2018年第4四半期決算: 2月6日水曜日(取引開始前)発表
予想売上高: 364億8000万ドル
予想EPS: 1.22ドル
ゼネラル・モーターズ(General Motors) (NYSE:GM)は来週に第4四半期決算を控えているが、投資家の期待に応える結果とはならないかもしれない。1月初旬に同社は決算の見通しを発表し、リストラ推進策による利益を得られる見込みであること、またトップセラーモデルの堅調な業績を示していた。
中国経済の減速や原材料コストの上昇によって、好況のピークを既に迎えていた自動車メーカーの業績は低下するだろうと市場は予想していた。しかし、同社は1月11日に2019年に向けての強気な予想を打ち立てたのであった。
同社の見通しによると、2019年度調整済みEPS(一株当たり利益)は6.5~7ドルとアナリスト予想の5.92ドルを大きく上回る予想をしている。また同社は、昨年度の予想EPSの最高値6.20ドルを今年は超えるだろうと述べている。
今年度に北米の5つの工場を閉鎖するといったコストカットによって、2019年度の利益は25億ドル増加すると同社は説明する。ディビア・スリヤデバラCFO(最高財務責任者)は、複数のリストラ計画によって2020年までに合計60億ドルの増益が見込まれると記者に対して答えた。
上記の発表によって、2019年1月にGM株は16%以上上昇し、昨年度からの下落幅を8%まで抑えた。
しかし、同社のメアリー・バーラCEOが考える今後の見通しほど今後の道のりは明るくない。
我々は、米国の自動車メーカーが低迷している時期に、同氏は素晴らしい指揮を執っていたと考えている。
米中貿易戦争が解決されなければ、今後近いうちに米中間の関税によって同社の利益は落ち込むだろう。米国の自動車販売台数は2016年にピークを迎え、それ以来下落を続けている。もし中国や世界的な消費者需要が低下すれば、自動車販売台数はさらに下落する可能性がある。9月30日までの第3四半期で、GMは中国への輸出量が15%減少した。
また、同社がリストラや米国での工場閉鎖を計画していることに対してトランプ大統領が同社への助成金を廃止するとの圧力をかけているため、株価が下落する可能性も考えられる。
こういったマクロ的なリスクとは別に、テスラ(Tesla) (NASDAQ:TSLA)やアルファベット(グーグル)のウェイモ(Waymo)などの競合企業も存在する。Waymoは約10年前からすでに自動運転車開発を始めていて、自動運転車業界の中では群を抜いている。
シェアリングエコノミーの発展によって、自動車の販売数が減少していくことが考えられる。こういった動きが今後数年間の内に進んでいくことで、自動車の保有に対するインセンティブが失われていき、結果として自動車市場の規模が縮小していくことが考えられる。
GMが電気自動車や自動運転の開発に乗り出したことで、同社は自動車業界での競争は続くだろう。同社の競合企業にはグーグル(Google) (NASDAQ:GOOGL)といった資金力のある企業が存在している。SUVやトラック事業からの収益によって、現在のGM株の配当利回りは約4%と、高水準になっている。
要点
バーラCEOは横ばい状態の売り上げで収益を安定させ、将来のために同社をうまく指揮しているため、評価されるべきである。だが、現在の自動車株には多くのリスクが潜んでいるため手を出すべきではないだろう。
我々は、GM株はバリュー投資家にとって短期的なトレードに最適だと考えている。しかし、同社株を長期で保有していても今まで投資家はあまり利益を得られなかったように、これからもバーラCEOが予想している程明るい結果にはならないであろう。(提供:Investing.comより)
著者:ハリス アンワル