「つみたてNISA」の存在は知っていても、内容は理解していない人も多いはずだ。つみたてNISAは、投資初心者にも使いやすい仕組みだ。つみたてNISAの基本について、3分で理解してしまおう。

つみたてNISAの3つのメリット

つみたて,NISA
(画像=dotshock/Shutterstock.com)

つみたてNISAとは、積立型の少額投資非課税制度だ。コツコツと積み立てて長期的に資産形成をしたい人に向いている。主なメリットは以下の3点だ。

メリット1……投資運用益が非課税

本来、運用益には原則として20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)が課税される。だが、つみたてNISA口座を利用して投資してから最大20年間、保有中に得た運用益には課税されない(購入は2037年12月末まで可能)。

つみたてNISA口座では、年間40万円まで投資することができるため、2019年から毎年40万円、2037年まで19年間購入した場合、760万円分(40万円×19年)の投資運用益が非課税になる。

メリット2……年齢の上限なし

つみたてNISAは、日本に住んでいて20歳以上であれば誰でも利用できる。また、その投資目的は教育資金や結婚資金など、何でも構わない。たとえ老後資金のために始めたとしても、つみたてNISAの制度自体が「年金」目的ではないため、60歳以降でも継続運用が可能だ(2037年までの購入と2057年までの運用)。

メリット3……いつでも現金化が可能 

つみたてNISAは、いつでも解約して現金化することができる。今後の生活の中で、病気やケガなどで収入が減少し、教育費や住居費などが不足することがあるかもしれない。そのような時のための緊急予備資金として、つみたてNISAで積み立てた資金を利用できる。また、保有商品が大幅に値上がりした場合には、その時点で利益を確定させることもできる。

つみたてNISAの2つのデメリット

つみたてNISAの主なデメリットは、以下の2点だ。

デメリット1……口座間の移管ができない

つみたてNISAを始めるには、NISA口座を開設し「NISA」と「つみたてNISA」のうち、「つみたてNISA」を選択する必要がある。NISA口座の開設は1人1口座限りで、つみたてNISAと一般NISAの併用はできない。ただし、金融機関やNISAの種類は1年単位で変更することができる。

NISA口座では、新規で購入した商品しか運用できない。特定口座や一般口座などの課税口座で保有している商品をNISA口座に移管することはできない。これは「NISA」と「つみたてNISA」に共通している制約だ。

デメリット2……損益通算できない

課税口座で保有している商品を売却して損失が出た場合、一定の要件のもとに利益と相殺して税負担を軽減することができる(損益通算)。NISA口座では、保有している商品を売却して損失が出たとしても、損益通算ができない。また、NISA口座の利益と課税口座の損失を損益通算することもできない。

つみたてNISAで取引できる商品は約160本

つみたてNISAで取引できる商品は、販売手数料がかからず、信託報酬(運用管理費用)が低く、分配金の頻度が少ないなど、金融庁が定めた基準を満たすものだ。現在販売されている約6,000本の投資信託のうち、つみたてNISAで購入できる商品は約160本(2018年10月時点)である。

つみたてNISAで取引できる商品の多くは、インデックス型だ。インデックス型は、日経平均株価やTOPIXなどの指数に連動して値動きするように設計されている。インデックス型の特徴は、市場の変動が相殺され、値動きが緩やかであることだ。そのため、長期運用を基本とする「つみたてNISA」の商品として多く選ばれている。

つみたてNISA口座で購入できる商品は、金融機関により異なるため、各金融機関で購入できる商品を調べておく必要がある。

つみたてNISA口座開設の際は信託報酬に注目

つみたてNISAの口座を開設する金融機関を選ぶときは、信託報酬(運用管理費用)を確認しよう。つみたてNISAで購入できる商品の信託報酬は年1.5%以下と比較的低く設定されているが、商品を保有する間は常にかかるコストなので、低いほうが利益確保には有利だ。

1回の投資の最低金額や投資の頻度も、金融機関により異なる。それらを総合的に判断して金融機関を選ぶといい。ネット証券会社には、1回あたりの投資の最低金額を100円に設定できるところもある。

口座を開設する金融機関は毎年変更することができる。まずはお試しと考えて、つみたてNISA口座を開設し活用してみてはいかがだろうか。

文・平岡 泉(ファイナンシャル・プランナー)/MONEY TIMES

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