労働市場で企業の法務部門や技術者といった専門職への引き合いが強まっている。管理部門向け採用支援のMS―Japan(=MSJP、6539)、IT関連派遣のメンバーズ(2130)が相次いで好決算を発表し、7日はともに大幅高となった。物色の幅は広がるとみられ、有力関連株のクリーク・アンド・リバー(=C&R社、4763)を狙いたい。

C&R社
(画像=webサイトより)

労働需給を示す有効求人倍率(季節調整値)は、昨年平均が1.61倍と45年ぶりの高水準となり、単月でも直近の12月は1.63倍と高止まりしている。先行指標の新規求人倍率も上昇し、売り手市場は続きそうだ。

こうした状況が採用コストを押し上げる中、企業は業績により直接寄与しやすい戦力を求めている。パーソルキャリアの今年上期の転職市場予測によれば、法務や経理といった専門性が高い人材にニーズが集中していることが分かる。

関連企業の決算も活況なマーケットを反映している。公認会計士や弁護士資格保有者、財務部門のスペシャリストなどの採用を支援するMSJPは、6日に発表した今3月期第3四半期累計の営業利益(非連結)が前年同期比65%増の13億円に拡大。同社への新規登録者数は同2割膨らんだ。

メンバーズも今3月期第3四半期累計の連結営業利益が5.3億円(前年同期比49%増)と好調だった。IT業界の労働力は2030年に約60万人不足するとの試算もあり、人材確保を急ぐ同社は人材分野の所属エンジニア数を同58%増の2913人に大きく増やした。

次の物色の的として株式新聞が注目するC&R社は、テレビなどの映像制作現場やゲーム、IT分野への派遣を手掛ける。映像やゲームは大量のデータを高速でやりとりできる次世代高速通信システム「5G」の本格運用とともに、コンテンツの需要が急激に高まるとみられている。クリエーターも大量に動員される公算だ。

同社は医療や会計、弁護士などにも手を広げ、さらにはファッションや建設といった分野も開拓中。全方位的な専門人材の争奪戦に備えている。今2月期は本社移転の一時費用をこなし、連結営業利益20億円(前期比8%増)を計画。株価は直近25・75日移動平均線のゴールデンクロス(GC)が示現した。

このほか、経費精算システム「楽楽精算」で知られるラクス(3923・M)は、IT技術者派遣も伸びている。昨年12月の全社売上高(連結)は前年同月比36%増だった。教育事業を核に人材派遣を拡大しているヒューマンホールディングス(2415・JQ)、中小や地方企業向けの人材育成支援のソウルドアウト(=ソウルドO、6553・M)、シニア人材のキャリア(6198・M)などもマークしたい。(2月8日株式新聞掲載記事)

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