2019年1月14日の為替市場総まとめ

FX Strategyのマネージングディレクター・ Kathy Lien氏

今後48時間で最も重要なイベントは、ブレグジット(英EU離脱)投票であろう。ロンドン時間15日午後7時(日本時間16日午前4時)に英議会で離脱協定の可否を決める投票が行われる。投票終了の予定時間は明らかとなっていないが、米国時間遅くかアジア時間早くに終了するだろう。現時点では、メイ首相の大敗が予想されており、EU基本条約(リスボン条約)第50条で定められた離脱交渉期間延長に追い込まれるだろう。同氏は14日遅くにスピーチを行う予定だが、英議員からの支持を取り込む最後のチャンスであるため進展は見られないと考えられる。

投票結果による3つのシナリオ

A) メイ首相の勝利

B) メイ首相が僅差で敗北

B) メイ首相が大差で敗北

chart
(画像=Investing.com)

シナリオ #1 メイ首相の勝利 - 一つ目のシナリオはポンドにとって最も良いシナリオだ。ポンドは投票を前に2ヶ月間での高値をマークしているが、ブレグジットが議会承認されれば、GBP/USDは急騰するとみられる。GBP/USDはすぐに1.31をマークし、1.35へとシフトする可能性が高い。EUR/GBPは87セントへと急降下し、85セントになるだろう。メイ首相が負けることはほぼ確実であると考えられているため、予期せぬ勝利となった場合はポンドに激しくショートスクイーズが仕掛けられるだろう。

シナリオ #2 メイ首相が僅差で敗北 - 下院には650議席存在する。メイ首相が可決に持ち込むには、これらの議席の内318議席を獲得する必要があるだろう(投票を行わない者や票に入らない議員も多く存在している)。50票以下で敗北した場合、メイ首相は本投票を勝利ととらえ、EUにバックストップ(防御策)の譲歩を求めに行く発表を早急に行うだろう。僅差での敗北であった場合、政府にもう一度EU離脱に挑戦できるくらいの支持者が十分存在しているとの見方から、直近のポンド反発は継続する可能性がある。このシナリオでは、GBP/USDは1.30へと上昇する見込みであり、おそらくそれ以上の上昇はないと想定している。EUR/GBPは88セント、もしくは87セントまで下落する可能性がある。

シナリオ #3 メイ首相が100票以上の大差で敗北 - 3つ目のシナリオになると、事態は複雑になってくる。100票以上差での敗北も大敗であるが、中には200票以上で敗北するとの見方もされている。いずれにしても、同氏は離脱協定の交渉期間延長又は敗北を宣言しなければならなくなり、EUとの合意なき離脱を余儀なくされる。交渉期間延長を行うことが賢明な選択肢と考えられるため、同氏の敗北後に交渉期間延長が発表されることを期待する。しかし、次のアクションが何であろうとも、ポンドは反射的に売りが優勢となるとみられる。GBP/USDは1.25を下回り、EUR/GBPは91セントを上回るだろう。仮にメイ首相が合意なき離脱を発表した場合、ポンドは10%以上の下落幅をみせる可能性がある。

次のアクションがいかに早く取られるか、そして反対派がどれだけ積極的に総選挙や2回目の国民投票を要求するかによって、ポンドが回復基調へと向かうスピードは変わってくる。仮に英議員が内容の違うブレグジットを推し進めた場合、2回目の国民投票は行われずにEUから離脱することになるであろう。英議員がどの方法を採るのかは分からないため、メイ首相の大敗の後にポンドが直ちに回復したとしても、2回目の国民投票(英国の企業が望んでいる)が行われるまではポンドはショートされると考えられる。(提供:Investing.comより)

著者: キャシー リアン