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(画像=『焼肉トラジ』のスタッフから商品を受け取るファインダインのデリバリークルー)

飲食店のデリバリービジネスが盛り上がっている。2017年に中食市場は10兆円を突破し、今後も消費者のニーズは高まっていきそうだ。加えて、飲食店に代わってデリバリーを代行するサービスも充実。これが飲食店のデリバリービジネス参入を後押ししている。

しかし、デリバリー代行サービスを利用するにあたっては不安も少なくない。「お客様へ時間通りに商品が届くか」「弁当がくずれたり汁漏れしたりしないか」など、経営者としては心配が先に立つ。そこでここでは、飲食店のデリバリーに密着し、その実際のところを調べてみた。ご協力いただいたのは宅配サービス「ファインダイン」を利用している『焼肉トラジ 新宿西口店』。実際にオーダーが入るところから、お客様に商品を届けるまでを完全密着した。

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(画像=株式会社トラジ・取締役営業本部長 朴民浩さん(右)と、『焼肉トラジ 新宿西口店』をフランチャイズ店として経営している株式会社イタミ・代表取締役 伊丹成元さん(左))

あの人気焼肉店が「ファインダインを選んだワケ」

株式会社トラジは、『焼肉トラジ』などの焼肉店を首都圏中心に約70店舗展開している。同社が、ファインダインを利用してデリバリーサービスを始めたのは2008年に遡る。当時、売上が頭打ちになっていた『焼肉トラジ 青山店』で打開策を模索していたところ、時を同じくしてファインダインの青山店がオープン。“次なる一手が欲しい”と考えた同社はファインダインと契約し、デリバリーサービスにいち早く乗り出した。同社の取締役営業本部長・朴民浩さんは、ファインダインと契約した当時のことをこう振り返る。

「売上向上のためにデリバリーを始めるにしても、配達機能を自前で持つのも大変ですし、集客方法についても未知な部分が多い。リスクがあり過ぎて“デリバリーを自社で始めるのは無理だろう”と思っていたんです。そんなときにファインダインさんからお話をいただきまして、サービス内容が弊社が求めているものと合致していたこと、あとは双方のブランド力があれば相乗効果が得られると考えて契約させていただきました。店側の負担が少なくなるように運用方法が工夫されているのも決め手でしたね」。

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(画像=「ファインダインは店側の負担が少なくなるように工夫されている」と語る朴さん)

青山店でスタートしたデリバリー事業は8店舗まで拡大。取材した『焼肉トラジ 新宿西口店』も、2月28日の店舗オープンと同時にデリバリーを開始した。新宿西口店を運営する伊丹成元さんも、ファインダインのサービスには好印象のようだ。

「特に配達サービスが優れていると思います。配達スタッフの方は時間通りに弁当を取りに来てくれるので、店側は決められた時間までに弁当を作っておけばいいだけ。この手軽さがいいですね」。

デリバリーを始めるとなると、そのために複雑なオペレーションを用意しなければならないと考える人も多いだろう。しかし、伊丹さんによれば店側は時間通りに弁当を作っておけば、あとは特別なことは何ひとつ必要ないという。これぐらいの負担であれば、通常営業に料理のオーダーが少し増えた程度の気持ちでデリバリーに取り組むことができるのではないだろうか。ちなみに、こうしたオペレーション以外で何か不安な点はなかったのだろうか? 朴さんに聞いてみた。

「イートインのピークタイムとデリバリーの注文が重なるのではないか、という不安はありました。でも、ファインダインは弁当の“お届け時間”を店側で決められるので、ランチやディナーなどの忙しい時間帯は、少し長めに時間設定することで余裕をもってさばくことができます。また、お店だとお客様が食べている様子をその場で見られますけど、デリバリーだとお客様が弁当を開けて食べている姿が見られない。弁当が崩れていないか、ちゃんと美味しく召し上がっていただけているのか、とういう点に不安がありました。今のところ『弁当が崩れていた』『汁が漏れていた』などの苦情は一度もありませんので、大丈夫かなと思っています」。

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(画像=「リピートしてくださるお客様が多い」と伊丹さん)

デリバリー事業、最大のメリットは?

