マイホームを購入するうえで、避けて通れないのが住宅ローンの審査だ。住宅ローンの審査は、年収や年齢などの個人属性と物件の担保価値など、多くの項目から総合的に判断されるが、審査に落ちた場合、その理由を金融機関は教えてくれない。中には、「こんなことで」と思うような意外な原因もある。
住宅ローンの審査で民間の金融機関は何を重視するのか
住宅ローンの審査で、民間の金融機関が重視する審査項目は約20種類ある。
特に重視するのは、融資期間に影響する借入時・完済時の年齢、年収、勤続年数、健康状態といった個人属性と物件の担保評価である。他の借り入れも含めた返済負担率(年収に対する返済の割合)や金融機関の営業エリア、カードローン等の債務状況や返済履歴の信用情報なども重要な項目だ。
金融機関は多くの項目を総合的に判断し、住宅ローン申込者の信用が不足する場合は連帯保証人を要求することもある。最悪の場合、審査に落ちたという結果だけが報告される。
返済負担率の基準を超えたため住宅ローン審査に落ちたケースが多い
住宅ローンで重要とされる項目に返済負担率がある。返済負担率は、年収に対する年間の借り入れ返済額の占める割合のことだ。返済負担率は「返済負担率(%)=年間返済額÷年収×100」で計算される。ここでいう年収は税込み年収のことを指し、年収500万の人が年間50万の返済があれば、返済負担率は10%になる。
金融機関ではそれぞれ年収に対する返済負担率の基準値が設定されており、住宅ローンの審査で落ちた場合は、この基準値を超えたケースが多い。
フラット35の場合、年収400万未満は返済負担率30%、年収400万以上は35%だ。三井住友銀行の場合、年収の条件は記載されていないが、返済負担率は35%以下である。住宅ローンを申し込む金融機関の返済負担率の基準を確認しておけば、自身の年収から逆算してどのくらい借りられるかをある程度把握できる。
住宅ローン以外の返済と言えば、車のローンやクレジットカードの分割払いやリボ払い、携帯電話の分割払いなどがある。毎月のローン返済額を計算して、返済負担率の基準を上回るようであれば、これらの借り入れを返済してから申し込むのも一つだ。
「住宅ローン審査に落ちた」2つの意外な理由
住宅ローンの審査では、クレジットカードやカードローン等の債務状況・返済履歴も重視される。クレジットカードなどの個人信用情報は、割賦販売法と貸金業法で定められた指定信用情報機関であるCICが管理しており、金融機関は住宅ローン審査の際にCICに情報を照会する。返済遅延などがある場合は、否決の要因となる。
住宅ローン審査に落ちた理由で最近増えているのが、携帯電話料金の延滞や滞納だ。携帯電話やスマートフォンの分割払いも、クレジット契約としてCICの情報に登録される。契約の際に「個別信用購入あっせん契約申込書」があり、そこに信用情報機関へ情報を提供する旨が書かれている。毎月の返済額は大きくないので、少しくらい遅れても大丈夫と甘く考えていると後悔することになる。
ポイントサイトなどでキャッシングカードをたくさん作っている人も注意が必要だ。キャッシングカードを作ると、お金を借りていなくてもキャッシングできる金額などがCICに登録される。キャッシング枠のあるクレジットカードも同様だ。
キャッシングカードを1~2枚利用しているだけでは審査に影響はないが、複数枚所持していると借入残高がなくても将来借り入れする可能性があると判断される。登録された情報は5年間は残るので、将来住宅ローンを利用する予定があるなら早めに整理しておきたい。
住宅ローンの審査に落ちたら信用情報をチェック
住宅ローンの審査で落ちた場合、まずやっておきたいのが個人情報の照会だ。信用情報に問題があるケースが多いからだ。
信用情報機関には上述したCICの他にKSCやJICCがあるが、基本的には同じ情報が管理されているので、いずれかに請求すればいい。
KSCでは郵送のみの取り扱いになるが、登録情報開示申込書を記入し、本人確認書類を同封して郵送すれば開示報告書が送られてくる。CICでは、クレジットカード会社に登録している電話番号から電話で申し込むだけで、パソコンやスマートフォンで閲覧できる。料金はいずれも1,000円だ。
信用情報を確認して延滞や代位弁済などの情報がある場合は、住宅ローンを借りることははまずできない。延滞が解消しても5年は情報が残るので、最低でも5年は待つ必要がある。
民間の金融機関で住宅ローンの審査が落ちた場合は「フラット35」を利用するのも手
再挑戦する場合、同じ審査基準の金融機関に審査を出しても通過することは難しい。信用情報に問題がなければ年収など他の原因が考えられるため、年収などの条件を確認して再挑戦する金融機関を選ぶ必要がある。どうしても民間の金融機関で審査が通らない場合は、住宅の品質に重点をおいて審査をする住宅金融支援機構の「フラット35」を利用する方法もある。
文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES
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