2018年末から長期金利が低下したのを受けて、2019年年初には固定期間の長い住宅ローン金利が大幅に低下、住宅取得を検討している人にはうれしい状況です。新築に比べて価格が安い「中古住宅」は、マイホーム取得を考えている人の狙い目になりそうです。

新築マンション価格は頭打ちの横ばい圏に入る

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(画像=リビタ)

この数年、住宅価格が上がり続けてきました。首都圏の新築マンション平均価格は2014年には5,060万円だったものが、2018年には5,871万円に上がっています(2019年1月発表の不動産経済研究所「マンション市場動向」より引用)。ただ2017年は5,908万円で、2018年は前年比0.6%の下落でした。価格が年々上がってきたため、頭打ちになっているのでしょう。

それに対して、首都圏中古マンション価格の推移を見ると、2014年には2,727万円だったものが、2018年には3,333万円に上昇しました。こちらは新築とは異なり、2018年も4.3%上昇しています(東日本不動産流通機構による「首都圏不動産流通市場の動向2018年」)。

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中古マンション価格はそろそろピークアウトか

これまで中古マンションの価格は、新築価格の上昇を追うように推移してきました。過去の動きを見ても、新築が上がればやや遅れて中古も上がり、新築が下がれば同様に少し中古も下がるといったことを繰り返してきたのです。

ところが2019年に入り、1月の首都圏中古マンション成約価格は前年比で1.9%下落を記録しました。成約価格の下落は2012年12月以来、実に73ヵ月ぶりのことです(東日本不動産流通機構による2019年1月度の月例速報)。新築に続いて中古もそろそろピークアウトの兆しが見えてきたと言っていいかもしれません。

一方で、急速に価格が下がる可能性が少ない新築マンションの状況を見ると、建築費は高止まりしており、用地取得費が上がり続けています。分譲会社は価格を上げたいけれど、売れゆきなどを考慮すると上げられないのが実情で、なかなか相場を押し上げるまでには至らないでしょう。

中古も新築のように頭打ちになったとしても、一転して下落に転じることはないでしょう。急激な値下がりは期待できませんが、ピークに達した後は徐々に価格が下がる可能性はあります。そろそろ購入のタイミングに入ったのではないでしょうか。

消費増税後は中古住宅取得支援策が拡充予定

その中古住宅の取得に対する消費増税後の支援策が、2019年度予算によって充実する見込みです。2019年10月以降、消費税10%で取得したりリノベーションしたりする場合には、「次世代住宅ポイント制度」が適用され、一定条件を満たす場合はポイントが付与されます。

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そのポイントですが、新築住宅は1戸当たり35万ポイントが上限です。リフォーム・リノベーションは原則的に1戸当たり30万ポイントが上限ですが、若者・子育て世帯は45万ポイントに、中古住宅を購入して行う場合には60万ポイントに引き上げられます。

新築住宅を取得するより、中古住宅を買ってリフォーム・リノベーションするほうが付与されるポイントがはるかに多くなるのです。1ポイントは1円相当で、各種の製品などと交換できます。

中古住宅購入+リノベーションでフラット35の金利が0.50%低くなる

住宅金融支援機構が民間機関と提携して実施している住宅ローンのフラット35には、「フラット35リノベ」という商品があります。一定条件を満たすリノベーションが実施された中古住宅を取得する場合、また中古住宅を取得して自分で一定条件を満たすリノベーションを行う場合が対象となり、条件に適合すれば、当初5年間または10年間の金利が0.50%引き下げられます。2019年3月末までの時限措置ですが、4月以降も継続される可能性があります。

2019年1月のフラット35の金利は、返済期間35年で1.33%なので、最長で10年間の金利が0.83%になります。借入額3,000万円、35年元利均等・ボーナス返済なしで試算した場合、金利1.33%だと毎月返済額は8万9,377円ですが、金利が0.83%に下がれば返済額は8万2,329万円に減少します。毎月7,048円、年間で8万4,576円、10年間では84万5,760円も負担が軽くなるのです。

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フラット35は低い金利を完済まで継続できる

このフラット35は、全期間固定金利型です。当初の金利が完済まで変わらないので、安心感があります。それに対して、変動金利型は0.50~0.60%台で利用できるケースが多いのですが、借入後に金利が上がると返済額が増えるリスクがあります。

現在のような超低金利時代では、これ以上金利が下がる可能性は低く、上がる可能性のほうが高いでしょう。短期的な変化は考えにくいのですが、5年先、10年先を考えると金利上昇の可能性は高いと考えられます。

全期間固定金利型を利用しておけば、借入後に金利が上がったとしても、当初の金利が完済まで変わらないので安心です。変動金利型を利用すると、借入後も金利の動向が気になるところですが、全期間固定金利型であれば金利変動を気にせず過ごすことができます。

フラット35の金利は2019年2月現在、過去最低に近い水準まで下がっています。リノベーション住宅なら、そこからさらに金利が引き下げられます。

各種の金利引下げ制度も充実している中古住宅が、これまでより一段と買いやすくなっています。(提供:暮らし再発見マガジン「のくらし」

writing:山下和之(住宅ジャーナリスト)

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