新しいクレジットカードを作るときや、上位カードへアップグレードを試みるとき、入会条件を十分満たしていると思っていたのに審査に通らなかった経験はないだろうか? そうした場合でも、審査落ちの理由を知り対処することで再審査に通ることがある。
クレジットカードを所持したことのない人は審査に通りにくい
入会条件を十分満たしていそうなのに、クレジットカードの審査に通らないという場合、その理由として次の6つが考えられる。
①そもそも入会条件を満たしていない
カード会社は年収だけでなく、その収入の安定性を測るため、勤務先や勤続年数、雇用形態なども重視する。そのため、入会条件を満たしていると本人が思っていても、カード会社からすればそうではないというケースがある。
例えば、勤続年数が1年に満たない場合、それなりの年収であっても審査を通らないことは多い。また、契約社員、自営業、会社経営者といった勤務形態の場合も、収入が安定しない可能性を考えて審査に通らないことがある。
②過去に金融事故を起こしている
過去に、支払いの延滞や債務整理など、信用情報機関(カード会社間で信用情報を共有する機関)のブラックリストに載るような金融事故を起こしている場合、最長5年間はその情報が残ってしまうため、その間、新しいクレジットカードを作ることはできない。
また、信用情報機関には携帯電話端末の月賦払いなどの事故情報も記録されているので、過去に延滞があればそれも問題視される。
なお、5年が経過しても事故を起こしたカード会社には記録が残っているケースがほとんどなので、その会社のカードは2度と作れないと考えた方がいいだろう。
③これまでクレジットカードを作ったことがない
これまでクレジットカードを作ったことのない人は通称「スーパーホワイト」と呼ばれ、審査で不利になることがある。
スーパーホワイトは、信用情報機関にクレジット利用履歴(クレヒス)が存在しない。そのためカード会社側は、自己破産などによりクレジットカードが作れなくなり、5年を経過して信用情報が白紙になった人(ホワイト)なのか、これまでクレジットカードを作ったことがない人(スーパーホワイト)なのかどうかの区別がつけられない。スーパーホワイトが審査で不利になるのは、こうした理由があるからなのだ。特に30代以降でクレヒスがない場合、過去の金融事故を疑われやすい。
④不自然な複数申し込みや解約をしたことがある
複数のカード会社で1度に何枚ものクレジットカードの申し込みをすると不審に思われて、審査に通りにくくなる。
また、一度入会したカードを、それほど間がないうちに解約する行為を繰り返していると、入会特典を目的とした入会と解釈され、やはり審査に通りにくくなる。
⑤キャッシングの使い方に問題がある
生活費をキャッシングで補っているように見える使い方をしていると、カード会社から返済能力を疑われて審査に通らないことがある。
また、大きなキャッシング枠を希望する場合も審査にマイナスとなる可能性がある。法律の規定もあり、所有クレジットカードのキャッシング枠の総額は年収の3分の1を超えてはならない。カード会社の判断により実際にはその3分の1よりも少ない金額になると考えられているため、すでに所有しているカードのキャッシング枠の合計がそれなりの金額になる場合、新たに申し込むカードのキャッシング枠の希望額が大きいと審査に通らない可能性がある。
⑥申込書の記述が正確ではない
審査に通りたいという心理から、年収を高めに、他社からの借入額は少なめに書いてしまうケースがみられるが、特に借入額などはカード会社が調べればすぐ分かることなので、そのような行為はマイナスでしかなく審査落ちの原因となる。
審査落ちの理由にきちんと対処すると再審査に通りやすくなる
審査に通らない理由が明らかなら、通るための方策も立てやすくなる。再度の審査落ちが心配な人も、先に挙げた6つの理由について、それぞれ次のように対処すると審査に通る可能性が高まるはずだ。
①そもそも入会条件を満たしていない
正社員で十分な収入があるのに審査に通らないなら、勤続年数の短さが問題になっているかもしれない。1年を超える継続勤務が審査通過の条件といわれているので、審査落ちした時点でその条件を満たしていなかったなら、継続勤務が1年を超えてから再度申し込んでみよう。
②~⑥の理由も含め、ほかに審査落ちの理由として心当たりがなければ、入会したいクレジットカードの格下のカード(ゴールドを取得したいなら同じカード会社の一般カード)をまず取得し、利用実績をしっかり積んでから再チャレンジすると審査に通りやすくなる。
②過去に金融事故を起こしている
これについては、金融事故から5年を超え、信用情報がリセットされるのを待ってから再度申し込むしかない。クレヒスがないことによる審査落ち対策として、次の項目も参考にするとなおよい。
③これまでクレジットカードを作ったことがない
信用情報機関には携帯電話端末の月賦支払いの情報も記録される。そこでまず、携帯端末の月賦払いにおいて完済までのクレヒスを積み、それからクレカの申し込みをすることで審査を通る可能性が高まる。
もしくは、審査難易度の低いクレジットカードを取得してクレヒスを積むという方法もある。
④不自然な複数申し込みや退会をしたことがある
このケースではその情報が消えるまで待つしかない。複数申し込みは最長6ヵ月間、退会情報については退会後最長で5年間は信用情報機関に残るため、その後の申し込みとなる。
ただし、不自然な複数申し込みや退会をしたことがあるカード会社にはその情報が残っていると考えられるため、同じ会社の審査は通らない可能性がある。
⑤キャッシングの使い方に問題がある
すでに所持しているクレジットカードについては、海外旅行時に現地通貨をキャッシングするような場合を除いて、しばらくの間キャッシングは使わず残債をゼロにしておくこと。
また、複数枚のクレジットカードにキャッシング枠が設定されている場合はその金額を減らし、その上でキャッシング枠の希望額を「0円」にして申し込むと、審査に通る可能性が高くなる。
なお、不必要なクレジットカードがある場合はそれも解約しておきたいところだが、先にも触れたように、入会間もない解約は特典目的の入会と見なされるため、そこは注意してほしい。
⑥申込書の記述が正確ではない
当然のことだが、これについては正確に書くことが何より大切だ。
一度損なった「信用」を取り戻すのは難しい
言うまでもないが、クレジットカードの審査で判断されるのは「信用」であり、それを損なう行為はマイナスに働く。そして、過去の行為により一度損なった「信用」を取り戻すのは大変難しい。
再審査にチャレンジする人ばかりでなく、これから始めてクレジットカードを作る人も、すでにカードを持っている人も、どうかそこのところを肝に銘じ、うっかりと自ら「信用」を損なわないように普段から心掛けていきたい。
文・モリソウイチロウ(ライター)/MONEY TIMES
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