日に日に暖かさが増して、いよいよ春到来。1年の中で一番過ごしやすい気候になる一方で、花粉症に悩まされるという人も少なくないだろう。最近では、花粉症を避けて春先は国内外へ「逃避旅行」に出かけるという人もいるようだ。

「花粉逃避旅行」、国内は沖縄、海外はハワイが人気

Hawaii
(画像=Izabela23 / Shutterstock.com)

総合旅行プラットフォーム「エアトリ」の調査では、「花粉症を避けるために旅行に行ったことがある」と回答した人は全体の15.8%。また、行ったことはないが「行きたいと思ったことがある」と考えている人は6.3%だった。

花粉からの逃避旅行の経験者に行き先を聞いたところ、国内では1位が「沖縄」(36.2%)、2位が「北海道」(27.5%)が、3位は「静岡」(8.7%)の順だった。スギやヒノキが少ない沖縄や、本州とは花粉の飛散時期が異なる北海道が人気のようだ。

一方、海外では1位が「ハワイ」(13.1%)、2位は「韓国」(12.1%)、3位が「タイ」(11.2%)の順だった。スギ花粉がない国・地域のビーチリゾートが人気を集めているようだ。

「避粉」需要を見込んで町おこしも

「避粉」ツアーを町おこしに活用している地方自治体もある。長崎県平戸からフェリーで40分の位置にある離島・的山大島(あづちおおしま)では、毎年花粉症の時期にNPO法人が島内滞在ツアーを実施している。杉林が島全体の面積のおよそ1%と非常に少なく、また本土など他地域からも飛来しにくいため、避粉地と呼ばれて近年人気を集めている。滞在中は新鮮な海の幸を味わい、歴史的な町並みを見学したり、医師による花粉症講座を受講したりする。ツアーは2泊3日だが、希望すれば滞在を延長できる。

このほか、沖縄県・宮古島のリゾートや北海道などでも、花粉症患者の需要を見込んだ「避粉」パッケージを展開しているホテルもある。

花粉症の時期にハワイに事業所を設ける企業も

花粉症が仕事のパフォーマンスを下げるという社員のために、期間限定で毎年ハワイに拠点を設ける企業も出てきた。ネットサービスのアイザックは2019年から毎年、2~ 4月にハワイに事業所を開設すると発表した。ハワイの賃貸住宅を拠点とし、渡航費も会社負担で滞在できる。

同社によると、プログラマーの生産性をあげるための福利厚生の一環。プログラマーの生産性には「環境」が密接に関係すること、また以前社員旅行でハワイに行った経験から、ハワイでの拠点開設を決めたという。

朝早く起きてサーフィンをし、昼間は仕事に集中、夕方はビーチで読書……という、ハワイならではの働き方が楽しめるのも魅力だ。

「逃避旅行」で人気のハワイ、南国ならではの思わぬ落とし穴

ただし、スギが少ない地域だからといって花粉症にならないかというと、そうとは限らないようだ。

花粉症に悩む人の渡航先として人気のハワイだが、実は「マンゴー花粉症」という南国ならではの症状があることが知られている。

マンゴーはウルシ科の植物で、樹液や花粉、果実でもアレルギーが出やすい。マンゴーを食べて口がかゆくなる人も要注意だ。マンゴーを口にして、口や唇のしびれや顔のむくみ、喉の腫れなどを感じた場合は危険信号だ。

もし重篤な場合は、じんましんや呼吸困難を引き起こす恐れがある。花粉症を引き起こすアレルゲンと、マンゴーやモモ、リンゴ、メロンなどの植物由来の食物に含まれるタンパク質の構造が一部共通しているために起きるアレルギー症状だ。ラテックスを含むゴムでも似た症状が出るため、「口腔アレルギー症候群・ラテックスフルーツ症候群」とも呼ばれている。

マンゴーの花粉が飛散するのは2月後半から4月。ちょうどスギ花粉に悩まされる人が出る季節でもある。スギ花粉を避けてハワイに行ったら、マンゴー花粉症になった……という悲劇に見舞われないよう留意したい。

花粉症や野菜・果物、フルーツなどでなんらかのアレルギーをもつ体質の人は、マンゴーの木に近づかないほうが無難だろう。(提供:百計ONLINE


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