★ジャンクボンドも下げる。 米国株市場は下げてきました。週明け、まちまちな主要株価指数で、頭打ち感がありましたが、昨晩は明確に下げる一日となりました。 新築住宅などこの日に発表された経済指標が弱い内容だったことや、イラン情勢では米国とイランが舌戦激化してきていることから、軍事的衝突を懸念する向きもあり、これらが要因とされています。 が、それらがあってもなくても下げる局面であることは、すでに読者はご存知なわけで、プレアナウンスメント期間であるということが一番のポイントです。

★定点観測。 最大のポイントは、先行指標のダウ輸送株指数が、25日線を割ったということです。 これが一番大きいでしょう。当レポートでも最も懸念していた点ですが、結局そういう事態になりました。 まだ日経平均は先物の夜間取引でも25日線を割ってはいませんが、ぎりぎりに接近している位置にあるため、本日のグローベックス市場の米国株先物の動き方次第では、25日線を容易に割ってしまうでしょう。 その他の重要な指標としては、業種先行指標の半導体SOXが25日線割れ寸前まで下落。 まだ移動平均線との距離はあるものの、ジャンクボンドが三日間の高値持ち合いから失速して下げ始めました。 また、VIX(変動、恐怖)指数ですが、50日線・25日線いずれも上に突破してしまい、16.28まで上昇。プットがかさんでき始めている様子がうかがえます。VIXがこれで15台を抜けたということは、買いプログラムが一切出なくなったということになります。残るは200日線のある17.18をブレイクするかどうか、ということになってきています。 危険水域は、売りプログラムが発動される22.25までにはかなりの余地があるものの、方向性は上を志向し始めている点が警戒されます。

★出来高涸渇が続くと、最終的に相場は飛ぶ。 現在、年初来最低の売買代金・出来高という状況に陥っています。 相場も下落基調です。 なかなか指数を見る限りでは楽観的になれない状況ですが、そもそも米国のプレアナウンスメント期間ですし、日本の4-6月決算(7月末に発表)も、期初だけに経営サイドが強気を言うはずもなく、きわめて慎重にして保守的な内容になるはずです。 したがって、ファンダメンタルズからはまったく期待できない状況になるわけですが、逆に言えば、悪材料の出尽くしになることも可能です。 出来高が長期にわたり低迷するということは、売り手が涸渇するということに等しく、結果きっかけはともかくとして、結局はロングの積み上げになってくる結末しか待っていないからです。 問題は、それまでにどのくらいの日柄が必要かということになるわけです。 最短で、このプレアナウンスメント期間以降、ミクロの悪材料織り込み済・出尽くしでやおら相場が立ち上がっていくか。それとも、もっと長い日柄が必要なのかはまだ不確実です。

★日経先物動向。 現在、日経CME先物円建ては21050円。日経平均先物夜間取引は21050円。 昨日の現物指数終値は21193円。軟調スタートです。 米国10年国債利回りが、2%割れで返ってきています。1.994%です。最終ベースでは最低水準をマークしましたが、ザラ場ベースでは20日に1.98%がありますから、これを割っているわけではありません。ただ、いずれにしろ長期金利停滞は続いており、前日からの低下ということで言えば、資金が株→国債へ逃避した流れを示唆しています。 ディフェンシブな(直近最高値更新となっていた)ダウ公共株も下げており、米国株全体から資金が逃げている動きと考えられます。 こういう環境ですから、ポジション管理は安全策を取ったほうが良いでしょう。

★戦略方針: 【梁山泊(個別銘柄主体の運用の通称)】は、フルポジションの方針を変更して、「警戒」とします。 ダウ輸送株指数の25日線割れです。まだ日経平均は25日線割れとなっていないものの、これを割れるのは非常に容易であるということから、ここは早めにヘッジの開始をしておいたほうが良いでしょう。 現時点ではまず、資産規模の1割を目安に1357(日経ダブルインバース)による買いヘッジというところでしょう。資産均衡にまでする必要はなく、返ってそれも危険です。 ただ、相場下ブレを警戒し、それに備える足場として、全体の1割程度の1357の買いヘッジということで良いと思います。 銘柄のスクリーニングは、「一粒萬倍」勉強会サイトを参照。(提供:Investing.comより)

著者:増田経済研究所 松川行雄