政府はiDeCoやNISAのような投資制度を整え、国民に資産形成を促している。これから投資を始める人には積立投資が最適だろう。下落相場でも投資するメリットがあるため、価格変動に一喜一憂する必要もない。投資信託への積立なら専門知識も不要だ。

投資デビューは投資信託への積立から

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(画像=ITTIGallery/Shutterstock.com)

投資の方法は、大きく分けて一括投資と積立投資の2通りがある。

一括投資は、文字通りまとまったお金を一度に投資する。その際、売却益を狙えるタイミングで購入することがポイントだ。一方、積立投資は決まった金額を毎月など定期的に投資していく方法だ。1回の資金は数千円から数万円と少額であることが多い。

どちらの方法がよいかは人によって異なる。普段からマーケット情報を収集できる人は、相場がガクンと下がったときに一括投資するのもよいかもしれない。市場動向に気を配る余裕のない人には積立投資が向いているだろう。

投資デビューというのであれば、まだ知識も少ないはずなので積立のほうが安心ではある。

投資信託保有者の4割が積立投資を実践

投資信託は運用会社を通じて株式や債券など複数の資産に投資する商品だ。株式や債券に直接投資するのに比べ、少額からでも投資できるのが特徴だ。投資対象にはあらかじめ多数の資産が含まれているため、分散投資も手軽に実践できる。専門知識が必要ない資産形成ツールとして個人投資家の力強い味方でもある。

さらに、投資信託は保有者のうち4割以上が積立をしている(QUICK資産運用研究所『個人の資産形成に関する意識調査(2017年)』による)。積立投資は知識や経験の浅い初心者でも比較的容易に投資できる方法なのだ。

積立投資の3つのメリット

積立投資には以下の3つのメリットがある。

・投資に時間と手間がかからない
・投資タイミングを気にしなくていい
・価格が下がっても利益が出る

投資に時間と手間がかからない

積立投資は投資タイミングを分散させる方法のため、元本が大きくなるのに時間がかかる。例えば、1,000万円を目標に利回り3%の投資信託に毎月3万円積み立てると、およそ20年かかる。その間、基本的には淡々と積み立てるだけで時間をかける必要はない。

複数の資産に分散投資する場合、資産配分の調整(リバランス)を定期的にすべきという意見もある。自分でリバランスをするのは手間だが、最初から配分割合の決まっているバランス型ファンドに積み立てれば自動で行ってくれる。

時間も手間もかけたくない人には積立投資が向いていると言える。

投資タイミングを気にしなくていい

一括投資では下落幅が損失に直結する。100万円投資し、10%下がれば90万円だ。そのため、「安いときに買い、高くなったら売る」が原則である。

ただ、積立投資はこの限りではない。投資タイミングが分散されるということは、開始する時期をうかがう必要がないのだ。10年間毎月投資すると合計投資回数は120回になる。そのうちたった1回の投資時期を探っても、全体の運用成果にはほとんど影響がないからだ。むしろ早く始めると投資元本が積み上がり、運用収益も大きくなることが期待できる。

つまり積立投資なら「いつ始めようか?」と考える必要はないのだ。

価格が下がっても利益が出る

積立投資では、投資開始時の価格を下回っても損失になるとは限らない。以下の条件でシミュレーションした結果を見てほしい。

・基準価額(価格)が1万円の投資信託に10年間毎月1万円を積み立てる
・積立開始後、7年経過時まで直線的に下落し、4,000円まで値下がりした
・その後、10年経過時まで直線的に上昇し、8,000円まで回復したところで売却した

一括投資の場合だと20万円(マイナス20%)の損失だが、積立投資ではおよそ152万円(プラス27%)に増えた。利益が出たのは下落中も積立を続けて平均購入価格が下がったからだ。

積立投資には価格が下がっても利益が出やすくなるという特徴がある。この点も投資を始めたい人には心強いのではないだろうか。

積立投資は投資初心者に最適

積立投資にも苦手な環境がある。右肩上がりの上昇相場だ。

上昇基調の相場では、一括投資のほうが良好な運用成績になりやすい。投資タイミングを分散させる積立投資だと、値上がりしていく資産を購入することになるからだ。実際、アベノミクス相場が始まった2012年末からの5年間では、株式や債券のリターンは一括投資の成績のほうがよかった。

積立投資は優れた投資方法だが、決してオールラウンドな方法ではない。一括投資も組み合わせれば効率的な資産運用ができるだろう。

しかし市場動向を予測するのは簡単ではない。だからこそ、投資タイミングが分散できる積立投資は投資初心者に最適なのだ。投資信託の積立ならなおさらだ。

投資信託の積立は「つみたてNISA」で始めるのがお得

投資信託の積立を始めるなら「つみたてNISA」を利用するのがお得だ。つみたてNISAは最長20年間の投資期間内であれば、投資信託の売却益が非課税になる制度である。通常は利益に対し20.315%が課税される(2019年1月現在)。

投資に興味のある人は、こうしたお得な制度を利用し積立投資から始めてはいかがだろうか。投資を始めれば価格変動などにも慣れてくるはずだ。積立投資を入り口として、一括投資に挑戦するのもいいだろう。

文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES

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