ここ数年価格が上がり続けてきたマンション市場に、ジワジワと変化が起こりつつある。2019年10月から消費税が10%に上がり、それに合わせて各種の住宅取得支援策が実施されることが背景として考えられる。これからのマンションの売買は、このような流れを正しく読み、タイミングを図ることが必要だ。
新築マンションの高止まりはしばらく続く?
地価や建築費が高止まりしていることで、ここ数年マンション価格は上がり続けてきた。
首都圏の新築マンションの価格は、2016年は平均5,490万円だったが、2017年には5,908万円に上がり、2018年は5,871万円と高止まりしている。近畿圏でも2016年は平均3,919万円、2017年は3,836万円、2018年は3,844万円と首都圏同様に高止まりしている(不動産経済研究所の2018年「首都圏マンション市場動向」より」。
首都圏の新築マンションは、採算ラインとされる契約率70%を大きく割り込んだ状態が続いている。2019年1月の契約率は、バブル崩壊時以来の50%割れを記録した。ここまで売れなくなると価格を下げるしかないが、分譲マンションを手がける不動産会社は体力のある大手が中心なので、安易に値下げせず様子見を続けている状況だ。
新築マンションを購入するなら増税後が狙い目
2019年10月の消費税増税に合わせて、4つの住宅取得支援先が実施される。これによって、消費税のかかる新築マンションを買う場合、増税後に買ったほうが総合的な負担が軽減されるケースのほうが多くなると考えられる。
購入検討者もそれを見据えて慎重になっているので、不動産会社としても様子を見るほかない状況だ。売れない中での高止まりという膠着状態は、消費増税まで続くのではないだろうか。
購入検討者は、この状況をふまえて消費税増税後に動くのが正解だろう。増税後のほうが、少なくとも住宅取得支援策によって総合的な負担が軽くなるのは間違いない。より買いやすい価格の物件が出てくる可能性もあるので、新築マンションを買うなら増税後の2019年末から2020年にかけて行動するのがいいだろう。
首都圏の中古マンションは73ヵ月ぶりに価格が低下
個人間取引の中古マンションは、原則的に消費税がかからないので新築マンションの動向とは大きく異なる。もちろん、増税後に実施される消費税対策としての住宅取得支援策の対象外だ。したがって、中古マンション市場の動向は消費税増税に関係なく動く可能性が高く、実際に2019年に入って首都圏の中古マンション市場は潮目が変わりつつある。
2012年12月から2018年12月まで72ヵ月間上がり続けてきたが、2019年1月の首都圏の中古マンション価格は1.9%下落した(東日本不動産流通機構の2019年1月度Market Watchより)。今のところ下げ幅は小さいものの、今年が大きな曲がり角になるかもしれない。
中古マンションは「売り時」圏に入っている?
その予兆は2018年後半からあった。年間の中古マンションの新規登録件数が20万件を超え、その結果中古マンションの在庫件数が急速に増加していたのだ(東日本不動産流通機構の2018年「首都圏不動産流通市場の動向」)。2018年11月には4万7,000件台、12月には4万8,000件台の後半と史上最高を更新し、未曾有の大台5万件が目前に迫っている(東日本不動産流通機構の2019年1月度Market Watchより)。
ここまで在庫が増えれば、需給のバランスが崩れて価格が下がり始めてもおかしくない。実際、不動産情報サイト「ノムコム」の会員消費者の76.9%が「売り時だと思う」「どちらかといえば売り時だと思う」と回答している(野村不動産アーバンネットの第16回「住宅購入に関する意識調査」より)。
一本調子の値下がりにはならないだろうが、ジワジワと下がっていく可能性があるので、売却を考えているなら早めのほうがいいかもしれない。また、購入するなら価格動向をしっかり見据えて行動したほうがいいだろう。
文・山下和之(住宅ジャーナリスト)/MONEY TIMES
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