テスラ(NASDAQ:TSLA)は負の連鎖を断ち切れないでいる。

四半期別の出荷台数が過去最低を記録したと公表し、テスラ株は4日11%安となった。今後の成長性に関し、投資家からの懸念が募っている。

同社の報告によると、2018年10-12月期の出荷台数は9万966台だったが、今年1-3月期は6万3000台にまで落ち込んだ。

米国では税優遇措置の減額によって自動車需要が冷え込んだ。また、ヨーロッパや中国における顧客獲得にも苦戦している。

テスラモデル3の出荷台数は、市場予測の5万1750台を下回る5万900台となった。これはイーロン・マスクCEOが同モデルをグローバル成長戦略の要に置いた矢先の発表であった。

より高価な旧型モデル(テスラSやテスラX)の需要も大きく落ち込んだ。前年同時期に比べ両モデルの売上は半分以下まで縮小している。

12日の終値は267.70ドルとなり、年初来20.17%安となっている。同社の株価下落は、テスラの意思決定が熟慮されたものではないのではという投資家の募る不安を反映している。

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(画像=Investing.com)

テスラの成長予測に陰り

テスラの直近の動向を知らない読者は、成長サイクルが始まったばかりの有望な製品ラインを抱える同社がなぜ危機に瀕しているのかと疑問に思うだろう。

どうしてテスラにこんなにも風当たりが強いのか?その答えは、同社の成長予測への信頼が崩壊したことにある。成長予測があまりに楽観的な予想の上に成り立っていたと明らかになれば、投資家がテスラ株式にこだわる理由はほとんどなくなる。

同社株式は過去1年間、多くの苦境に立たされてきた。最も非難を集めたのは昨年8月、マスク氏がツイッターで株式非公開化を示唆し、その17日後に撤回した一件だった。この件で同社は米国証券取引委員会(SEC)に対する4000万ドルの罰金に加え、株主から訴訟される始末となった。

また2月19日、同氏はSECの事前の承認を得ずにテスラの生産台数に関するツイートをした。これは昨年のSECとの和解合意に対する違反だとし、SECはマスク氏を再度出廷させた。

5日、マンハッタンの裁判官は、4月18日までに和解するよう双方に求めた。和解が成立しなければ、マスク氏は法廷侮辱罪に問われることになる。

このような降りかかる悪材料の中でも、テスラ株式投資家の活路はある。

ヨーロッパと中国における需要増に後押しされ、2019年の出荷台数は36万台から40万台になる見通しであるというガイダンスは維持されている。同社の報告書によると、米国ではテスラモデル3が未だにミッドサイズプレミアムセダン市場において売上トップであり、2位に60%以上の差を付けているという。

そうは言っても、テスラ株式に対しては厳しい見方をするアナリストがほとんどだ。

投資銀行・RBC Capital MarketsのJoseph Spak氏によると、モデルS・X出荷台数の落ち込みは第1四半期の収益に大きく影響するとみられ、予想収益から10億円以上縮小する可能性もある。

最大の懸念は、需要の冷え込みにも対処しうるキャッシュフローや負債に対する準備金の管理能力だ。

テスラは前四半期終了までに37億ドル相当の現預金を確保しているが、2月には転換社債型新株予約権付社債へ9億2千万ドルの支払いを行っている。

ブルームバーグのデータによると、11月に償還期日を迎える同社債券は総額5億6600万ドルに達するという。

まとめ

テスラの電気自動車に関する直近の需要予測は、今後の収益性に疑問を投げかける結果となった。

同社の市場戦略はトラブルを抱えており、手元現金は不足している。マスクCEOが訴訟の渦中にあることも考慮すると、同社株価が安定するのはまだ先になるとみられる。同社の成長予測に大きな陰りが見られるうちは、積極的な買いを避けるのが賢明だろう。(提供:Investing.comより)

著者:ハリス アンワル