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チョコレートのフライドピザ(画像=Foodist Media)

飲食店の中にはテイクアウトやデリバリーといった中食事業に取り組む店舗も少なくない。最近は配達を代行してくれる業者が登場したりと、飲食店にとって参入しやすい環境が整いつつあり、こうした店舗が増える大きな要因となっているようだ。そして、最近注目を集めているのが「ネット通販」。自店舗の人気メニューを通販用にアレンジし、自社ホームページや各種通販サイトで販売する飲食店が増えているのだ。

ここでは、積極的に通販事業を行っている渋谷区松涛のイタリアン包み揚げ料理専門店『パンツェロッテリア』の西 正博さんに詳しい事情を伺ったのでご紹介したい。

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モダンな雰囲気の店内。ゆっくりと食事を楽しめる(画像=Foodist Media)

そもそも、なぜ通販を始めようと思ったのか

イタリアに25年住んでいたオーナーが経営し、東京と大阪に2店舗展開する、揚げたて包み揚げ料理・パンツェロッティの専門店『パンツェロッテリア』。店舗では、イタリアでファーストフードとして親しまれているというパンツェロッティが、オリジナルメニューを含め30種以上も味わえる。

通販を始めたきっかけを尋ねると、イタリアではピザに次いで人気があるが日本ではまだ知名度の低い「パンツェロッティ」という商品に将来性を感じていたこと、そして通販との親和性の高さを感じていたことが窺える。

「実店舗をオープンした当初から、イタリア全土で愛されているパンツェロッティは日本でも全国で売れる商品になるだろうと考えていました。そのため、いずれオンライン通販を始めようと考えており、2年後に大阪でオープンしたレストランには『パンツェロッテリア・ファクトリー』を併設し、普及を目指すべく通信販売や業務卸も開始しました」

メニューへの思い入れ、そして普及を目指す強い使命感が、通販事業をスタートさせる原動力になっているようだ。

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通販用にパッケージされた商品(画像=Foodist Media)

自社サイトだけでなく、さまざまな通販サイトで販売

Web上には多くの通販サイトがあるが、どのサイトで販売しているのだろうか。

「自社の通販サイトが2つ、リンベル社を通じて『婦人画報のおかいもの』、『オンワード・マルシェ』、『ミンネ』、『東京カレンダーショッピング』、『G-Callショッピング』、『らでぃっしゅぼーや』、『虎ノ門市場』の各サイトにレギュラーで販売しています。ほかには、『やっちゃばマルシェ』などに季節単位で販売しています」

通販サイトで販売しているのは、定番人気の「フライドピザ 茄子のマルゲリータ」(700円)や「フライドピザ クアトロフォルマッジ」(800円)などバラ売りのメニューだけでなく、ちょっとしたパーティーにもぴったりな「フライドピザ 6種まとめてお得なセット」(4300円)など、セットメニューを加えると20種以上にものぼる。

商品化するうえでの苦労は?

商品化をするうえで苦労したことなどはあったのだろうか。

「店舗ではパンツェロッティを揚げたてで提供しますが、通販の場合はブラストチラーという急速冷凍機を使って冷凍した状態でお届けします。試行錯誤を繰り返しながら、急速冷凍に適した生地の調合や揚がり具合の調整をしてきました。また、お客様のご自宅でできる適切な解凍方法や調理方法も決め、それをお客様に分かりやすく伝えることにも苦心しました」

ちなみに通販で得られる売上はどのくらいなのだろうか。

「はっきりした金額は出せませんが、月によって売上金額に波があります。原価率は30%を切ってはいますが、お客様から送料を全額いただけない場合も多く、その負担は大きいと感じています」

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青花椒のマルゲリータ(画像=Foodist Media)

『パンツェロッテリア』が通販を通してやりたいこと

ただ単に店舗でメニューを提供するだけではない努力を必要とされるグルメ通販。それでも『パンツェロッテリア』が通販を続けているのはなぜだろうか。

「うちが取り扱っている商品が、パンツェロッティや包み揚げ、揚げピザ、フライドピザというまだ知られていない商品のため、Webで検索されること自体が非常に少なく、ホームページのSEO対策もままならないほどなんです。そこで、焦らずに徐々に日本での知名度を上げていくために、多くの通販サイトやこうしたメディアサイトでご紹介していこうと考えています」

最後に、これから通販事業を始めたいと考えている飲食店に向けて、通販で売るコツや工夫などを教えてもらった。

「幸運にも今までは色んなサイトの販売会社様から売りたいというお話をいただいてきたので、何か特別な売り込みのようなものはしていないんです。ただ、心がけていることは、通販サイト経由でご連絡いただいたお客様とのやりとりやご購入いただいた方へのお届けメールなどは、できる限りコピペではなく丁寧に想いを込めて書くようにしています。そのおかげか、リピートいただくお客様も増えているのが嬉しいですね」

店舗以外に販路を広げることができ、かつ厨房を効率的に稼働させることにもつながる通販。通販向けにアレンジすることでお店の人気メニューに磨きをかけられるだけでなく、通販サイトでの露出や購入者が増えれば店舗への集客につながる可能性もある。全国で売れそうだ、通販向きなんじゃないか、というメニューをお持ちの方は、グルメ通販サイトでの販売も検討してみてはいかがだろうか。

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(画像=鮮やかな色使いが特徴的な店構え(画像=Foodist Media))

『Panzerotteria(パンツェロッテリア)』
住所/東京都渋谷区松涛2-14-12 シャンポール松濤1F
電話番号/080-2675-7216
営業時間/12:00~L.O.14:30(金~日)、18:00~L.O.24:00(火~日)
定休日/月曜(祝日の場合は火曜)
席数/20席
http://www.panzerotteria.com/