★米主要指標の定点観測。 現地22日の米国株市場は反落でした。日替わり定食のように、日々の米中協議の進捗状況に応じて、こまかい持ち合いが続いています。おおむね0.5%以内の小幅な下げにとどまっています。移動平均線との位置関係で見て見ましょう。
(5月16日以降持ち合い) 16日から持ち合いとなっているのは、50日線を割れにある総合株価指数の&P500、グローバル指数のダウ工業株、ハイテク中心のナスダックです。
(5月13日以降持ち合い) もっと早く13日から持ち合いになっているのは、すべての移動平均線を割れているものばかりです。株価指数の中ではもっともリスク感応度の高いラッセル2000小型株、先行指標のダウ輸送株指数です。
(安値更新しているもの) 主要指標の中で、安値更新がなかなか止まらないのが、半導体SOX指数です。これは一昨日(月曜日20日)の安値を割りました。ただ、200日線がすぐ下に控えており、すべての移動平均線を割っているわけではありません。
(リスク指標、変動リスク指標) こうした中、最大のリスク指標であるジャンクボンドはむしろ逆行高。25日・50日線の密集地帯に接近しており、これが早晩上放れてくるということになりますと、株式市場のリスク回避のセンチメントは大きく後退・改善することになります。 また、変動リスクを示すVIX(変動、恐怖)指数も前日すでに若干25日線を割っていましたが、昨晩は完全に割りこみ、一時は50日線にまで到達。14.75と引き続き15割れ。これを割ってくるようですと、リスクパリティ型のファンドの売りを警戒するどころか、買いがむしろ発動されてくる公算が一段と高まります。
(マネー循環) マネーの流れは、株が安かったということから、むしろ国債が買われています。10年国債利回りは2.4%割れとなり、2.3930%。これは、5月13日以降持ち合いとなっており、総合株価指数の&P500に対応する動きになっていると言って良さそうです。
★マクロの材料。 (対中追加関税措置) 第4弾となる3000億ドル相当の中国製品(スマホなどハイテク製品と、一般消費財が多い)に対する追加関税措置ですが、ムニューシン財務長官は、国内への影響を検証しており、発動を巡るいかなる決定も30-45日先になる、としています。 (制裁対象の拡大) 中国の大手通信機器・華為(ファーウェイ)への制裁は、グローバルに影響を与えてきているようです。日本でも、ソフトバンク、KDDIが同社製品の発売の延期を発表しており、この動きは拡大する模様。 (FOMC議事録) 午後に発表された前回のFOMC議事録ですが、連銀はインフレの低下は一時的と考えている見方を崩していません。市場で期待感が高まってきている年内の「予防的措置としての利下げ」に関しては、議事録にはまったくヒントが示されていませんでした。
★日経平均先物。 日経CME円建ては21230円、日経平均先物夜間取引も21230円。昨日の日経平均現物指数終値は21283円ですから、50円ほど甘いスタートになりそうです。昨日大引け時点で5日移動平均線が21234円でしたから、この攻防戦が本日の課題になってきそうです。すでに4日5日線を上回っていますが、この間どうしても75日線の突破ができずにもみ合いとなっているのが日経平均です。本日もファーストリテイリングの動きには注目しておきましょう。
以上(提供:Investing.comより)
著者:増田経済研究所 松川行雄