保険料の引き上げ・引き下げは、生命保険見直しの重要なタイミングのひとつだ。2019年、各生命保険会社から販売される生命保険や医療保険の保険料は、どう動くのか。保険を見直すタイミングを逸さないためにも、その動向について把握しておきたい。
掛け捨て型の死亡保険は値下がり傾向
生命保険料の算出にあたっては、「予定死亡率」が考慮される。これは過去の統計をもとに年齢別・性別別の死亡者数を予測したもので、将来の保険金給付のために必要な責任準備金を算出する際に用いられる。
近年は男女ともに平均寿命の延伸化が進んでおり、年齢別の予定死亡率は下降傾向にある。そのため死亡保険、特に収入保障保険などの「掛け捨て型」かつ「定期型」の商品については、保険料の引き下げが予想される。
実際、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険会社が発売する収入保障保険は、2018年4月に保険料が引き下げられている。
生命保険の保険料は年齢に比例して高くなるが、保険料が引き下げられた場合は今の年齢で加入し直した方が、保険料が安くなる可能性もある。結婚や子供の誕生を機に加入した死亡保険をそのままにしている人は、一度見直しをしてみてはどうだろうか。
医療保険は値上がりの可能性大 短期払いは特に注意!
死亡保険の保険料が値下がり傾向にある一方、医療保険は値上がりの可能性が指摘されている。
2018年、公益財団法人日本アクチュアリー会が発表する「標準生命表」が11年ぶりに改定された。そのデータによると、医療保険をはじめとする第三分野の生命保険に加入している人の平均余命がのきなみ延伸化しているのだ。実際、45歳男性のデータを見てみると、2007年には37.14歳であった平均余命が2018年には39.33歳になっている。
平均余命が延びるということは保険会社が医療保険により保障すべき期間が延びるということであり、将来の保険金給付に向けて積み立てておくべき責任準備金の額も大きくなる。すると保険料についても、値上げせざるを得なくなってしまうのだ。
短期払いの終身医療保険は特に値上がりする見込み
医療保険の保険料に関して特に注意したいのが、「終身型」かつ「短期払い」の商品である。終身型の医療保険は終身払い、つまり、生涯にわたり保険料を支払うのが一般的だが、保険会社によっては「10年払い済み」「65歳払い済み」というように保険料の払込期間を短く設定できることがある。
これは、保険料の支払期間を限定しつつ一生涯の保障を提供する、という商品であるから、長寿化が進む、つまり保障期間が長くなると、その分だけ保険料が値上がりしてしまうのだ。
実際、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社が発売する医療保険は、終身払いについては保険料の値上げを行っていないものの、10年払い済みなどの短期払いについては保険料の値上げが実施されている。
貯蓄タイプの保険は低返戻率が続く見込み
終身保険や学資保険、養老保険といった、いわゆる貯蓄型の商品は、低金利状態が続いていることが影響し、今後も低い返戻率が続くことが予想される。保険会社は預かった保険料を運用することで利益を出しているため、低金利状態が続くと保険会社の収益が減少し、高い返戻率を維持できなくなるのだ。
また2017年、金融庁が標準利率を従来の1%から0.25%まで引き下げたことも、この傾向を加速させる要因のひとつとなっている。
貯蓄タイプの商品を選ぶ際は、保険料だけでなく返戻率にも着目する必要がある。たとえ保険料が上がらずとも返戻率が低くなるのであれば、割高感はぬぐえないだろう。そのためこの種の商品の見直しは、保険料や保障内容だけでなく返戻率にも注意しながら慎重に進めていかなければならない。
文・曽我部三代(保険業界に強いファイナンシャルプランナー)/MONEY TIMES
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