飲食店がデリバリー事業を始めるうえで最も期待するのが売上拡大だろう。『焼肉トラジ 新宿西口店』では1日5~10件ほど注文が入り、客単価は5,000~6,000円だという。デリバリーを始めて3か月程度ながら、充分な数字を上げているといえるだろう。また、デリバリーのおかげで店の満席・空席にかかわらず売上を加算できるほか、新たな販売チャネルを持つことで店の人員を効率的に活用できるのも利点である。朴さんはデリバリーのメリットについて、このように語ってくれた。

「天候が優れないときは外出を控える人が多いのでどうしても店の客足が落ちますけど、そういうときは逆にデリバリーの注文がよく入ります。悪天候時に売上が立つところはデリバリーのいいところだと思います。あと、焼肉を食べたいと思っても、事情があってなかなか外食できない人もいるじゃないですか。特にユッケジャンなどのスープ系は、店舗でしか食べられないことがほとんど。うちはスープ系のデリバリーも行っているので、食べたいけどなかなか機会がないような方たちに届けられたらいいなと思っています」。

いよいよデリバリーに密着!

朴さん、伊丹さんに話を聞くと、デリバリー代行サービスを利用すれば、店側の負担はかなり抑えられることがわかった。では、具体的にどのような流れで飲食店のデリバリーが行われていくのか、ここからは『焼肉トラジ 新宿西口店』の実際のデリバリーの様子を詳しくレポートしていきたい。

ファインダインからのオーダーは、店舗用のスマートフォンに連絡がくるところから始まる。スタッフはスマートフォンで注文内容を確認し、厨房にオーダーを通す。店舗が混雑してデリバリーの商品まで手がまわらない場合は、専用システムを使って一時的な注文ストップ、お届け時間の延長などの設定ができる。この機能のおかげで店側の負担が軽減する。

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(画像=ホールスタッフが専用スマートフォンで注文を受ける様子)

注文が入ったのは、「上カルビ弁当」(2,800円)が2つと、トラジ名物の「ユッケジャンスープ」(1,000円)、そして「トラジサラダ」(800円)。先にカルビ弁当の準備を始め、スープは「早くても遅くてもいけない」ため中盤から調理をスタート。

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(画像=カルビ弁当とスープを作る様子。スープは少し遅れて調理をスタート)

特性のタレで牛肉をジュワッと焼いていく。「店舗のオーダーの状況によりますが、基本的には15分くらいで完成することを目標にしています」とスタッフ。

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(画像=牛肉を温かいご飯の上に手際よく並べていく)

『焼肉トラジ』の肉は鮮度のよさが特徴で、ジューシーで味わい深い旨みが楽しめる。最近は自社牧場で育てたトラジ和牛が「武州和牛チャンピオン」を受賞したことでも話題となった。

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(画像=キムチ・ナムルを盛り付けるエリアには仕切りがあるため、水分が広がらず清潔感がある)

先にカルビ弁当ができあがり、その後、スープ・サラダも次々と完成。すべての商品が完成するまでの所要時間は10分ほどだった。

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(画像=注文の品が完成。こぼれやすいもの、蓋が開きやすいものには、ラップを何重にも巻く)

スープやドレッシングにはラップを何重にも巻き、こぼれるのを防止。保温効果も期待できる。こうした梱包の方法についても、ファインダインがしっかりとサポートしてくれるそう。

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(画像=カウンターに商品を移動させて、丁寧に袋に詰めていく)

商品を袋詰めする少し前に、ファインダインのデリバリークルーが到着。デリバリークルーは「ファインダイン」のロゴが書かれた保温・保冷ボックスを持参していた。

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(画像=ファインダインのデリバリークルーにできたての商品を手渡し)

