2018年の低迷から一転、今年度の半導体株は主にデータセンター事業の好調により回復基調にある。新たなテクノロジーや5G、AI、自動運転、IoTといった直近のトレンドからの需要によって回復基調が強まっている。
VanEck Vectors Semiconductor Fund (NYSE:SMH)やiShares Philadelphia Semiconductor Index ETF (SOX)の2つの半導体株ETFはそれぞれ、21.7%と20.5%上昇しており、株式市場全体のパフォーマンスを大きく上回っている。
インテル(Intel) (NASDAQ:INTC)、エヌビディア(NVIDIA) (NASDAQ:NVDA)、ブロードコム(Broadcom) (NASDAQ:AVGO)、テキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments) (NASDAQ:TXN)、クアルコム(Qualcomm) (NASDAQ:QCOM)は投資家からの注目を多く集めているが、一方で過去数年間で圧倒的な成長を遂げた注目されていなかった半導体株は数多く存在している。以下の企業はサイバーセキュリティ―分野での独占的なポジションにあることから、長期的にリターンをもたらす可能性がある3社である。
1. ザイリンクス
様々なタイプの集積回路を開発する半導体メーカーのザイリンクス(Xilinx) (NASDAQ:XLNX)の年初来株価は68.4%上昇している。21日の終値は126.31ドルと、3月20日にマークした最高値の127.81ドル近辺を推移している。
TradingView: XILINX
カリフォルニア州サンノゼに拠点を置く同社は、データセンターや5G通信向け半導体の順調な販売による利益を享受している。既存の通信速度の100倍近くの速さを誇る5Gによって、半導体業界に数十億ドルを生み出すだろう。
同社の1月23日の決算カンファレンスコールにおいて、ビクター・ペンCEOは「5G投資の活況は我々の想定よりも早く始まった」そして、「投資はかなり堅調である」と発言した。
アナログ・デバイセズ (NASDAQ:ADI)やテキサス・インスツルメンツの製品に代わる、アナログ回路やデジタルプロセッサといった、同社のその他の5G製品への需要も大きい。
RW Bairdのシニアリサーチアナリストのトリスタン・ゲラ氏は、「このインテグレーション技術によってザイリンクスの需要は堅いだろう」と発言した。加えて、「我々はザイリンクスは今後数年間、5Gでの部品供給の増加が見込まれる」と語る。
2. ラティス・セミコンダクター
オレゴン州に拠点を置くラティス・セミコンダクター(Lattice Semiconductor) (NASDAQ:LSCC)は、高性能プログラマブルロジックデバイスを製造する。同社は世界のFPGA(field programmable gate array)デバイス市場で第3位である。
TradingView: LATTICE SEMICONDUCTOR
20日の同社株の終値は12.65ドルで、昨年度では108%増となった。3月11日には株価が15年間の最高値である13.17ドルをマークした。2月12日に発表した第4四半期決算では、通信、コンピューティング分野の成長によって、純利益が驚異的に増加し、売上高も市場予想を大きく上回った。
2019年第1四半期の同社の売上高予想を9400~9800万ドルとした。コンセンサス予想では9370万ドルとなっている。「現在のマクロ経済環境下では不確実性が存在しているにもかかわらず、弊社の事業はコンピューティング、資本財、自動車、5G分野での成長によって長期的に利益を享受している」とジム・アンダーソンCEOは発言した。
3. KLA-テンコール
KLA-テンコール(KLA-Tencor Corporation) (NASDAQ:KLAC)は、カリフォルニア州ミルピタスに拠点を置く半導体関連装置の製造メーカーである。同社は半導体産業やその他関連ナノエレクトロニクス産業向けのプロセス制御、収益管理システムを提供している。
TradingView: KLA-TENCOR
年初来株価は34%高まで反発しており、21日の終値は119.93ドルとなった。2018年7月にマークした最高値の122.40ドルに向けて上昇している。JPモルガンのアナリスト、ハーラン・サー氏によると、今年度のKLA-テンコール株の反発はまだ始まりに過ぎないという。同氏は半導体関連装置分野での同社の競争力の強さから、同社株のレーティングを「レーティングなし」から「買い推奨」に変更した。
同氏は3月7日に発表したレポートにおいて、「半導体、PCB(プリント回路基板)、ディスプレイ分野における競争力の強さから、我々はKLAは競合や市場全体と比較してアウトパフォームすると予想している」と記した。
同氏はKLAの粗利率は60%超、営業利益率は35%超と、業界トップの収益率になると考えている。また同氏は、5G用スマートフォン、5Gインフラ設備、自律走行センサー、クラウドコンピューティングハードウェアといった、今後のトレンドテクノロジーに対しても同社は対応していると付け加えた。そういった理由で、同氏は同社のEPS(一株当たり利益)が今後3年間で年率15~20%の成長を遂げる可能性があると考えている。(提供:Investing.comより)
著者:ジェシー コーエン