米国株式市場は最高値に向けて続伸しており、今週の相場から目が離せない。

低成長や不況による脅威の中、第1四半期決算報告のシーズンが始まっている。

現在の市場の動きと今後の業績見通しが一致しているか、注目が集まるだろう。株式市場はS&P 500を最高値の2940ドル台近くに押し上げるなど回復を見せていたが、企業の減収の兆候が見られるのも事実だ。

それでは、今週に第1四半期の決算報告が予定されている企業の中から、注目の主要3銘柄をピックアップしていこう。

1. シティグループ

世界の主要銀行の一角であるシティグループ(NYSE:C)は、4月15日の市場開始前に第1四半期の決算報告を公表する。

経済状態と消費者心理を判断するためにも、同行の収益と業績見通しは市場にとって重要になってくる。

同銘柄は、過去10年間に亘る継続的な経費削減とポートフォリオのリバランシングにより収益を上げてきた。

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(画像=Investing.com)

TradingView: シティグループ

シティグループ株価は年初来25%近く上昇しており、年初来14%上昇したベンチマークのKBW銀行株指数を大きく上回っている。

JPモルガン・チェース(NYSE:JPM)が発表した同行の会計報告は、政府閉鎖中の消費者支出停滞の恐れがあったにも関わらず、驚異的な数字となった。同銘柄は2%以上高値の67.42ドルで12日の終値を迎えた。

アナリストの予測平均によると、同行は前年同四半期の1株当たり利益1.68ドルから値上がりし、1株当たり利益1.8ドルを計上するとみられている。売上高は186億3000万ドルに達する見込みだ。

投資家は収支決算を見て、改善が進んでいる効率性指標や売上高に占める費用の割合を分析するだろう。

過去4年間、同行はこの数字を60%以下に抑えており、他行の追随を許さないパフォーマンスを見せている。

2. ジョンソン&ジョンソン

世界的なヘルスケア関連企業のジョンソン&ジョンソン(NYSE:JNJ)は4月16日の寄り付き前に第1四半期の会計報告を発表する。

過去1年間、同社製のベビーパウダー関連の訴訟が争われ、同社の収益と成長の見込みは脅かされてきた。これを受け、同社株式には下げ圧力が働いていた。

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(画像=Investing.com)

TradingView: ジョンソン & ジョンソン昨年7月、陪審員は同社に対し、ベビーパウダーに含まれていたアスベストが卵巣がんを引き起こしたと主張した原告の女性らに4690億ドルの支払いを命じた。

12月14日、ロイター報によって過去数十年間にわたりベビーパウダーにアスベストが混入されていたことを同社が認知していたことが明らかになり、同社株価は10%以上の急落を記録した。

滑石由来の製品が中皮腫や卵巣がんの原因になったとして、同社は現在1万3千件以上の訴訟に直面している。ブルームバーグによると、今年米国で24件以上の裁判が予定されているという。

同社は最新の収益報告で今後の道筋を示し、投資家心理の回復を目指した。これを受け、株価は年初来約7%高の135.98ドルで12日の終値を迎えた。

第1四半期の1株当たり収益については、アナリスト平均で、前年同時期値の2.06ドルから2.04ドルへ減少すると予測されている。売上高は2%縮小して196億1000万ドルになる見通しだ。

3. ネットフリックス

ネットフリックス(NASDAQ:NFLX)も16日の大引け後に会計報告を発表する。

ディズニー(NYSE:DIS)は12日、独自の定額動画サービスDisney+を11月12日にローンチすると発表した。月額6.99 ドル、年額69.99ドルという価格設定はネットフリックスを大きく下回る。この発表を受け、同社の12日の終値は4%安の351.14ドルとなった。

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(画像=Investing.com)

年初来、同社株価は16%以上の成長を見せているが、メディア系他社との競争が同社の勢いを削ぎうるリスクの1つとなっている。

今週同社の会計報告が発表されるが、投資家やアナリストらは会員数の増加という重要な指数に照準を合わせるだろう。

成長性を重視する投資家にとって、収支決算の数字は極めて重要な意味を持つだろう。

この第1四半期で、ネットフリックスは新たに890万人の会員を獲得した。アナリストの予測を平均すると、1株当たり収益は0.57ドルで、45億ドルの売上が計上される見通しだ。

明るい予想の一方で、危険も潜んでいる。

同社の売上の大半を占める米国の定額動画サービス市場は成熟しつつあり、その成長率は頭打ちになっている。

第1四半期、米国における新規有料会員の数は160万人であり、前年同時期から230万人縮小する結果となった。

ただし、ネットフリックスの世界的なブランド力はまだまだ健在であり、同社が総合的に成長を続ける限りは成長性への疑問は看過されるだろう。(提供:Investing.comより)

著者:ハリス アンワル