テキサスA&M大学の農業経済学者であるマークウェルチ氏は、商品先物の中で今年2番目に上昇した小麦は、今後も米国の農業従事者にとって間違いないことを説明をした。テキサス州は米国が小麦栽培している州の中で二番目に小さい。
コモディティというのは典型的に生産量が増えるほど価格が下がる。しかし、小麦の場合は作付面積当たりの収穫量が少ないので、生産高は栽培労力に見合わない。そして世界の小麦栽培地でも同じことが言えると同氏は述べた。
世界中で小麦の需要過多
The Waco Herald-Tribuneが土曜日に報じた内容によると、テキサス小麦生産者シンポジウムでの演説で、同氏は以下のように述べた。
小麦の価格が上がるファンダメンタルとして、小麦の消費量が世界的に増加するという『非常に強い需要』を挙げることができる。そして、2018年は小麦の収穫量が減り、供給と需要のバランスは更に厳しくなっている
また同氏は「米国は穀物の年間生産量が5500万トンで四番目に多いにもかかわらず、小麦に関しては全世界供給量のわずか8%のみであり、来年には競合国に伴い作付面積を増やさなければならない。米国農務省が2018年の世界生産量を7億3,300万トンと予測しているが、これは5年ぶりの最低水準であり、2017/18年の過去最大の生産量から3%も下がっている」と述べた。
また同氏は次のように付け加えている:
世界の小麦価格はここ数年で上昇している。それゆえ、生産者がより多く小麦を生産する兆しやインセンティブがある。1年かけて分かってくる収穫量の見通しと潜在的な輸出能力はとても重要となるだろう。
小麦は天然ガスに次いで二番目に優れたコモディティ
シカゴ商品取引所で3月限小麦先物は月曜日に1ブッシェルあたり約5.25ドルで取引され、ここ1年で22%以上上昇している。これは53%高の天然ガスに次いで最も上昇したコモディティとなる。(デスクトップユーザーの方は、ここをクリックして「パフォーマンス」から全コモディティの1年間の変動率を見ることができる)。
Investing.comのテクニカル分析は、日足で「強い買い」のシグナルを発している。1年で価格が比較的高く上昇したにもかかわらず、買われすぎを示す指標はない。小麦のピボットポイントのもっとも強いレベル3の抵抗線は1ブッシェルあたり約5.36ドルであり、これは3月限小麦先物が1ブッシェル当たり11セントまだ上昇余地があることになる。
「この強い見通しは、小麦がほかの商品相場の価格変動に影響を受けないということではない」とSeery FuturesのMike Seery氏は述べている。このことについて同氏は、月曜日に原油と貴金属の下落や、貿易戦争による貴金属や穀物価格の下落などによる影響を指摘している。
同氏は小麦のテクニカル的側面について「小麦の価格は、20日移動平均線を上回る値で取引されているが、5.42ドルの水準にある100日移動平均線より低い」と語っている。
2019年好調に推移する強気なトレンド
Seery氏は以下の様に述べている。
次の抵抗線は5.40ドルから5.45ドルあたりとなるだろう。その要因としては、今日の値動きが基本的に利食いが原因であることやオーストラリアの作物が干ばつによって減産していること、小麦価格の変動が大きい冬期に現在入りつつありことが考えられる。
フロリダ州ボカラトンの農業市場コンサルタントである、ハケット・ファイナンシャル・アドバイザーズのショーン・ハケット氏は同意した:
我々は、12月のロシアの極寒の中で作物がやられてしまい、同国の輸出が減るなどの要因によって、小麦市場はファンダメンタル的な観点で強気相場を保つと考えている
小麦を信じられない?トウモロコシを見よ
ウェルチ氏は、異なるファンダメンタルズにもかかわらず、小麦とトウモロコシの農産物コモディティが同じ値動きをする傾向があるため、小麦はコーン相場を確認する必要があると述べた。トウモロコシの価格は典型的に4月から6月にかけて季節的な高値がつき、その収穫期に達するにつれて、小麦の栽培者は小麦の価格見通しを知ることができる。
「トウモロコシが急騰または急落したら、小麦の価格は大きな影響を受けるだろう、特に2019年の収穫期に」と同氏は述べた。
さあ、小麦を育てよう!
「このような見通しは、小麦栽培に適している南部平野のみではなく、残りの国土にも当てはまる。小麦の問題として、穀物生産地で2番目に小さいテキサス州での生産は2015年の9000万ブッシェルに対して昨年は約6800万ブッシェルまで減少している。また、もっとも生産しているカンザス州では、4億6700万ブッシェルから3億3400万ブッシェルにまで減少した」とウェルチ氏は述べた。
よって、平均より多く収穫することによって、まともな利益を得ることができる。....数年の中で最も良い小麦市場の見通しだ。
著者:バラーニ クリシュナン
(提供:Investing.comより)