相続した財産を、相続税の納税等のために売却する場合、その売却に伴う利益部分である課税譲渡所得に対して、所得税と住民税が課せられます。
一般的に一番多い『土地を売却した場合』についてご説明します。
売却を行った場合には、翌年2月15日~3月15日迄に確定申告を行わなければなりません。
この『土地を売却した場合』は分離課税となり、他の経常所得(給与所得・事業所得・不動産所得・年金等の雑所得、等)とは分離して、課税譲渡所得に所得税15%住民税5%(※)の税金が課せられます。
※譲渡した年の1月1日において、所有期間(被相続人の所有期間を含む)が5年以上である場合。5年以下の場合には、所得税30%住民税9%。その他、マイホームを売った時の軽減税率が適用できる場合には、6,000万円以下の部分については所得税10%住民税4%。
分離譲渡所得税(住民税)の計算の方法
(1) まず譲渡所得(売却益)を算出します。
収入金額‐取得費‐譲渡費用=売却益
【収入金額】 売却価額(未経過固定資産税等を受け取った場合には、その金額を含む)
【取得費】 ①②の多い金額+③
①被相続人の購入価格
②売却価格の5% 注) ①が不明な場合、先祖代々引き継いできた土地を売却した場合は②です。
③取得費に加算される相続税額(※)
※相続で取得した土地等を、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日迄に譲渡した場合には、相続税額のうち一定額を譲渡資産の取得費に加算できます。
【譲渡費用】 売るために直接かかった費用(仲介手数料・印紙代・取壊費用・地主への名義書換料・立退料等)
(2) 次に課税所得を算出します。
売却益‐居住用財産の3000万円の特例等=課税所得
(3) 最後に、課税譲渡所得に税率を乗じて、税金を算出します。
取得費は、相続税の申告時に算出した相続税の評価額ではなく、被相続人がその土地を購入した時の価格です。また、相続税を納めている方は、相続税の取得費加算の適用が受けられます。多くの場合、思いのほか利益が出ることになり、多額の所得税・住民税が課税されてしまいます。
しかし、相続税の取得費加算の適用により、相続財産の大半が土地である場合には、相続税額以内の売却価格であれば、結果的に土地を売却しても所得税・住民税が大幅に減額されることがあります。土地を売却した際には、その他にもいくつかの特例で税額が軽減できることがありますので、確定申告の際には税理士に一度ご相談下さい。
(提供:チェスターNEWS)