億万長者というとロールスロイスやフェラーリなど高級車に乗っているイメージがありますが、ジェフ・ベゾス氏やウォーレン・バフェット氏、マーク・ザッカーバーグ氏など、世界長者番付の常連であるにも関わらず、普通の車を愛用している億万長者もいます。 これらの億万長者が高級車に乗らない理由は様々です。

(1)自分が本当に良いと感じるものを見極める

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(写真=Soloviova Liudmyla/Shutterstock.com)

Amazonの従業員がわずか10人だった1994年、ベゾス氏は1987年のシボレー・ブレイザーに乗りながら、フォークリフトを購入する日を夢見ていたそうです。3年後にはAmazonが上場し、ベゾス氏は120億ドルを超える資産を手にしましたが、買い替えたのはポルシェやジャガーといった高級車ではなく、ホンダのアコードでした。

インタビューでアコードを選んだ理由を聞かれたベゾス氏は、笑いながら「良い車だから」と答えました。ブランド名や肩書きにこだわらず「自分が本当に良いと感じるものを見極める目を養う」というベゾス氏の信念がうかがえます。

(2)必要性を感じない

バークシャー・ハサウェイを率いるバフェット氏の愛車は、キャデラックXTS。日本では新車が1,000万円以上する高級車ですが、バフェット氏は2014年に4万5,000ドルで購入。2006年から愛用していたキャデラックDTSを、長女に「古すぎて恥ずかしい」と言われたため買い替えたそうです。

バフェット氏は、車に無頓着な理由を「年間3,500マイル程度しか運転しないので、頻繁に買い替える必要がない」と語っています。

大好物はマクドナルドとコカ・コーラ、1958年に3万1,000ドルで購入した家に住み続けているバフェット氏は、地に足の着いた倹約家としても知られています。「必要性を感じないものにお金を使う=浪費」という図式が、常に頭の中にあるのでしょう。

(3)安全性・乗り心地・謙虚さを重視

ザッカーバーグ氏の愛車は、推定価格3万ドル前後のホンダのアキュラTSXです。アキュラTSXを選んだ理由について、「安全・快適で、これ見よがしなデザインではないから」と語っています。

同氏は同価格帯のフォルクスワーゲンGTIも所有していますが、こちらもシンプルかつスポーティーなデザインで、乗り心地や安全性、燃費、維持費でも高い評価を受けています。高級ブランドには興味がなく、Tシャツとジーンズがトレードマークのザッカーバーグ氏ならではの選択肢です。

(4)大切な人との思い出

ウォルマート創業者を両親に持つアリス・ウォルトン氏は、世界で最も裕福な女性です。男性的なデザインの約4万ドルのピックアップトラック、2006年型フォードF-150キング・ランチを愛用している理由は、1992年に他界した父親サム・ウォルトン氏との思い出によるものです。 父親が最後に所有していた車が1997年型フォードF-150キング・ランチだったため、ウォルトン氏は同じブランドの車を愛用することで、父親と過ごしたかけがえのない時間をいつも感じていたいのでしょう。

(5)義理・人情を大切にする

Microsoftの元CEOやNBAロサンゼルス・クリッパーズのオーナーなど、様々な顔を持つスティーブ・バルマー氏はフォードの愛用者です。父親がフォード・モーター・カンパニーのマネージャーを務めていたことが影響していると思われます。

2009年には当時のフォードCEOアラン・ムラーリー氏から約1万9,000ドルのフォード・フュージョン・ハイブリッドを贈られ、律儀に愛用しています。ムラーリー氏は、2012年にバルマー氏がMicrosoftの再編成を行った際、サポートした人物です。義理・人情を大切にするバルマー氏の性格が、愛車の選択にも表れています。

(6)倹約家に徹する

2018年1月に他界したIKEAの創業者イングヴァル・カンプラード氏は、2017年までボルボの1993年型240GLを愛用していました。「90歳を超えているのに運転するのは危険だ」という第三者の忠告に従い、運転を諦めたそうです。

カンプラード氏はバフェット氏同様、不要なものへの浪費を嫌う、かなりの倹約家でした。「散髪料金が安い発展途上国でのみ床屋に行く」「蚤の市で買った洋服でテレビに出演する」など、その倹約ぶりには目を見張ります。

1993年型240GLは、発売当初2万2,000ドル前後で販売されていましたが、現在は中古車が数千ドルで手に入ります。(アレン・琴子、英国在住のフリーライター / d.folio