5月1日、改元で祝賀ムードに満ちた日本とは対象的に、米株式市場はS&P500が約6週間ぶりの安値に沈むなど暗いムードに包まれた。「これでパウエル・プット終了なのか……」その日、電話口でウォール街のトレーダーがため息まじりにそう言った。
パウエル・プットとはFRB(米連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長とオプション取引のプットを合わせた造語である。「FRBが(利上げ打ち止め等で)株安に歯止めをかけてくれる」そんな期待を込めてFRB議長の名前にプットを付けて呼んでいたものだ。実際、この半年ほどの米株式市場はパウエル・プットにサポートされていた側面もあるだろう。
FRB(米連邦準備制度理事会)は前回3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で昨年までの利上げ路線からの転換を明確に示した。マーケットでは昨年末にかけての株価急落でパウエル・プットが発動したと受け止め、4月下旬にはS&P500が過去最高値を更新するまで回復した。
だが、ここにきて情勢は急変している。4月30日、5月1日のFOMCを受けて「パウエル・プットが終了するのではないか?」との観測が急速に広がったのだ。果たしてパウエル・プットは本当に終了するのだろうか? 詳しく見てみよう。