米半導体大手ブロードコム(NASDAQ:AVGO)は13日、2-4月期決算を発表した。加えて、今年10-12月期の売上高予想を従来の245億ドルから225億ドルへ下方修正した。

同社は米中貿易摩擦で「(需要の)急減」が起きていると言明。米政府による禁輸措置を受け、中国通信機器大手ファーウェイへの部品供給を停止していることにより売上高が減少する見通しを示した。

ブロードコムのネットワークは、大規模なデータセンターを持つアルファベット(NASDAQ:GOOGL)傘下のグーグルやアマゾン(NASDAQ:AMZN)等のクラウド事業を支えている。

ブロードコムのホック・タンCEOは「ファーウェイへの禁輸措置を含む米中貿易摩擦が政治経済に不確実性をもたらしていることは明らかだ。我々の顧客企業は在庫水準を積極的に低下させている」と述べた。ブルームバーグが報じた。

同社は売上高の下方修正を「極めて保守的」なものであるとし、米中貿易摩擦の影響を半導体メーカーでは初めて定量化した。

貿易摩擦の他にもある、需要減少要因

同社株は14日一時9%安となった後、わずかに回復し5.6%安となる265.93ドルの終値を付けた。同株は今年5%上昇している。

対して半導体関連の代表的な指数であるフィラデルフィア半導体株(SOX)指数は今年18%の上昇となっている。

Broadcom weekly chart
(画像=Investing.com)

他の主要な半導体企業の決算報告も軟調なものとなった。

半導体企業の成長率は中国での売上に結び付いている。同国内でのゲームやAI需要の拡大が背景にある。よって世界経済、中でも中国経済が減速していく場合は今後も半導体需要に下押し圧力が加わる見通しだ。

ブロードコムによる最新のガイダンスは、米中貿易摩擦が需要減少の唯一の要因ではないことや、軟調な決算報告や売上高予想に関してもより多岐に渡る要因が存在することを示唆している。

同社によると供給先である製造装置企業は対ファーウェイ禁輸措置以前から購入ペースを落としており、この点も売上高下方修正の要因の一つになっているという。

総括

半導体製造企業大手の決算報告が大方出揃い、半導体株を買うのに適したタイミングではないことが明らかとなった。

ブロードコムに続いて他の主要半導体企業も売上高予想を下方修正すれば、半導体株は更なる下げ相場を迎えるだろう。

半導体需要が早期に回復するというシナリオはあまりに楽観的であり、我々としては半導体株の買い時はまだ先であると見ている。(提供:Investing.comより)

著者:ハリス アンワル