ラーメン文化が有名な福岡だが、「飲み会の〆はうどん!」という人も多い。そんな人が通うのが、近年、福岡の街に増殖中の「うどん居酒屋」であり、その文化を牽引しているのが、福岡市内で3店舗を展開する『二○加屋長介(にわかやちょうすけ)』だ。2016年11月には東京進出1号店となる中目黒店をオープン。都内2号店となる大手町店とともに、すでに繁盛店となっている模様。東京進出にあたっての想いを店主・玉置康雄さんに聞いた。
東京の環境できることの100点をめざす!
以前から視察やプライベートで東京を訪れていた玉置さん。そんな中で自然発生的に「首都・東京でやってみたい」という想いが生まれてきたという。
「ちょうどその頃、トランジットジェネラルオフィスの中村さんとお会いして。トランジットさんだったら、『二○加屋長介』というブランド価値を高め、広げてくれる感じがして、トランジットさんと一緒にやってみたいなと思っていたら、運良くそのタイミングで声をかけていただいたんです」
と、玉置さん。東京進出は運営委託というカタチで行なうことになった。
「福岡でやっていることをそのまま持っていくのか、東京でできることを追求するのか。その落としどころを見つけることに苦労しました」
たとえば、醤油の違い。関東風の醤油を使うのか、福岡で使っているものを持っていくのか。水も違うし手に入る食材も違う。そのような状況の中で玉置さんは、「東京の環境での100点」を目指すことにした。
「0か100ではなくて、福岡と同じことをするものもあれば、東京で新しいことをするものもあります。最初は“(福岡と)違う”と言われることもあるかもしれませんが、トータルの点数としてはその方がいいと思いますね。東京にはさまざまな分野の料理人がいますので、彼らの感性で新しいメニューをつくってもらうこともあります。半分は独自で伸びていくという感覚ですね」
個人店のオーナーだった玉置さんにとって、トランジットジェネラルオフィスと組んだことも、大きな学びだったそう。
「僕が感覚的にやっていることを、トランジットさんが理論化してくれるという感じでしょうか」
まもなく、東京3号店となる青山店もオープン予定。その勢いはとどまることを知らない。
東京、海外への出店はコンペティターの存在が必要
東京のみならず、福岡でもさまざまな企業とタッグと組み、新しいことにチャレンジする玉置さんだが、彼はすでに次なるステージを見据えている。
「2019年中にパリに出店したいと考えています。これは、業務委託などではなく、自ら乗り込むつもりです。福岡→海外ではなく、福岡→東京→パリの方が現実味がありますよね。うどんは糖質もカロリーもある食べ物。本質的に美味しいんですよ。しかも出汁文化はそんなに根付いていない。これをもっと世界に広げていきたいですし、海外でも絶対に伸びていくと考えています」
そう話す玉置さんは、東京にしても、パリにしても、出店に際してはコンペティターの存在が必要不可欠だと話す。
中目黒店を出店する直前には、「一風堂」を展開する力の源ホールディングスの新業態「博多うどん酒場 イチカバチカ」が恵比寿にオープンしたが、福岡の「うどん居酒屋」文化を発信するには、とてもいいタイミングだったという。また、パリに関してはすでに数軒のうどん店があり、そこに「うどん居酒屋」という新しい業態が加わることで、話題のトライアングルが広がると、玉置さんは考えている。
「漠然と描いていた『東京でやってみたい』という夢が実現したことは、単純に嬉しかったですし、海外に出店するためには必要なことでした。商売をしていく中で、絶対に自分のカードを切らなければならないというタイミングが2、3回はあると思います。最初は起業のとき。寝る間も惜しんで仕事をしましたね。東京出店に関してはリスクが殆どなく、カードは切っていない状況ですが、パリに関してはそのカードを切るときだと考えています」
福岡から東京、そして世界へ。『二○加屋長介』の躍進はまだまだ続いていく。
『二○加屋長介 薬院本店』
住所/福岡市中央区薬院3-7-1
電話番号/092-526-6500
営業時間/16:00〜翌1:00(日・月曜は〜翌3:00)
定休日/なし
https://niwakaya-chosuke.com
『二○加屋長介 中目黒店』
住所/東京都目黒区上目黒3-5-29 中目黒高架下52
TEL/03-6452-4170
営業時間/18:00〜翌3:00(日・祝は17:00〜23:00)
定休日/不定休
http://www.transit-web.com/shop/niwakayachosuke/
(提供:Foodist Media)
執筆者:寺脇あゆ子