商品を受け取る際、オーダー票を見ながら注文内容と引き取り内容に間違いがないかをしっかり確認。そして商品をボックスに詰めるときも、お客様の邪魔にならないように気を配っていたのが印象的だった。デリバリークルーの対応スキルの高さはファインダインの強みだ。

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(画像=デリバリー専用の大きな保温バッグ。隙間ができないように詰めていく)

配達ボックスを手に外へ。慎重に専用バイクの荷台に収納、隙間に緩衝材を入れて配達ボックスが傾かないように工夫をしていた。

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(画像=バイクの荷台にボックスを載せる様子)

配達の際は「カーブでスピードを落とす」「車間距離を充分に取る」などの運転ルールを徹底。これにより事故を防ぐと同時に、弁当の崩れや汁漏れなどを防止しているという。ファインダインによると「当たり前のことを当たり前に行う意識を徹底できるよう教育している」とのこと。宅配スキルに長けた専門業者ならではの指導があちこちに表れていた。

オーダーから30分、ついにお届け!

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(画像=今回は3人家族からのご注文。お父さんがお出迎え、商品が届いて嬉しそう)

オーダーから約30分でお客様の自宅へ。デリバリークルーが専用のボックスから丁寧に取り出し手渡しする。注文者であるご家族は、ファインダインの利用は初めて。デリバリークルーは、「こちらは温かいものなので、お気を付けください」と丁寧に案内しながら手渡していたのが印象的だった。

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(画像=商品をテーブルに並べた際の第一声は「温かい!」だった。電子レンジで温め直す必要はなさそうだ)

ラップをはがしても中身がこぼれた様子は見受けられない。カルビ弁当も店舗で見たときと遜色ない状態である。

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(画像=蓋を開けた状態。こぼれた様子は見受けられない)

和気あいあいとした食事タイムを見届けて、この密着取材は終了となった。最後に、このご家族に率直な感想を聞いたので紹介したい。

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(画像=料理を取り分けて家族で食事。柔らかくジューシーな牛肉は子供も食べやすい)

「家族で『焼肉トラジ』の大ファンです。普段は両親や友人と食事をする特別な場所として、トラジを利用させていただいています。商品が届いて一番驚いたのは温かいこと。『デリバリーだと味が落ちてしまうのでは?』という不安もあったのですが、店でいただく状態と変わらず美味しい。自宅なので周りを気にせずリラックスしながら食べることができたことも、子どものいる家庭としては嬉しい点でした。3人で食事をしながら『お肉が柔らかいー!』『こっちのスープも美味しいよ』と会話が弾みました。共働きで、いつもは時間に追われているのでピリピリしてしまいがちなのですが(苦笑)、本来、食事は大切なコミュニケーションの時間であることを再認識させられました。それにじつは、自宅周辺はファミリーで楽しめるような飲食店が少なく、どちらかというと居酒屋が多いんです。特別な日にいざ外食!と思っても、移動などで逆に疲れてしまうことも……。私のママ友も同様のことで悩んでいたので、ファインダインのサービスを教えたいと思っています」

朴さんが「焼肉を食べたいと思っても、事情があってなかなか外食できない人もいる」と話していたが、なるほど、このご家族もそうだった。幅広い層に届けられる可能性を持てるのは、デリバリーサービスのいいところだろう。

さて今回は、『焼肉トラジ 新宿西口店』のデリバリーに密着しながら、飲食店が行うデリバリービジネスの実際のところを紹介した。取材してわかったのは、デリバリービジネスは飲食店にとって負担が少ないこと、そして新規顧客獲得や売上拡大の大きなチャンスになること。もちろんデリバリー用の商品開発といった手間はあるが、今後も消費者の中食ニーズが高まっていくことを考えると、デリバリー参入を本格的に考える価値は充分にあるといえるだろう。

『焼肉トラジ 新宿西口店』
住所/東京都新宿区西新宿7-2-5 TH西新宿ビル3F
電話番号/03-5338-4129
営業時間/11:00~L.O.23:00
定休日/無休

(提供:Foodist Media

執筆者:『Foodist Media』編集部