7日では株式市場が上昇し、ドルは0.5%以上下落していた。

一方、8日の主役は ドルだった。現在のアジアや新興国市場での混乱によって、ドル買いが進んでいる。そして、ドル高の進行によって、世界中の投資家の資産は新興国市場の資産からドル資産へ流出している。

しばらく前から、我々はドルは頂点を打ったかどうかに注目し、先週にテクニカル的な観点でベアトレンドになったことを述べた。そして現在では、ドルはファンダメンタル的にもベアトレンドであると考えられる。それは米国経済は減速していることや、他国の中央銀行とFRBの政策金利差、米中貿易戦争の進展といった観点からだ。

米国経済はピークを過ぎて景気が後退しはじめているかもしれない一方で、世界の市場の収縮はひとまず落ち着きそうである。さらに、他国の中銀は金融政策の正常化を開始したのと同様に、FRBの金融引き締め政策も終わりに近いと考えている。加えて、FRBは利上げを一時停止する可能性を示唆し、これはドル安を加速させている。

そして、米中貿易戦争が終わることによって、ドルによる中国への投資が行われる可能性がある。

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(画像=Investing.com)

テクニカル的にも、ドルはベアトレンドだと言えるだろう。下落再開の前に、調整買いがあると考えるのが定説だ。これが8日序盤の0.3%の上昇であり、執筆時では0.18%高となっていた。

ドルは96.00のレベルを下回ることによって、下降トレンドが決まっただろう。その水準は100日移動平均線(上図:青線)であり現在では抵抗ラインになっている。この水準は11月以来サポートラインになっていたが抵抗ラインに転換している。

一方で、11月7日の安値と1月1日の安値の水準が現在の下降チャネルラインの底に位置していることが現在サポートとなっている。この2つのサポートがドルを96の水準まで押し上げ、その後の下降トレンドの再開を招くだろう。

次のサポートラインは、心理的な95.00の水準だろう。これは10月中旬の安値と200日移動平均線の水準と重なる。

トレード戦略

慎重なトレーダーは、7月と9月の安値である93.75まで下げて、長期的な下げトレンドが確定するまで待とう。

一般トレーダーは、下降チャネルの上限である96.50の水準まで上昇したらショートできるだろう。

積極的なトレーダーは、反発を狙った逆張りロング後、一般トレーダーと同様にショートできるだろう。

トレード例

  • エントリー: 95.75
  • 損切り: 95.65, 7日の安値以下
  • 損切り幅: 10 pips
  • 目標価格: 96.05
  • 利確幅: 30 pips
  • リスクリワードレシオ: 1:3(提供:Investing.comより)

著者:ピンカス コーエン