リスクを取って株式に投資するのも、一つの投資手法であるが、莫大な数の銘柄の中で、利益を上げられる銘柄を選定することは非常に難しい。
我々が考える資産を増加させるシンプルな方法は増配傾向のある銘柄を探すことである。配当成長株に投資するということは、マーケットでアウトパフォームし得る財政状態の良い企業を選ぶということだ。
ゴールドマンサックスのウェルスマネジメント部門の調査によると、1972年から2014年の間で継続的に増配を行っている企業は、増配を行わない企業に比べて14倍ものリターンを生み出している。
増配銘柄がリターンを生む傾向であることを念頭に、以下が推薦できる2つの配当成長株である。
1.アップル
アップル(NASDAQ:AAPL)は、一般的には短期的に利益を得る高成長なテクノロジー銘柄として考えられている。アップルがアイフォンやアップルウォッチなどの革新的なプロダクトを生み出し続けていることを考慮すると、この考えは完全には間違っていない。
しかし、アップルは長期的なインカムゲインを得るための銘柄としては第1候補であろう。同社は成熟期に入っており、今後は自社株買いや増配を通してより多くのキャッシュを投資家へ還元していくはずだ。
2018年に16%の増配の後、同株は現在1株当たり0.83ドルの四半期配当となっている。同社は7年連続増配であり、過去5年間では毎年10%以上の増配を行っているが、いまだ増配停止の兆しは見えない。配当性向は25%となっており、同社は自社株買いや配当を通して株主へ還元すると考えられる。
同社のiPhoneのフラッグシップモデルの売り上げに対して厳しい見方をしたとしても、株主に対してキャッシュを生み出す能力は変わらないだろう。アナリストによると、今年度は2550億ドルの売上高が予想されており、今後5年間で毎年13%の成長が見込まれている。
2.シェブロン
最近では原油市場の高いボラティリティーに目が奪われ、米原油企業の中で投資するに値する企業を見つけるのに苦労するだろう。しかし、数年にも渡るコストカット、技術的進歩、合理的な投資戦略などを経て、一部のエネルギー企業は配当収入を望む投資家にとって非常に魅力的な銘柄となっている。
世界で2番目に大きい石油企業であるシェブロンは石油化学製品部門はもちろんのこと上流から下流まで統合してビジネスを行っている。この多角化したビジネスモデルは原油価格の下落に対するヘッジとなっている。
たとえば、同社が原油や天然ガスの生産から収益を得ることができなくても、原油製品の精製や石油化学事業からキャッシュを得ることができ、原油市場低迷の影響を緩和することができる。この強さの証拠は、前四半期にブレント原油が38%も下落していたにも関わらず、同社が利益予想を上回り、強いキャッシュフローを生み出していたことからも窺える。
配当に関しては、同社は高配当で有名である。過去10年間で、毎年8%ずつ増配しており、現在1株当たり1.19ドルの四半期配当となっている。同社のキャッシュフローが向上することで、配当の成長率は今後さらに加速するだろう。2014年以降の原油市場の低迷を乗り越えて、2018年の同社のフリーキャッシュフローは83億ドルとなった。
我々の見解では、58%となる配当性向や3.9%の配当利回りであるシェブロンは今が買い時であると考えている。また、今後250億ドルにも及ぶ自社株買いの計画の恩恵も得られるであろう。
結論
堅調なキャッシュフローと低い配当性向を持つ企業に投資することは、徐々に資産を増やしていくのに有効的な手段である。株式投資は確かにリスクは高いかもしれないが、配当成長株に投資することでそのリスクは減らすことができる。アップルやシェブロンはその良い例である。また、同様に電力やガスなどの公益事業、電話会社、不動産投資信託(REIT)もまた、定期的な収益をもたらすだろう。(提供:Investing.comより)
著者:ハリス アンワル