リタイア世代はポートフォリオのボラティリティが高くなりすぎる事を嫌うだろう。ゆっくりと値上がりし、老後の出費をカバーする配当収入を生み出してくれるような銘柄を選択することが重要になってくる。

定期的な収入を求めているのなら、質の高い高配当株を自身のポートフォリオに組み入れるべきだ。優秀な経営陣、健全な財務体質、市場での独占的な地位などがこの場合鍵となる項目である。

以下の2つの高配当銘柄がリタイア世代の配当収入を手堅く生み出すと考えられる。経済の安定期・混迷期問わずパフォームする銘柄となっている。

1. メルク

何故我々がメルク (NYSE:MRK)をリタイア世代のポートフォリオに推薦するかというと、ヘルスケア大手である同社のディフェンシブ銘柄としての性質と、成長を続ける配当にある。小売、公益事業、通信のようにヘルスケア企業は、不況時でも我々が買い控えることが出来ないサービスを提供しているためである。

同社株は直近の12ヶ月で37%高となっており、24日の終値は0.2%高の81.17ドルとなった。

Merck Weekly Chart
(画像=Investing.com)

同社は今まで世界的に服用されている薬品を数多く開発してきた。その中で最も新しい薬品はがん治療薬のキイトルーダで、売上が急激に伸びている。アナリストや専門家は、2022年までに120億ドル近くの売上を予想している。

メルクは、キャッシュを安定して生み続けているロングセラーの薬品も多く有しており、はしか・おたふく風邪・風疹の予防薬等のワクチン分野において特に強みを持っている。製薬会社にとって研究・開発費は生死を分ける存在だが、同社は160億ドルを2022年まで続く新プロジェクトに投資し、昨年より33%増となっている。

利益成長率の高さ、莫大な研究・開発費予算、配当と自社株買いの増加等を勘案して、我々はメルクが長期投資に最適な銘柄だと考える。昨年、同社は年間配当額を15%増加させ、1株あたり2.2ドルの配当を支払っている。

2. ウェイスト・マネジメント

好況・不況に関わらず我々は毎日大量のゴミを捨てる。そしてそのゴミは誰かしらが処理しなくてはならない。米国の廃棄物回収・処理最大手ウェイスト・マネジメント(NYSE:WM)は配当金目当てでポートフォリオに組むのにいい銘柄である。株価は過去12か月で33%上昇しており、5月24日は108.43ドルで終値を迎えた。

Waste Management Weekly Chart
(画像=Investing.com)

同社は米国とカナダの両方で最大規模の埋立地、輸送基地、そしてリサイクル施設を有している。その大規模な設備と収益性は、リタイア後長期にわたって確実に配当を得られることを意味している。

先月、同社は同業シェア4位のアドバンスト・ディスポーザル(NYSE:ADSW)を約29億ドルで買収することを発表した。これは処理事業者間の買収では稀に見る大規模な買収となった。この大規模買収により、ウェイスト・マネジメントの市場ポジションはますます確立されるだろう。

同株は長期投資家にとって手堅い投資先であることが証明されている。過去10年間で、同社の年間配当額は2倍以上に膨れ上がっている。同社は今や1株あたり2.05ドルの年間配当を還元している。配当利回りは1.87%となっている。

仮に配当を再投資していれば、過去5年合計で約150%のリターンが得られていた計算になる。なお、S&P 500の平均リターン率は約50%だ。

今後もこのような高配当が続くか否か予想するのは難しい。ただし、廃棄物回収・処理業界におけるリーダーポジションを考慮すると、長期投資家にとっては比較的安全な投資先であると言えるだろう。

総括

リタイア後にも安定して収入の得られるポートフォリオを作りたいなら、メルクやウェイスト・マネジメントといった配当株は安全な選択肢だろう。

市場が大きく再編されたり、景気後退が起きたりする場合でも、これらの銘柄には広い市場でアウトパフォームするだけの力がある。

定期的に増配されるディフェンシブ銘柄に投資先を分散させることは、リタイア世代にとっては常に良い戦略となるだろう。(提供:Investing.comより)

著者:ハリス アンワル