※この記事は3月7日に投稿されたものです。
日本時間7日午前0時30分に、米国エネルギー情報局(EIA)は原油在庫が710万バレル増加し、4億5000万バレルとなっていることを発表した。原油在庫は2018年同期の水準より多いが、2017の5億2800万バレルと2016年の4億9100万バレル水準よりは低い。
EIAのデータは、先立って日本時間6日午前6時30分に発表された米国石油協会(API)の原油在庫量と一致している。これらの発表後にWTI原油価格は僅かに下落したが、先週のトランプ米大統領がOPECに対するツイートを行い、下落が引き起こった時よりは比較的小さい下落であった。
マーケットがEIAやAPIの発表に過剰に反応しなかったのは、原油在庫は季節性を考慮すると適切な水準であったからだと思われる。
原油在庫の増加の一方で、ガソリンの在庫は420万バレル減少していた。このガソリン在庫の減少も同様に季節的要因である。
ガソリン在庫の減少は、製油所が冬用ガソリンから、夏用ガソリンに切り替えるためのメンテナンス時期であることに起因する。GasBuddyによると、これらのガソリン在庫の減少は、メンテナンスが終了するまで続くだろうとしている。
このEIAの発表で大事なのは、原油在庫が多いことは米国や世界からの需要が弱まっているということではない。ガソリンの需要は強く、ジェット燃料もの需要は僅かに減った程度である。
原油在庫量の増加は、通常の季節変動であり、世界経済低迷による影響ではない。しかし、夏のドライブシーズンで、米国の原油やガソリン需要が減ることになれば、世界経済の低迷が浮き彫りになるだろう。
メモリアルデーからレイバーデーにかけて(5月末から9月初旬)の強いガソリン需要の時期で、多くのアナリストは原油需要が弱含む予想をしているが、これらによる米国経済へ影響は弱いと考えられる。しかし、今回のような短期的な原油在庫に注目するのではなく、大きな流れでの在庫状況を理解することが最も大事である。(提供:Investing.comより)
著者:エレン ワルド