★主要米国株指数は、揉み合い。 週明けの米国株市場は小幅に反落です。 その理由に挙げられているのは、一つには過度な利下げ期待が後退したというもの。雇用統計がその発端でした。短期金融市場では、事前には100%の確率で0.25%の利下げを織り込んでいましたが、現在は60%の確率へと急速に後退しているようです。 もう一つはミクロで、アップルに対する投資判断の引き下げが飛び出したことで、ここから本格化する決算発表に警戒感が走ったためです。 主要株価指数はすべて軟調に終わっていますが、すべて1%未満の下落率です。 とくに各種指標の、移動平均線との位置関係には異動はありませんでした。
★利下げ期待の後退。 マクロに関しては、明晩から始まるパウエル連銀議長の下院での議会証言に注目が集まるはずです。雇用統計で水を差された市場としては、とりあえず利下げ期待で上げて来た株価に対して、利益確定で応じているようです。
★アップルの格下げ。 セルサイドでは、アップルの投資判断の引き下げが話題となったようです。 目標株価を150ドルとして、投資判断は「売り」というものです。向こう半年から1年にかけて、アップルのファンダメンタルズは弱いというものですが、これは明らかに決算発表に向けて市場の警戒感の現れでしょう。 ちなみにアップルの株価は200日線こそ割っていますが、50日線・25日線を割っているわけではなく、昨日も1.51%の下落にとどまっており、アフターマーケットの気配はむしろ1.73%切り上がっているので、前日終値より高いくらいです。
★月間のアノマリー。 月間のアノマリー通り、雇用統計以降、米国株市場は軟調であり、これを受けた東京市場はそれを上回る弱さを露呈しています。 東京の場合は、分配金捻出をするETFの売り圧力が余計な下げを誘引しているともいえるわけですが、SQ前ですからよほどの先高感でもない限り、相場が押しても不思議なところではありません。 むしろ日米株式市場ともに今週は押したほうがその後の決算発表ではアク抜け、織り込み済となって上昇しやすいわけですから、ここは発射台が低い方が相場には有利です。
★原油価格とイラン問題。 イランが、アメリカによる経済制裁強化に反発して、ウラン濃縮度を2015年核合意で定められた上限を超過。20%を視野に入れ始めました。 独仏がこのイランの攪乱行為を中止させようと協議していますが、アメリカとイランの板挟みにあって、打開策が見いだせないようです。 原油先物はザラ場では確かにこのニュースを受けて上昇していたのですが、最終的には小甘く終わっており、市場の地政学的リスクの認識はそう高いとは言えません。
★ビットコインが再び切り上がってきている。 気になるのは、むしろビットコインである。 NY上場のビットコインですが、再び気配を切り上げてきています。 昨日は6.64%上昇で、12229ドル。755ドルの高騰といっていいでしょう。ビットコインは2日に一時25日線割れをきたしたのものの、総じてこの上で推移しており、この2日を転機としてむしろ切り上がり気味。6月26日の13826ドルという高値に迫りそうな動きになってきています。 一つ考えられるのは、一向に香港の騒動が収まらないということです。今のところ人民元の対ドルレートも下落に歯止めがかかっていますし、上海のインターバンクレートも低位置にあります。 また、金先物の手当買いもそう目立って出ているフシはありません。 しかし、現実にビットコインが再び上がり始めたということは、リスク選好するマネーが活発化し始めたことを意味しているわけで、その主体がおそらくチャイナマネーであろうと推察されます。 人民元の中国からの流出です。
★戦略方針: 日経CME円建ては21580円、日経平均先物夜間取引は21590円です。 昨日の日経平均現物指数の終値は21534円でした。 (ポジション管理の判断、個別銘柄スクリーニングは、「一粒萬倍」勉強会サイトを参照) 以上(提供:Investing.comより)
著者:増田経済研究所 松川行雄