例えば、「ファクタリング」や「レバレッジ」など……。よく新聞やネットニュースなどを読んでいて、知ってはいるものの詳しく説明できない用語がある人もいるのではないだろうか?今回はそんな人のために、よく目にする10個の金融用語の意味を優しく解説していこう。
72の法則 資産運用に押さえておきたい計算式
資産運用で、元本が2倍となる年利や年数を簡単に求めるための計算式。「年利(%)×年数(年)≒ 72」または「72÷年利(%)≒年数(年)」で、若干の誤差はあるものの、おおよその数値を求めることができる。
例えば、100万円を10年で2倍にしたい場合は「X(年利)×10≒72」となり、年利は7.2%となる。
IR 投資判断に必要な情報を提供する企業活動
IRとはInvestor Relationsの略で、企業が株主や投資家に対して財務状況など、投資の判断に必要な情報を提供していく活動全般のこと。
代表的なものに、決算発表後の説明会や、アニュアルレポート(=情報公開の観点から、企業が投資家向けに配布する経営状況を掲載した年次報告書)の発行がある。決算が過去の財務結果を報告するものであるのに対し、IRは将来の投資判断の材料となる情報を提供していることが多い。
NISA 少額の投資を支援する制度
2014年1月にスタートした少額投資非課税制度(=Nippon Individual Savings Account)のこと。
通常であれば、金融商品の売却利益や配当には約20%の税金が課税される。だがNISA口座内であれば、株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益が、毎年120万円を上限として最長5年間にわたり非課税になる。
未成年を対象とした「ジュニアNISA」、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための「つみたてNISA」などもある。
インカムゲイン(income gain) 資産を保有していることで得られる収益
土地や株式などの資産運用において、資産を保有することで安定的・継続的に受け取ることができる収益のこと。
銀行預金や利付債券の受取利息、投資信託の収益分配金、不動産投資における家賃収入、株式投資における配当金などがインカムゲインに当たる。
キャピタルゲイン(capital gain) 資産を売却することで得られる利益
株や債権など、保有している資産を売却することで得られる売買差益のこと。例えば、購入時100万円だった株式が、売却時に120万円だった場合は、差額20万円(手数料や税金は除く)がキャピタルゲインに値する。
逆に、売却することによって損失が出た場合はキャピタルロスという。
ストックオプション(stock option) 株式を一定の価格で購入できる権利
株式会社の経営者や役員、従業員が、自社株をあらかじめ決められた一定の価格(=権利行使価格)で購入できる権利のこと。
一定価格で株式を取得しておいて、市場での株価が上昇した時に権利を行使することで、上昇分の売却益を得ることができる。企業の業績と連動する、代表的なインセンティブの一つ。
ディスクロージャー(disclosure) 企業の情報開示全般のこと
企業が自社の経営内容などの情報を、投資家や株主に対して開示すること。
「制度上のディスクロジャー」と「任意のディスクロジャー」に二分することができる。前者は証券取引法に定められた有価証券報告書の開示や決算短信の発表など。後者は一般的にIRのことを指し、決算発表説明会やアナリスト説明会、月次データ開示などがある。
デリバティブ(derivative) 先物取引やスワップ取引などの金融派生商品
株式や為替、金利などの伝統的・原始的な商品から誕生した金融商品派生商品のこと。元となる商品の価格を基準として価値が決まる。代表的なものに、先物取引やスワップ取引、オプション取引などがある。
金融商品を売買する権利を商品化するなど、付随するリスクを商品本体と切り離して取引することが可能となる。本来はリスクを低下させるための商品だが、さまざまな投資方法を組み合わせたものも多く、逆にリスクを覚悟して高い収益性を追及する手法として用いられることもある。
ファクタリング(factoring) 売掛金を早期資金化すること
企業の持つ売掛債権や受取手形などを業者へ売却することで、売掛金を早期資金化すること。債権者は、満額を受け取れなくなるものの、返還期日前に早期かつ確実に現金化することができる。
・保証ファクタリング 与信判断のもと貸し倒れのリスクなども含めて売掛債権を買い取る
・国際ファクタリング 信用リスクが高い貿易取引など輸出入時における代金の回収を保証する
・医療(診療報酬)ファクタリング 医療機関に後日支払われる社会保険や国民健康保険からの診療報酬(売掛金)を事前に買い取る
などが、代表的なファクタリングの種類として挙げられる。
レバレッジ(leverage) 少ない資金で大きな取引が可能となること
自分が所有している資金に加え、借入金や社債などを利用して投資することで利益率を高める方法を指す。少ない資金で大きな金額を取引できることを「てこの原理」になぞらえてレバレッジ効果という。
FX取引(外国為替証拠金取引)ではよく使われる言葉で、取引額に応じて最低限必要となる自己資金(証拠金)を担保にすることで、元手以上の金額で売買することができる。
ただし、レバレッジをきかせるほどハイリスクとなり、損失も大きくなることがある。
文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)/MONEY TIMES
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