会社員の方であれば、毎月給与明細を受け取っているはずですが、いまひとつ見方がよくわからず、チェックするのは支給額だけという人も多いのではないでしょうか。今回は給与明細の簡単な見方と、会社員の方が確認しておきたいチェックポイントをご紹介します。

給与明細の基本構成を知ろう

給与明細,見方,内容
(画像=PIXTA)

基本は「勤怠」「支給」「控除」の3つ

給与明細の形式は会社によって異なりますが、ほとんどの場合、「勤怠」「支給」「控除」の3つに分かれます。

まず、「勤怠」には、「出勤日数」や「欠勤日数」「残業時間」、また「有給消化日数」や「有給残日数」など、勤務した日や休んだ日に関する情報が記載されています。

次に、「支給」には、「基本給」のほか「役職手当」「住宅手当」「時間外手当」「通勤手当」など、会社から支給される様々なお金に関する情報が載っています。「支給」の項目の中でも「基本給」はもっともベースになる賃金で、ほとんどの会社では年齢や勤続年数、技能に応じて決められます。

またボーナスが支給される会社では「給与の5ヵ月分」などという言い方をしますが、この金額も「基本給」をベースに計算されます。そのため毎月の給与に「役職手当」や「時間外手当」など多くの手当が入っている場合は、「5ヵ月分って聞いていたけど、いつもの手取りの5倍には全然足りないな」と感じてしまうかもしれません。

「控除」は給与から引かれるお金

最後に、「控除」の項目に書いてあるのは皆さんの給与から差し引かれるお金です。「所得税」や「住民税」などの税金や、「健康保険料」や「雇用保険料」、「厚生年金保険料」といった社会保険料があります。

この項目は普段意識することは少ないと思いますが、これらの控除により年金の保険料が支払われたり、失業した時にいろいろな手当を受けたりすることができます。また「所得税」や「住民税」の金額を把握することで、住宅ローン控除やふるさと納税の控除がいくら受けられるかを計算することができます。

自分でできる給与明細のチェックポイント

欠席日数や遅刻・早退日数は正しいか

ここからは、会社員の方にチェックしてほしい給与明細のポイントをご紹介します。どれも簡単にできますので、初めはこれらの項目から確認してみてください。

まずは、欠席日数や遅刻・早退日数です。給与明細に書いてある情報はすべて正しいと思いがちですが、人が行う作業ですから、まれに間違いが起こります。欠席日数や半休をとった日数が間違っていないかなどを確認しましょう。

残業時間はきちんと反映されているか

残業時間に間違いがあったり、深夜残業が普通残業で計算されていたりすると、受け取るべき手取りの金額が減っている可能性があります。自分の残業時間が正確にわからない場合でも、他の月と同じように仕事をしたのに、明らかに残業時間が減っている場合などは、詳しく確認してみましょう。

社会保険料は前月と大幅に変わらないか

健康保険料や厚生年金保険料などが間違っていないか、簡単にチェックできる方法があります。それは、前月と比べて大幅に変わってないかどうかを確認することです。

社会保険料は、毎年4月から6月の給与を元に決められ、いったん額が決まると給与に大幅な変動がない限り、9月から翌年8月まで適用されます。なので、例えば残業が少なく支給額が減った月であっても、9月以外であれば前月とほぼ同じ額が引かれます。

社会保険料の金額が前月と比べて大幅に違う場合は、経理担当者に確認しましょう。

給与明細は捨てずに保管しておこう

給与明細はチラッと見て処分してしまうという人も多いですが、できれば保管するようにしましょう。自分が働いてきた記録としても振り返れますし、改めて確認したら給与の支払いに間違いがあったという場合などは、その証明としても使えます。

また、転職などを考えている方にとっては、意外と多い年金記録の漏れを証明する書類にもなりますし、失業給付の勤続期間の確認にも利用できます。

給与明細の見方を知れば、社会保険や税金への理解も深まる

今回は給与明細の見方と簡単なチェックポイントをご紹介しました。自分の給与が正しく反映されているか確認するのはもちろんのこと、40歳からかかる介護保険料、iDeCo、ふるさと納税などの税金控除、社会保険と税金の知識は今後会社員の方にもますます必要になってきます。まずは身近な給与明細からこれらに親しんでみましょう。

文・松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所)/fuelle

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