも気になりますが、老後資金として平均的な貯金があれば、ひとまず安心できるでしょう。

とはいえ、友人同士でもお金の話はしにくいものです。そこで今回は、老後に必要な資金額とともに、平均貯蓄額や備え方についてお伝えします。

老後に必要な資金は人によってさまざま。自分にいくら必要か計算しよう

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(画像=PIXTA)

そもそも、老後に必要な資金は「人によってさまざま」です。未婚か既婚かでも違いますし、日常の生活水準や老後にどんな暮らしをしたいかでも変わります。残したい財産額や、希望する介護方法もさまざまでしょう。このため、人と比べてどうこうではなく、「自分の場合はいくら必要か」を計算することが大切です。

自分に必要な資金は、「現在の生活費と将来の年金額との差額」を「適当な余命年数分」蓄えておくのが基本となります。

仮に現在の生活費が月25万円、将来の年金受給額が月14万円(会社員で平均年収400万円の場合の大まかな受給額)で考えてみましょう。65歳から90歳まで25年間生きるとすると、25万円(生活費)-14万円(年金受給額)で月あたり11万円、生活費が不足しています。それが25年続くので、11万円×12ヵ月×25年で3,300万円を蓄えておくことが必要です。

もし、将来の年金受給額の範囲で生活が成り立つなら、老後も恐れることはありません。ただその場合でも、医療費が増えたり介護費が必要になったりする可能性もあるので、ある程度は蓄えておいたほうが安心でしょう。

もうすぐ老後を迎える50代の平均貯蓄額は?

知るぽると(金融広報中央委員会)の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成29年)」によると、50代の金融資産保有額は3,000万円以上が12.7%である一方、金融資産なしが43.0%、1,000万円未満が27.6%となっています。金融資産保有額の中央値は130万円です。

同調査によれば、40代の金融資産保有額は3,000万円以上が7.7%、金融資産なしが45.9%、1,000万円未満が31.7%となっています。40代の中央値は30万円です。

2つのデータを見比べると、 50代は40代より金融資産は増えている一方、50代になっても十分な貯金ができていない人も多いことが分かります。「金融資産なし」と「1,000万円未満」の割合を足すと、50代が70.6%、40代が77.6%ですから、状況を改善できたのはわずか7%です。ほとんどの人は十分な対策を取れないまま、定年を迎えているのが実情かもしれません。

老後資金の準備は少しでも早いうちから

老後資金の準備は、貯金の準備のほか「生活水準を下げること」と「定年後の就労対策」でも備えることができます。自分に必要な老後資金を準備するのが厳しい場合でも、生活水準を「年金受給額の範囲内」に収めることができれば大丈夫です。

定年後の就労対策とは、例えば何か資格を取ったり、独立のための準備をしたり、あるいは定年後でも求められるほどの人材に成長したりすることです。いずれも短期間では難しいですが、40代から準備すれば定年まで10年以上ありますし、まずは興味があることから始めてみるとよいでしょう。

なお、どのような対策を立てるにしても、大切なことは「時間」です。一歳でも若いうち、一年でも早いうちからのほうが、それだけ準備に時間を取れるので、有利になります。老後を迎えても日々を楽しく過ごすためにも、少しでも早くから、十分な備えを始めましょう。

老後資金は今から毎月コツコツ貯金をして準備を!

老後資金を貯金だけで備えようとすると、数千万円程度の大金が必要になることが多いでしょう。とはいえ、年収は簡単に上がりません。おのずと「毎月できる貯金額」には限界があるので、必要な老後資金に届かないかもしれません。

それでも、毎月コツコツ「できる範囲での貯金を続ける」ことが大切です。必要な金額に届かなかったとしても、「貯められた分だけ老後が楽になる」からです。1,000万円でも500万円でも、100万円であっても、ゼロよりはよいでしょう。

できる範囲での貯金準備をしていく一方で、必要額に足りない分については節約や就労対策などで複合的に備えていくことが大事です。貯金についても、そのまま預けっぱなしにするより、利率のよい金融機関に預け替えることも検討してみましょう。老後の準備は一年でも早く始めたほうが有利なので、ぜひ今日からでも行動を始めましょう。

老後資金は必要額・平均額以上を貯めておこう

人生は何が起こるか分かりませんし、老後は身体も弱ってくるので、働ける間に必要額や平均額を上回るように備えることが大切です。少しでも「何が起こっても大丈夫」な家計状態をつくって、これからの人生を楽しんでいきましょう。

文・婚活FP山本(山本FPオフィス代表)/ fuelle

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