耳ツボとストレッチで更年期障害にも負けない!
そもそも自律神経は交感神経と副交感神経から成り、それは東洋医学で言うところの「陽」と「陰」にあたる。バランスを取るためには、規則正し生活や休息の他、ツボを利用したセルフケアやストレッチ、マッサージも有効だ。本記事では、そうした東洋医学の手法を用いた手法を紹介する。忙しい中でも簡単にできるセルフケアとは?(取材・構成=内埜さくら、イラスト=黒柳典子)
多忙な生活で陰陽のバランスが乱れている!
人間の身体は本来、自律神経がバランスよく切り替わり、自分で疲れを回復する力を備えています。
自律神経は、交感神経と副交感神経の2種類。東洋医学では「陰」が副交感神経、「陽」が交感神経にあたります。しかし、現代人は多忙な生活で「陰と陽」が崩れがちです。特に40代になると、男女ともに更年期障害が始まりホルモンバランスが崩れ、その身体の変化に脳が適応できず、自律神経が乱れることが多くあります。
では、自律神経の乱れによる不調の兆項はどのようなことがあるでしょうか。まず、イライラしやすくなることと、パニックに陥りやすくなることがあります。
イライラしているときは「陽」の気が強まりすぎて頭に血が上った状態です。この段階で自律神経を整えないと、次はパニック症状に陥りやすくなります。今までできていた作業に対処できなくなり、仕事に自信を持てなくなる人もいます。その結果、うつ病になってしまう人も。自律神経の乱れはうつ病の一歩手前なのです。
「のぼせ」、つまり頭が熱くなることも、自律神経が乱れている兆候です。頭からエアコンにあたると楽になる、という人は要注意です。起床時、パジャマやシャツの首周りだけに汗をかいている、というケースもあります。これでは深く眠れず疲れもとれません。
まぶたや顔の筋肉が引きつる、目を閉じたときにまつ毛が震える、舌が震える、無自覚なまま貧乏ゆすりが増える、筋肉が硬くなりケガをしやすくなった等も、陰陽のバランスが崩れている証拠です。
簡単なマッサージで「心身相関」を目指す
自律神経の乱れを最小限に抑えるためには、マッサージとストレッチが効果的です。経絡(人体の中の血液や水などの通り道)が刺激され、全身の血のめぐりがよくなり、陰陽が調和します。「心身相関」と言って、身体が整うと心も健やかに保つことができます。
このあとで紹介するストレッチやマッサージは、自宅でもオフィスでも簡単に行なうことができます。先述したような不調を感じている人は、今日から始めてみてはいかがでしょうか。
自律神経の安定には、夏でも「湯船につかる」こと!
「夏はシャワーですませがち」という人も多いかもしれないが、数日に一度は湯船に入浴しよう。体温よりやや高めの41~42度で10分程度つかると、全身の血行がよくなり、深いリラックス効果を得られ、上質な睡眠にもつながる。
浴槽内では、足の指を開くストレッチがお勧めだ。「指を開くだけ」というと簡単そうに思えるかもしれないが、ふくらはぎなど足全体の筋肉を使う運動だ。実際にやってみると、全然できない人がかなりいるはず。
シャンプーのときは頭皮マッサージを。手のひらで手ぐしの形を作り、指の腹で下から上へ、頭皮をゆっくりと軽くもみ込むように行なう。ブラシを使うときも、力を入れず上下にゆっくりと動かそう。
サウナ好きな人も多いが、湯船と違ってこちらはほどほどに。運動せずに汗をかくのは体内の水分が失われるだけ。また、入る前後に冷水を浴びる行為は、心臓にダイレクトに負担を与えるため、危険を伴うこともある。